◎ 歌川国貞 浮世十六むさし 八点のみしか見当たらず。
十六武蔵と女性との関わりはさっぱりわからない。
※豊国「十六武蔵」簪の一部分 右豊国は十六武蔵とは関係なし。若君と爺いの双六対決。
物差し ・ 前さし ・ 思いさし ・ 煙管さし
油さし ・ 読みさし 状差し ・ 楊枝さし
◎ 豊原国周 当世見立十六むさし
一見して豊国の作品かと見間違える。私も始め豊国が揃ったと勘違いしたが、数が合わないので見直して別作と気付いたのである。はっきりとした違いはボードが黒い外枠の線で切れているか否かというくらい。
昔はこういう物真似二番煎じも平気だったのですね。こちらは四枚のみ。
?さし ・ 楊枝差し ・ 脇差 ・ 紅をさし
「十六むさし」という対戦ボードゲームをご存知だろうか。下のような盤に武蔵の駒一と、捕り手十六を配し、線に沿って交互に動かしながら武蔵が捕り手二つの間に入ったら両方を取り除き捕り手は武蔵を動けないように追い詰めていく。捕り方が囲みきれないほど駒数が無くなれば勿論捕り方の負けとなる。
歌川国彦
豊国の絵はゲームそのものとは関係なく「何々さし」となる女性を描いたものである。16枚一組が揃いのはずだろうが二点だけどうしても見つからず、やっと見つけた「簪」は半分だけのものだった。
タイトルは文字や意味の分らないもの、分っても絵との関連が分らぬもの等ある。
心ざし ・ 銭さし ・ 鳥さし
中央の銭差しというのは一文銭を百枚纏めるための紐のことだが、上の小間絵は社寺の手水舎と賽銭箱の絵で、女性は何をしているのだろうか。「賽銭箱の小銭を集計している」、のではなく、「お百度参り」をしているのだろう。「お百度参り」というのはある大きな願いの神仏祈願のため百回お参りするのだが、自宅からではなく社寺の門前と本堂の間を往復する形で百回の参拝とするわけで゛、その時この銭差し百本を持ち礼拝の度に一本ずつ置いてきて数とりをするのである。
針さし ・ 水差し ・ ばかのめざし
最後の「ばかのめざし」は、「ばか貝」の剥き身いわゆる「青柳」を串に刺して乾燥させたもののことらしい。
本来の十二星座の絵を名前通りの動物や器物で描いた作品では乙女座とせいぜい双子座ぐらいしか女性は登場しない。双子も女性と限った訳でないから男子だけ、男女のものも当然ある。しかしこのブログでは女性を描いた諸々の絵画を拾い集め展示しているので、もちろん本来の十二星座は登場しない。
牡羊座 ・ 牡牛座 ・ 双子座
蟹座 ・ 獅子座 ・ 乙女座
天秤座 ・ 蠍座 ・ 射手座
山羊座 ・ 水瓶座 ・ 魚座
座名は省略するが、注意するのは三番目の「双子座」と最後の「魚座」で、双子を二人の女性で表現するのは当たり前だが魚座も二人の女性として描いたものも多い。「魚座」は「双魚宮」といって二尾の魚を表している事に依るもので、この絵のように下半身魚の人魚にしたり、人間の周りに魚を添えたりして双子座と区別したりする。
なお、このことと関係ないが「山羊座」の山羊も下半身は魚の怪物なので、女性も人魚として描かれることもある。
十二星座の絵はかなりの数があって、五十組以上が集まっているが、これも12枚を揃えるとなると結構厄介でたった一枚を探し回っても見付からないことが多い。
牡羊座 ・ 牡牛座 ・ 双子座
蟹座 ・ 獅子座 ・ 乙女座
天秤座 ・ 蠍座 ・ 射手座
山羊座 ・ 水瓶座 ・ 魚座