クリストファーローラン監督最新作。
原爆の父・Jロバートオッペンハイマーの半生を描いた超大作。
物理学者として異彩を発揮。
ナチスとの技術競争を征するため、アメリカ政府から《マンハッタン計画》の総責任者へ抜擢。
1945年7月16日、《トリニティ実験》。
理論上不可能と言われた原爆開発を成功させる。
1945年8月6日、広島。8月9日、長崎。
後、1954年。スパイ容疑をかけられ公職を追放される。(オッペンハイマー事件)
1959年、アメリカ原子力委員会会長・ストローズへの公聴会。
オッペンハイマーを意図的に失脚させたとし、商務省長官へ内定していたが米上院での裁定で否決される。
1963年、オッペンハイマーはアメリカの物理学賞エンリコフェルミ賞を授けられ、これまでの汚名が公式に撤回される。
というお話。
オッペンハイマー事件たる秘密聴聞会とストローズの公聴会が交互に描がかれつつ、オッペンハイマーの人生を振り返る。
結論から言うと凄い作品です。
上映3時間という長丁場。一見堅苦しい印象を受けそうですが、全く退屈しません。
ここはノーラン監督の手腕でしょう。
音響が工夫されてて映像だけでない、総合的な芸術に仕上げてる。とにかく凄い。
でも、まあ、何と言ったら良いのか。
日本人としてどう見ればいいのやら。
自然と恨みは沸かない。
オッペンハイマー1人に背負わせてもなと思うし。
何とも言えない苦み。
本当に説明しようがないが、オッペンハイマーが何かの扉を開ける瞬間を確かに見た。
それは破滅への道なのか、はたまた……。
オッペンハイマーの罪はまだ始まってないと思う。彼が罪と感じていたかは分からないけど。
原爆はまだ日本にしか落とされていない。
彼の罪は核兵器が日本以外に使用された時に問われると思う。始まると思う。
核兵器は世界中に広がり、核の脅威が囁かれ、それはまだ現実じゃない。広島長崎の過去に留まり続けている。
ただ、それは確実に起きる。今更それを恐怖する人間はいないだろうけど、だからこその苦み。
ただの映画では収まらないクオリティ。
映画で核ミサイルが空から降り注ぐ描写があったが、これは予言になるのか否か。
人類が共有する絶望の味。
では、また。
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