精神科医和田秀樹氏の『 テレビの重罪 』を読みました。
今年の5月23日初版の新しい本なので、今の日本について具体的に語られている本でした。
内容はテレビが冒しているプロパガンダ的な作用を指摘したもので、
第1章 米国の「正義」を受け売りするだけのウクライナ報道
第2章 配慮なき「自殺報道」が自殺者を増やす
第3章 自粛の副作用を無視した「コロナ報道」の大罪
第4章 強者に媚びへつらい弱者を叩く
第5章 テレビに洗脳される日本人
第6章 横並び報道と「思考停止」社会
特別対談 「国民を息苦しく不安にさせるメディア」
日頃マスコミに感じていたモヤモヤ感を、具体的に挙げられている本でした。
幾つか記憶に残ったことは、
日本では年間35000人のアルコール関連死があるのに、先進国では日本だけが飲酒シーンのあるCMが何の規制もないまま垂れ流されている。
ステレオタイプの自殺報道の繰り返しが自殺予備軍ともいえる人たちの背中を押す。
虐待というのは虐待が終わってから本当の地獄が始まる。
日本には、82の大学に医学部があり精神科の医局がありますが、精神分析を専門とする精神科の主任教授のいる医局は一つもない。
待機児童は全国で2万人、特別養護老人ホームの入居を待っている人は40万人。
テレビの犯罪報道は冤罪の温床。
日本は、総理大臣と仲良しの大手テレビ局記者が、女性を泥酔させて無理矢理肉体関係を迫っても、直前で逮捕状が握りつぶされる。
奨学金の多くが貸与式のため、卒業と同時に若者たちは高額のローンを背負うことになる。
などでした。
この本で問題にしているのが、上記の事実に対しマスコミが持論を展開しない・・・ということです。
(視聴者やスポンサー、時の政権ウケする方向からしか掘り下げない・・・ということでしょうか)
一つの事象に対し、一方向からしか掘り下げないことの危険性を指摘しています。
改めて民主主義を支えているのはマスコミなのに・・・ということを考えさせられました。