森友問題で財務省の公文書改ざん事件について、裁判所が佐川宣寿元国税庁長官個人の賠償責任を否定しました。
記事では、『佐川氏が改ざんの方向性を決定付け、財務省が組織的に改ざんを行ったと認めた。』とあります。
公文書改ざんという犯罪について調べてみました。
刑法155条の〈公文書偽造罪〉
権限ある公務員によって当該文書が適正に作成されたかのように、人をだますこと
刑法156条の〈虚偽公文書作成罪〉
作成権限のある公務員が文書の内容について事実と反する記載を行い、その結果、嘘の公文書が作成されたという場合
今回の事件では、国会で説明に当たる官僚がいちいち原本を呈示するとなると手続がたいへん面倒になりますので、普通は原本の写し(コピー)を呈示します。つまり、原本そのものが改ざんされたのではなく、そのコピーについて改ざんがなされたようです。
この件について最高裁は、写しに原本と同様の社会的機能と信頼性が認められるならば、原本ではなく写しに改ざんを加えて、あたかもそれに対応する原本が存在するかのような形で、改ざんされた写しを行使した場合には、公文書偽造罪が成立するとしているようです。
佐川氏が改ざんの方向性を決定付け、財務省が組織的に改ざんを行ったと裁判所が認めたのであれば、『公文書改ざん』という犯罪が行われたのは事実のようです。
公務執行中の公務員個人に賠償責任は問えない(国が責任を負う)ということなのであれば、この犯罪は誰が責任を負うべきなのでしょうか。
国の責任については、雅子さんは国に損害賠償を求めた訴訟を起こしています。
しかし、2021年12月15日、国側が雅子さん側の請求を受け入れて終結し、真相は公にされないまま幕引きとなってしまいました。
当初、訴訟に対して全面的に争う姿勢だった国側は、裁判により真相を解明されるよりも、国費から1億700万円を支払うことを選んだのです。(1億円はこの金額なら裁判で争えると設定した言い値です)
国側は「認諾」しました。認諾は、被告が原告の請求を認めるもので、裁判所の調書に記載されると、確定判決と同じ効力を持つようです。
つまり、この瞬間裁判は結審し、真相を解明する機会がなくなったということです。
何回も書きますが、『公文書改ざん』という犯罪は行われているのです。
国側は責任を認めました。
責任を負う「国」とは一体誰なのでしょう。
国費から賠償を支払うわけですから、税金を納めている私たちと云うことでしょうか。
裁判所が犯罪があったことを認めたのに、その真相を明かすことは出来ないのでしょうか。
佐川宣寿元国税庁長官個人に責任を負わすことが出来ないとしても、一体どのような経緯で、このような暴挙が組織的に行われたかは解明できるし、解明すべきではないか。
亡くなられた赤木さんの妻雅子さんは、「事の真相を知るための裁判」であることを繰り返し発言しています。
裁判所が『財務省が組織的に改ざんを行った。』と認めた犯罪に対し、誰がその首謀者をあぶり出し、罪に問うのだろうか。
裁判所は『財務省が組織的に改ざんを行った。』と認めるのなら、その真相を明らかにすべきだと、そして二度とこのような犯罪が起きないように記録を残し公開するようにと命令できないのだろうか。
国葬になった元総理の言葉ですが、今更ながら罪深き発言だったと思います。
請求棄却の理由を読んでいないので的外れかも知れませんが、こんなことを感じるニュースでした。
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