『レガシー(遺産)』には、正も負もある。
首都圏情報ネタドリ!「検証 東京五輪“レガシー”」というNHKの番組がとても興味深かった。
半径10㎞以内のコンパクト五輪を売りに、招致を勝ち取った東京都でしたが、負のレガシーに直面しているようです。
東京五輪・パラ 経費は、総額『2兆3,700億円』余りに膨らみました。
(当初は7,300億円のコンパクト五輪と詠っていました)
今回新設された7つの新規恒久施設と収支の見通しを挙げていました。
国立競技場 整備費1670億円 年間収支23.7億円赤字
東京アクアティックスセンター(※)
整備費567億円 年間収支 6.4億円赤字
海の森水上競技場 整備費303億円 年間収支 1.6億円赤字
有明アリーナ 整備費370億円 年間収支 3.6億円黒字
カヌー・スラロームセンター(※)
整備費78億円 年間収支 1.9億円赤字
大井ホッケー競技場
整備費48億円 年間収支 0.9億円赤字
夢の島公園アーチェリー場
整備費9億円 年間収支 0.1億円赤字
(※:まだオープンに至っていない)
スポーツをしない人の税金も使われているのに・・・。
(国の赤字額は約8736億円です。東京都は・・・約1兆4977億円の赤字)
驚いたのは、海の森水上競技場を38㎞(車で約1時間)しか離れていない戸田漕艇場(前々回東京五輪会場)を使わずに新設したことです。
やはり10㎞以内のコンパクト五輪がネックになっていたのでしょう。
しかし、マラソンを北海道で行ったことを考えれば、おかしな話しです。
また、「後利用のできない施設は仮設」の筈だったのですが、五輪招致を最優先に考えると、常設施設のほうがIOC委員の受けが良いとの判断があったようです。
番組では、責任は誰にあるのかの問いに、IOCコーツ副会長は、
『 新たな施設を作りレガシーを望んだのは組織委員会と東京都である 』と言っていました。
施設の後利用の責任は東京都にあるのでしょうか?
行政やそこから委託された民間事業者が努力を繰り返しながら頭を悩ましているようです。
そこには「政治家」の姿はない。
勿論、「8月の東京は快適な気候である」とか「福島第一原発の汚染水問題に懸念が出ていることについて、状況はコントロールされており東京に決してダメージは与えない」とか言った元総理もいません。
オリンピック招致 東京の勝因は「安倍首相のスピーチ」「無難な選択」海外報道
https://www.huffingtonpost.jp/2013/09/07/tokyo-win_n_3887974.html?utm_hp_ref=japan
安倍元首相の評価は気が向けば行うと以前書きましたが、奇しくも一つの負の評価が現れてしまいました。
番組では「箱物を遺すところがレガシーではなく社会に活かすことがレガシーになる」とまとめていました。
私たちは、現在や未来のことには興味がありますが、通り過ぎるとすぐ忘れてしまいます。
今回のNHKの検証番組は、今後のマスコミが果たすべき役割の方向性を示してくれたのではないかと感じています。