写真は樋口一葉の「にごりえ」の豆本だが、今回は中身の事ではなく装丁のことである。
私の装丁は単純単調でどれも変わり映えがしない。大体が友禅紙やモミ紙・大礼紙などのほか、無地の製本用の布クロスを用いるくらいである。
ただちょいと凝るときに用いるのが、この紬である。以前旅行の際入手した端切れと知り合いから貰った僅かの小さな端切れを大事にしていたが、それも底をついてしまった。そんなときにある通販サイトから「かなり」の紬の端切れを手に入れた。
「かなりの」というのは、普通の本では一冊がやっとでも、豆本だと四冊に使えるから、24枚の端切れセットで100冊分近くになるからである。
写真では判らないが、紬の装丁は古典・現代の文芸作品から西欧の画集のようなものまでどれにでも合って、豆本のようなものでも特製本の風格を与える、と私自身は思っているわけである。