豆本三昧我褸芥(がるぁくた)ノート & 美人画あれこれ

日本の名作文芸と東西の名画の自作豆本の内容紹介のほか、その資料として集めている東西の美人画をいろいろ紹介しています。 

豊国・国久の「江戸名所百人美女」の豆本

2010年06月29日 | 豆本


 江戸各地に百人の美女を配した作品で、豊国が美人図を、国久が景色を描いている。
 図は「深川」で、多分深川芸者がこれから仕事にでようとしているところであろうか。
 ところで二人の絵師が分担しているといっても、見る通り景色はほんの付けたし程度でこれれでは名所絵の中には入れにくかろう。師と弟子の関係では当然だろうが、この人物絵と景色絵の合作の場合、広重と豊国の対等のような関係でも、人物を手前に描けば景色は背景に過ぎなくなってしまい、広重は損な役回りといつも思うのだが。

 この豆本では、二図入手不能で全九八図なので、江戸の地名を冠した、豊国の別作二図で百図にしてある。
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歌川広景「江戸名所道外尽」の豆本

2010年06月28日 | 豆本


 この豆本に収録した「名所道外尽」は五十図からなる。道外は道化と同じで、要するにに名所絵のパロディーである。

   

 上掲の画左は「道外尽」、右は以前紹介した北斎の富嶽百景の一図である。
 当時は普通に見かける左官の仕事風景を、壁土を取り落とした失敗風景に変え、富士がないなど簡略化され細部において異なるものの、基本的には北斎の構図と同じものだといえよう。江戸では「もじり」というのだろうけれど、他の図でもこのような滑稽化された図となっている。
 いうまでもなくパロディーというのは、もとになるものがわかっていなければ、本当の面白さはないものだから、北斎の絵は当然多くの人が知っていたことになる。こうしてみると当時の江戸人達の知識教養はかなりのものであったと考えられよう。
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芳年の怪異物の豆本

2010年06月27日 | 豆本
  

 写真手前が「新形三十六怪撰」と「和漢百物語」の豆本である。
 芳年の怪異物などというと、どぎつい陰惨な絵を考えるかもしれないが、そんなことはなくて、むしろ下掲のようなものもある。

     

 これらは「三十六怪撰」の左「鷺娘」、右は「小町桜の精」だが、ほかにも牡丹灯籠のお露、皿屋敷のお菊など、むしろ美人画ともいえるきれいな絵が三分の一ほどある。

 

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月岡芳年「月百姿」の豆本

2010年06月25日 | 豆本
    

 日本や中国の、歴史上あるいは世俗にいたる月にまつわる故事を百の図に描いたもの。
 タイトルをみても現代の我々には、というより私などには理解できないものも多いか゛それにしても、この絵師という人達の、有職故実を含め歴史・文芸などに通暁していることにはまったく敬服する。
 これらの画は、図書館などのデーターベースに保存され目にすることは出来ても、今後正規な形で出版されることはまずないと思うので、私のような物好きが豆本の形で画集にするくらいだろうから、なんとももったいない気がするのである。

 図は「嵯峨野の月」(平家物語)と、「武田信玄」。
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その他の「東海道」の豆本

2010年06月23日 | 豆本
 

 前回は初代広重の「東海道」に関することであったが、ここの五作品は別人のものである。
 上段左から、「二代目広重の東海道五拾三駅」「芳年・国周他の末広五十三次、及び芳虎・暁斎他の書画五十三駅」「二代目広重他十五名の絵師の御上洛東海道」、下段「三代豊国の役者見立東海道五十三駅」「渓斎英泉の見立吉原五十三駅」である。
 以上だけでもかなりの数になるが、他にも北斎や他の絵師による作品もありで、実際にどれほどの作品が出されていたのか正確にはわかつていないようである。

 なお、五十三次といっても出発・到着を入れて五十五図が普通だが、「役者見立」は同じ宿駅が二図とか中間の宿駅があるので135図、「御上洛」も同様でさらに京に着いて後の様子ありで141図と二冊分以上の長大なシリーズとなっている。
 
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広重「東海道」の豆本

2010年06月22日 | 豆本

 
 これらの豆本はすべて「東海道五十三次」の作品だが、中身はすべて異なっていて、それぞれには二つの作品を収めてある。
 上段左から「保永堂版と狂歌入り東海道」「行書と隷書東海道」「蔦屋版と有田屋版東海道」、下段左から「美人東海道」「人物と竪絵東海道」「五十三対と双筆東海道」である。このうち「美人」のもう一作は英泉のものであり、「五十三対」は豊国・国芳との三人が各駅を分担したもの、そして「双筆」は全各駅の人物を豊国、風景を広重が描いたものである。従って広重単独の「東海道」は九作品ということになる。
 広重は他に「貼り混ぜ」という、五か所の宿駅を一枚にした東海道十二図があるそうだが残念ながら入手出来ていない。
 また他に「東海道図絵」という版本もある。
 
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楊州(橋本)周延の豆本

2010年06月21日 | 豆本
     

 周延は明治期の絵師。この豆本には「時代かがみ」と「真美人」の二シリーズを収録。
 江戸から明治までのさまざまな女性の時代風俗を、髪形や衣裳中心に描いたのが「時代かがみ」、明治の少女から成人にいたる年代の女性を描いたのが「真美人」という、典型的な美人画シリーズである。

 
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二人の絵師の合作作品の豆本

2010年06月19日 | 豆本
    

 一枚の画を二人で描くようなことは現代ではほとんどないと思うが、浮世絵では珍しくはない。
 この豆本は広重と豊国の二人の「江戸自慢三十六興」「東都高名会席尽」「当勢十花撰」の三作品を収めたもので、各作品は広重が風景風物を、豊国が人物を描いている。

 二人で書く場合にも二通りの形がある。左の「江戸自慢」のようにどこまでをどちらが描いたのか分らない形と、右の「会席尽」のように、景色と人物が別な形で描かれている形である。
 どちらにしろ一枚で風景画・人物画の両方を楽しめるとあって江戸乃人には歓迎されていたようである。

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歌川豊国の「いろは」の豆本

2010年06月18日 | 豆本
 

 この豆本には豊国の「清書七以呂波」と「教訓いろはたとゑ」の二作を収める。
 
 前者は「いろは」の各文字につき一ページに、その文字で始まる単語・人名などとその語に関連する人物の画のほか、上段にその文字の音訓の漢字七文字が書かれている。いろは以外に漢数字「一から十、百、千、万、億、兆」のページもあるので、庶民の日常的な簡易字典のような役割や、子どもの手本にも使えたようである。
 
 後者は「いろはかるた」の読み札・絵札が並べられ形になっていて、もしかするとそれを厚紙に貼って実際にかるた遊びをしたのかもしれない。絵は豊国お得意の役者絵である。
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歌麿と写楽の豆本

2010年06月17日 | 豆本
     

 錦絵の豆本を作るからには歌麿と写楽は欠かせないが、これは例の永谷園カードを中心にアレンジしたものである。
 広重や北斎などのように、一つの標題で纏まった長大なシリーズ作品が入手出来ないので、どうしても寄せ集めの作品集になってしまう。もちろんこれはこれでバラエティーに富んだ面白さはあるのだが・・・。

 ところで、この二冊の装丁は継ぎ表紙といって、一枚のクロスで覆うのではなく見たとおり背の部分は別になっている。僅かばかり手間はかかるが、大きなクロスでなくてすむし、横縞のクロスで見た目にも和綴じ風になるので、特に横長版ではよく使う装丁である。
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三種の「木曾街道六十九次」の豆本

2010年06月16日 | 豆本


 「木曾街道」と名付けられていても木曾街道は脇往還で、中仙道のほうが主なようだが、それはともかく、この三作は中身も作者も異なった作品である。

 横長の開かれているものは、渓斎英泉・歌川広重の「木曾街道六拾九次」、左下は歌川国芳の「木曾街道六十九駅」、右下は歌川豊国の「木曾六十九駅」で、普通「木曾街道」といえば英泉・広重の作をいうことが多い。
 英泉・広重の作品は、英泉でスタートしたものを広重が受け継いだという。内容は名所絵(風景画)である。
 これに対して国芳のものはその土地にまつわる歴史伝説画、そして豊国は土地土地に関係する芝居の演目中の役がらを演ずる役者絵で、当時の三人気絵師が各々の得意分野に筆をふるったものである。

 開かれた絵の左側は広重の「洗馬」で、「東海道」の「蒲原」とならぶ傑作である。
 また下の左は国芳の下諏訪八重垣姫、右は豊国の軽井沢である。


     

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北斎「百人一首乳母が絵説き」の豆本

2010年06月11日 | 豆本
 

 北斎最後の揃物として出されたものだが、版元の没落などで三十一図で中絶した作品である。北斎としては意欲的だったようで版下絵が倍以上残っているそうである。
 当豆本では錦絵三十一図、版下絵を五十八図収めてあって、写真では右ページが「天の原」の錦絵、左は版下絵の「わが庵は」である。
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芥川龍之介の豆本

2010年06月08日 | 豆本
 

 芥川の豆本は「羅生門・鼻・(蜜柑)」を一冊にした豆本を早くから作っているので、これらは各サイズが揃っている。ただ、小さなものは「蜜柑」は省いてある。また大きいものは逆に「藪の中・枯野抄」との合本にしてある。
 大きい方からの五冊は丸背である。一応花布や栞の紐もついているのだが、栞は幅三ミリのものしかないのでいささかグロテスクになる。5番の刺繍糸を使ってみたがこれまたピンとこない。細い栞紐をネットで捜したところ手づくりのものを販売しているものがあったけれど、10センチほどで何百円もするようなものを、本体全体でも百円にならないような豆本には使いきれない。
 花布も当然同じようなことがあるのだが、こちらはなんとか自作可能なので、ともかく現在のところアンバランスのまま我慢している。
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宮田雅之の豆本 Ⅳ

2010年06月03日 | 豆本


 この奥の細道も見開き2ページに絵と該当原文が抄録されているものである。
 
 子ども、女性の姿を描いたものもすばらしいが、自然とその中の人間の姿を表現したこの作品は深い味わいが感じられる。それが一本のカッターによって切り出されるのだから、信じられない思いである。
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宮田雅之の豆本 Ⅲ

2010年06月02日 | 豆本
      

 宮田雅之の切り絵「竹取物語」「源氏物語」の二作。
 それぞれ見開きで、文と絵が各1ページずつ。
 竹取は、該当部分の原文、源氏は各巻毎の梗概である。
 これまた、女性が美しい作品である。
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