清親の「三十二相」はこれまでの諸作と違っていて老若男女の多様な表情を漫画的に描いたもので女性はそのうちの四分の一程度である。そして下の一例のように一枚に四人の表情が刷られていて、上段のように個々に独立している訳ではない。
また同じ形式の続編「追加百面相」は、手元に十二枚四十八の面相があるが、これがすべてなのかは、私には分らない。ただ私は「百面相」の百は具体的な数値ではなく「沢山、多数」を意味するだけではないかと思っている。
奥方内心の悋気 ・ 権妻の上辺の悋気 ・ 過ぎ去ったことを思う
見て見ぬふり ・ はずかしい ・ 熱い湯
ふさいでいる ・ 芸妓の内幕 ・ 痴話喧嘩のあと
※ 中央は女性のよく使う言葉と表情を描いた別作品。
以下は、浮世絵美人画の本格作品。清親の美人画は過去に一度取り上げているが、多数の美人絵がある訳ではないのでここで纏めておく。
国貞作品よりさらに先行の作品でサブ゛タイトルではなく、易者が天眼鏡で見立てたように人相が細々と述べられている。
例えば二点目の作品は「しとやかに優しくみせて意地もありさて目のなかに実のあり相」と読んだのだが、、違いがあっても、こんなふうに書かれているのだということでご容赦されたし。
国貞にはもう一組の「今様三十二相という作品もある。こちらの方が背景なども凝った作品なのだが、これも残念ながら26点しか見つからず不揃いである。
サブタイトルも、言葉の意味そのものが不明なものや意味は分っても絵との関連が不明なものとがある。そういった場合、小間絵がてがかりになるようだが、これがまたわかりにくいのである。しかし、そういうことをあれこれ考えるのが江戸の人達の楽しみでもあったようだ。
上がりがよさそう ・ 嬉しそう ・ かわいらしそう
極く暑そう 。 寒そう ・ すずしそう
辛くもなさそう ・ にき゜やかそう ・ ねむそう
過日の芳年の「三十二相」の先行作品であるが、残念ながら未揃いで、十点しかない。一部既出。
サブタイトルが意味不明なものや読めないものもある。
よくうれそう ・ はやりそう ・ 東のお客もうきそう
しまひがよさそう ・ りこうそう ・ せじがよさそう
あそびたそう ・ 芝居が見たそう ・ たてひきそう ・ ?
当ブログは男子禁制が建て前ですが、いささか貴重なカードだと思ってあえて取り上げました。
とかく西欧人の描いた「日本人」は、貧相貧弱で目が細く吊りあがって出っ歯など、ステレオタイプのものが多いのですが、これは明治政界大物の堂々たる肖像画として日本でも現在は見かけられない珍しいものだ思います。
これに比べて現在の政治屋人のお粗末なことといったら・・・・・・・・
明治天皇 ・ 伊藤博文 ・ 東郷平八郎
斎藤実 ・ 寺内正毅 ・ 林 董
さりながら「女ならでは夜も明けぬ」当ブログ故、お口直し、いやお目直しにどうぞ。
「オペラ・グローブ」とは、西欧女性の正装の際の手袋だそうである。肘から上の長い革などの手袋で、特に歌劇観賞に限らず、格式の高い儀式などに用いられるようである。
ところで今回は25枚揃いを一挙公開したのだが、このような短いグローブをワペラグローブと称するのは間違いということになる。
誤りはともかく同じ゛パターンのカードなのでずらりと並べて妍を競わせた次第である。
「スピネット」 チェムバロに似た鍵盤楽器。
Roman Horn ・ Saxophone ・ Shamisen ・ Spinet
「トムトム」はアフリカの太鼓のことで、「タムタム」と発音すると中国由来の「銅鑼」だそうである。
歌謡曲の「イヨマンテの夜」に「タムタム太鼓が鳴る」という一節があるが、まちがいでしょうかね。
Tamtam ・ Triangle ・ Trombone ・ Tuba
「タンブラー」という特別な楽器ではなく 「グラス ハーブ」といって、脚つきグラスの縁を指先で擦って出る摩擦音を使って演奏するのである。サイズの違うグラスや中に水を入れて音程を調節したグラスを必要数並べて演奏する。
Tumblers ・ Tumbline ・ Violin ・ Violin cello
最後の「チター」は、ヨハン・シュトラウスの「ウィーンの森の物語」の最初と最後の部分のソロが有名だが、何といっても、映画「第三の男」のテーマのアントン・カラスの演奏が「チター」の名を広めたといってよいと思う。
Xylophone ・ Zither
「ハーディガーディ」は回転するハンドルがあって、昨日の「ハンドオルガン」と混同されるが、弦で演奏出来る楽器である。
「ユダヤ人のハーブ」は「口琴」と訳される楽器。なお「口琴」と称されるアイヌ民族の「ムックリ」というのは別のものである。
「ケトル ドラム」は「ティンパニー」のことらしい。
Hunting horn ・ Hurdy gurdy ・ Jew's Harp ・ Kettle drum
Lire ・ Lute ・ Mandolin ・ Oboe
「オルカ゜ン」は「足踏み式の「リードオルガン」ではなく、「パイプオルカ゜ン」
Organ ・ Pan pipe ・ Piano ・ Pipe
最初の「コンサーティーナ」は昨日の「アコーディオン」とは違う楽器で、アルゼンチンタンゴのメイン楽器「バンドネオン」の原形的なものである。日本では明治期,、手風琴といってオイチニの薬売りとともに知られていた。
「コルネット」は「トランペット」と似ているが全体に少し短く、私としては音も少し柔らかいと感じている。
Concertina ・ Cornet ・ Cymbals ・ Drum
Egyptian harp ・ Flute ・ French Horn ・ Guitar
「ハンドオルガン」 は、箱のハンドルを回すことで一定の曲を奏する装置のことで、楽器というよりオルゴールのようなものらしい。西欧では移動台車に据え付けたもっと大型のストリートオルガンというのがあって同種のようである。
Hand organ ・ Harmonica ・ Harp ・ Heralds trumpet
j参考 オイチニの薬売り
煙草のおまけカードの50枚揃。ABC順だが、かなりマイナーな楽器もいくつかある。
Accodeon ・ Bagpipe ・ Banjo ・ Bass drum
Bass viol コントラバス ・ Bassoon ファゴット ・ Bells ・ Bones カスタネットに似た楽器
Bugle 所謂ラッパ ・ Castanet ・ Clarinet ・ Coaching horn 郵便馬車用の金属楽器