NHKの「逆転人生」という番組を見ました。
「絶体絶命の危機から奇跡の大逆転」を再現映像などを使って紹介するこの番組は、
司会の山里亮太さん,杉浦友紀さんが、ゲストとその他の出演者、専門家の解説者らと逆転人生を振り返るものです。
今回は、ある『えん罪』が取り上げられました。
以下、事件の内容です。
【 警視庁の警察官による交通違反取り締まりに抗議したところ、容疑を捏造(ねつぞう)され不当に逮捕・勾留されたとして、東京都新宿区の飲食店経営、二本松進さん(67)が都などに計約900万円の賠償を求めた訴訟の判決が18日、東京地裁であった。松村徹裁判長は「逮捕・勾留は違法捜査だった」と認定し、都に240万円の支払いを命じた。
判決などによると、二本松さんは平成19年、妻の運転する車で食材仕入れのために築地市場を訪れ、駐車禁止エリアに約20秒間駐車。警視庁築地署の女性警察官2人が取り締まりを行おうとした。二本松さんが「車内には妻がおり、すぐ発車できる。他にも放置車両がたくさんある」と抗議すると、女性警察官は「暴行を受けた」と無線で応援を呼び、二本松さんは公務執行妨害の現行犯で逮捕。その後、公務執行妨害と傷害の容疑で19日間勾留され、最終的に不起訴(起訴猶予)となった。
松村裁判長は「暴行を受けたとする警察官の供述には変遷や齟齬がある。目撃者4人も『暴行はなかった』と証言している。暴行があったと認定できない」とし、「逮捕や勾留は違法だった」とした。
判決後に東京都内で会見した二本松さんは「反論された女性警察官はかっとして、暴行をでっちあげたのだと思う。小さい事件だが、証拠を捏造してでもメンツを守ろうとする捜査当局の姿勢が現れた事件だ。公務員は適切に業務を果たしてほしい」と話した。 】
<産経ニュースより>
とりわけ今回驚かされたのは、女性警察官の「嘘」。
嘘の稚拙さもさることながら、警察官が嘘をつく・・・という事実。
番組を視聴するにつれて、茫然から怒りに変わっていきました。
ゲストの高橋真麻さんや柴田理恵さんの表情にも表れていました。
そこで強く心に残ったのが、我が国に根強く存在する
「官僚(行政)の無謬(むびゅう)性」
と呼ばれるものです。
警察には『警察無謬の原則』というのがあるというのです。
それは、「警察は絶対に間違えたりしません」ということらしい。
役所も警察も「間違えちゃいけないから間違わない」という謎理論がまかり通る理不尽な魔窟だというのです。
番組の中では、裁判所も一つ穴の狢に映りました。
国家賠償裁判の難しさも、無謬からくる結果だろうし、警察の不透明性(調書を提出しない等)は、国会でももめている「行政機関の議事録問題」に通じる気がしました。
一婦警の小さな嘘(19日の拘留と10年にも及ぶ裁判を考えると、小さいとは言えないが)よりも、警察そのものへの信用失墜行為の大きさが気になります。
警察そのものへの信用失墜行為の大きさは、香港での住民の怒りでも解ります。
同胞に向かって、至近距離から水平発砲する映像を見せられれば、逃亡犯条例の改定案を正式に撤回したとしても、相互理解にほど遠い現状を生み出すのは必至だし、警察への不信感を決定づける気がするのです。
バライティを視聴したのですが、心に重いものを抱えてしまったようです。
様々な力(権力)を持つ立場の人は、「力を持つことによる錯覚」に気をつけるべきだと強く思いました。