とても心が痛むニュースに接しました。
18日の西日本新聞です
【 9年前の2010年12月、郵便配達員だった夫=当時(51)=は勤務局の4階窓から飛び降りて亡くなった。年賀はがきの販売ノルマ達成や時間内の配達を執拗(しつよう)に求められ、苦しんだ末の自殺だった。
夫の様子が変わったのは06年。23年間勤めた埼玉県内の郵便局から、郵便物の取扱件数が首都圏有数の大規模局に異動したのがきっかけだった。
「今日も昼ご飯が食べられなかった」。職場では残業を減らすよう求められたが、慣れない道で配達が思うように進まないと悩んでいた。交通事故などのミスを起こした局員は「お立ち台」と呼ばれる台に上がり、数百人の局員の前で謝罪させられた。「怖い。絶対に上がりたくない」と夫は漏らしていた。
毎年、年賀はがき7千~8千枚の販売ノルマが課せられた。金券ショップに転売する同僚もいたが、転売は禁止されており、真面目な夫は「俺にはできない」。自宅には、自腹で購入した年賀はがきが山積みになっていた。歳暮や中元、母の日…。歳事のたびにゆうパック商品も購入。夫は「時間内に配達するので精いっぱい。営業なんかできるわけがない」とこぼした。真面目な夫、転売「俺にはできない」
夫は次第に笑わなくなり、08年、夫を心療内科に連れて行き、うつ状態と診断された。休職と復職を3度繰り返し、毎年異動希望を出したが、上司からは「病気を治さないと異動させられない」と告げられた。
10年12月、主治医が再度の休職を勧めたが、夫は「同じ班の人が2人も辞めたので、今は休めない」と断った。それから1週間後の朝、駅で姿が見えなくなるまで手を振って見送ったのが夫の最後の姿になった。
亡くなった翌日、自宅に荷物が届いた。差出人は夫。自腹で購入したゆうパックの商品だった。「何でここまでしないといけなかったの」。女性は受け取りのサインを書きながら、涙が止まらなかった。
女性と子ども3人は13年12月、夫が自殺したのは仕事上の心理的負担による精神障害が原因として日本郵便を提訴。会社側は「業務と死亡に因果関係はない」と争う姿勢を示したが、16年10月、異動希望がかなわなかったことや自殺に至ったことに遺憾の意を示した上、解決金を支払うことで和解が成立した。
9日の集会では、今年3月に局内で自殺した関西の男性配達員=当時(29)=の問題が話し合われた。同僚の局員によると、男性は上司から業務上のミスについてたびたび叱責(しっせき)され、自殺直前に交通事故を起こしていた。 一部略 】
かんぽ生命の不適切な販売が記憶に新しい矢先、このニュースでを見て、改めて郵政民営化により発足した会社の体質に、大きな問題を抱えていたと感じました。
私は、ノルマとは無縁の世界に生きていたので、本当の意味で理解できない部分もあります。
しかし、
『ミスを起こした局員は「お立ち台」と呼ばれる台に上がり、謝罪させられた。』とか
『ノルマ達成のため、年賀はがきを金券ショップに転売する』とか
『自腹でゆうパックの商品を購入する(私は営業成績のためと理解しました)』とか
しかも、働き方改革で『残業を減らすよう求められた』とか・・・。これって、サービス残業の温床じゃないですか。
「今は休めない」これは、危険な道に向かうキーワードだと思います。
残念ながら、何年も前ですが、私の職場でも、ノルマとは違うプレッシャーで悩んだ末、休職に至った人を見ています。
このように精神的に追い詰められる人は、そのほとんどが愛すべき『真面目な人』でしょう。
管理職の人たちに守ってほしいのに、『お立ち台』だなんて。
ノルマを知らないジジイには、沸き上がる怒りだけが思考を支配しています。