詩人PIKKIのひとこと日記&詩

すっかりブログを放任中だった。
詩と辛らつ日記を・・

一番好きな詩

2012年08月04日 | 食・環境
   反対    金子光晴


僕は少年の頃
学校に反対だった。
僕は、いままた
働くことに反対だ。

ぼくは第一、健康とか
正義とかがきらひなのだ。
健康で正しいほど
人間を無精にするものはない

むろん、やまと魂は反対だ
義理人情もへどが出る。
いつの政府にも反対であり、
文壇画壇にも尻を向けてゐる。

なにしに生まれてきたと問はるれば、
躊躇なく答えよう。反対しにと。
ぼくは、東にゐるときは、
西にゆきたいと思ひ、

きもの左前、靴は右左、
袴はうしろ前、馬には尻をむいて乗る。
人のいやがるものこそ、僕の好物。
とりわけ嫌ひは、気の揃ふといふことだ。

僕は信じる。反対こそ、人生で
唯一つ立派なことだと。
反対こそ、生きていることだ。
反対こそ、じぶんをつかむことだ。


(金子光晴詩集『赤土の家』1919年発行より)


詩  反対

2012年08月04日 | 

金子光晴の詩『反対』に付け加えるべき何物もないが
最近「反対」と言うと
「対論を出せ」という馬鹿が激増中で困る

反対したら何故対論を出さなきゃならんのか
原発など反対反対反対以外の何がある?
対論などクソもヘッタクレもない

人類初めての未知な分野に
対論も糞もあるもんか!


◆百年前以上も前の金子光晴『反対』が読めるのはー『ここ』