1年の最後の日に今年何があったか振り返ろう。大きく三つの出来事があった。第一はコロナ禍、第二はアメリカ政治の激動(大統領選の分断とBLM運動)、第三は日本国内の中国ヘイトの沸騰である。1月から始まったコロナ禍は、秋冬にはさらに大きな波になって襲いかかるだろうと岡田晴恵が予想を述べていたが、第1波が収束に向かったときは、まさかこれほど感染爆発した年末を迎えるとは思わなかった。ウィルスが変異して弱毒化したため、致死率が減少し、特に若年層の重症化度が減り、コロナを脅威と感じる空気が薄れた。政府も市民社会も危機感を失ってしまった。その若年層が旅行や飲食で感染して、無症状のまま家庭内や施設で高齢者にうつすという弊害が続き、連鎖を断ち切れず、現在の第3波の流行が起きている。感染者のボリュームが増えれば、必然的に重症者数が増え、医療が逼迫して崩壊に直面する。第1波のときは、社会全体で感染を抑え込もうとしたが、第3波では、政府・自治体・マスコミは個々に注意を呼びかけるだけで、医療現場に負荷を押しつけて済ませている。
コロナ禍を俯瞰して気になるのは、なぜアメリカとヨーロッパでこれほど甚だしく感染拡大が進行するのかという点である。先進国で公衆衛生の制度の行き届いたアメリカとヨーロッパで、特に感染拡大の勢いが強く、他の地域を圧倒している状況にある。春の頃は、医療体制が不備で公衆衛生が劣悪な、アフリカ諸国での犠牲急増が心配され、WHOのテドロスが眉間に皺をよせて警鐘を鳴らしていた。テレビでも幾度もそうした途上国のスラム街が紹介され、貧困と密集と不衛生が強調され、先進国が関心を寄せて支援することが要請されていた。だが、意外なことに、その後、感染拡大に執拗に悩まされ、コロナに傷めつけられて喘いでいるのは米欧の先進国の方だ。首脳で感染したのは、英国、米国、フランスである。なぜ、このような現象に結果しているのだろう。牽強付会の見方かもしれないが、感染した首脳、ジョンソン、トランプ、マクロン、ボルソナロには共通点がある。4人とも筋金入りの新自由主義者であり、レッセフェールを奉じるリベラリズムの徒である点である。竹中平蔵と同じ自己責任主義者だ。
感染抑制に失敗した国を見ると、その対策に特徴があり、基本的に、「経済活動と感染対策の両立」をテーゼとして掲げ、バランス論を基軸とした政策で臨んでいる国々である。両立論・バランス論を唱えつつ、実際には経済活動の名目で企業活動を優先し、市場活動への規制を控える姿勢が顕著だ。マスク着用を軽視したり嫌忌したりする行動様式が象徴的だった。おそらく、アフリカ諸国の感染対策の性格と基調は、こうしたリベラリズムの態度とは無縁なのだろう。彼らは、貧しいながら、恐れるべきものを正しく恐れ、家族の命を守るべく個々の行動を律しているのではあるまいか。無論、アフリカ諸国では検査体制が不十分だから感染者数の統計が正しく出ないのだという反論や邪推もあるだろう。だが、検査に漏れがあっても、検査数が不十分でも、死者数の増加は隠蔽できないし、肺炎の重症者数の急増は必ず露見して表面化する。WHOが捕捉して報告する。WHOによる発信がないという事実は、当初想定された悲観論とは裏腹に、相対的に、アフリカ諸国の政府と民衆が感染をよく抑え込んでいる事情の証左と観察してよい。
貧しく医療体制の脆弱なアフリカ諸国の対応を想像したとき、彼らの政策において、両立論・バランス論の路線を選択する余地や余裕はないと思われる。コロナもエイズやエボラと同じで、共存などできない恐怖の悪魔だろう。政府の対策は、WHOの指導に正しく従う以外になく、そうでないとWHOからの援助を受けられない。彼らの対策は、ウィズコロナ方式の個人の自由を尊重し市場の利益に配慮したものではなく、中国モデルに近い、社会統制型の方式にならざるを得ないはずだ。すなわち、リベラル主義の感染対策ではなく、ソシアル主義の感染対策が遂行されているはずだ。そして、その謙虚で基本に忠実な防疫の取り組みによって、アメリカやヨーロッパのような惨状と苦境に陥らず、相対的に、感染蔓延と医療崩壊の回避に成功しているのに違いない。アフリカ諸国で、少し感染が収まったから民間業者を扶けるべくGoTo政策を推進しようなどと、そんな両立論(=新自由主義のイデオロギー)を掲げて政府が動く国はないと思われる。だが、ヨーロッパ諸国は日本と同じ観光推進策を日本と同じ論理で夏に実施した。その帰結が現在の哀れなロックダウンだ。
第二の米大統領選とBLM運動。この衝撃も大きかった。10月から11月にかけてのブログは、コロナから離れて米国政治に集中し、「リベラル・デモクラシー」への考察が主要な関心になっている。久しぶりに西洋政治思想史の勉強をした。記事で書き綴ったように、米国の分断とBLM運動は、「リベラル・デモクラシー」のイデーが安定的に支配君臨した体制に一撃を与え、「アメリカン・デモクラシー」の教義的普遍性の土台を掘り崩したと言える。今夏、不朽の名作にして国民的古典である『風と共に去りぬ』が一瞬でヘイト本の地位に転落した「革命」には仰天したけれど、プログレッシブの地平を追求するアメリカの躍動は止まらず、年末にボストンの公園からリンカーン像が撤去されるという進捗に及んでいる。この四半世紀の日本は、フクヤマの『歴史の終わり』がバイブルとして崇められる思想空間であり、反共新自由主義 - 日本会議と竹中平蔵 - が国家宗教の位置に据わり、尊米攘中のイデオロギーの純度と濃度が日毎に高まる環境だった。28年前にフクヤマ本の日本語版が刊行されたとき、訳者は渡部昇一であり、当時は一部の反共オタク右翼が愛読する奇特な異端本でしかなかったのだ。
それが、2020年には『新版 歴史の終わり』として荘重な装いの上下二巻本になり、渡部昇一と並んで佐々木毅が解説者として名前を張り出している。佐々木毅が、これこそ政治学の最高最良の古典書で教科書だから大学の教材で使え、学生に必修で読ませろと子分(文科高等教育官僚)に指示している景観が思い浮かぶ。不愉快で気分が悪い。いつの間にフクヤマの反共本がこれほど出世したのかと驚き、狼狽するが、この間の政治学の刻々の進行 - 堕落・劣化・退廃 -を横目で感じながら、私はそれを無視し、丸山真男だけに神経を集中させ、敬虔な在家信徒に徹してその学問的意義を訴えてきた。リベラル・デモクラシー主義の洪水に憂鬱となり、アメリカン・デモクラシー教のサティアン状態に辟易としつつ、だが、腰を据えてそれらと対峙し、理論的批判の対象にしようという課題意識や闘争心は起きなかった。捨て置いた。今回、BLM運動の怒濤に接して、ようやく、アーレントとトクヴィルの時代が終焉することを確信し、そのことの議論を始めようかと思い至った。時は熟したと感じる。アーレントもロールズも、現在の思想的首座の位置から失脚するだろう。リベラリズムで出版社が売り捌いて儲けてきた本が紙屑になる。
第三の日本国内の中国ヘイトの高揚と充満。これについては処置なしというか、お手上げというか、どうしようもない状況にある。12月30日のTBSの大特集も凄絶だったが、もう手がつけられない。自衛隊の幕僚から、政府の内調の幹部から、外務省から、テレビ局の幹部まで、どこまでも、隅々まで、蟻の這い出る隙間もないほどに右翼がひしめいていて、中国との戦争開始の準備体制に躍起になっている。リベラル左翼に属して政権批判する者が、右翼と口を合わせる毒々しい反中ショービニストになっている。開戦へ開戦へと、国民を動員し、中国憎悪の感情と中共打倒の覚悟を植え付け、強化し、士気を高まらせている。一つの国家目標に向かって邁進している。左翼を含めた一人一人が、市民から国民に変えられ、自ら変身し、中国と戦う銃後の兵士と化している。今の日本で「暴支膺懲」の国論の外に身を置くことがどれほど難しいか。マスコミでもネットでも、中国叩きに対して批判を加えている者は皆無に等しい。反戦平和や憲法9条を言う者がいない。時流に抗する者がいない。本来、米中の関係改善を仲介するのが日本の使命なのに、そんな正論はどこからも聞こえない。一億総CIA。
来年2021年は、東日本大震災から10年の年だが、アメリカで起きたOWS運動からも10周年の年である。また、1871年のパリ・コミューンからも150周年の記念年となる。さらに、1971年に中国の国連加盟が決まった、アルバニア・アルジェリア決議案の総会採択から50年の節目の年でもあり、さらに、1921年に陳独秀らが上海で中国共産党を結成して100周年の年でもある。1931年の満州事変から90年の年であり、中国残留孤児が初来日した1981年から40年となる年でもある。 ・・ 1年間、ご愛読ありがとうございました。
渋谷スクランブル交差点のライブカメラ。年明け直後の絵。これが、新規感染者1337人出した町の夜の様子なのか。信じられない。気が狂っている。誰も外出自粛なんてしていない。当然、飲食店も営業しているわけだ。https://www.asahi.com/articles/ASND072QHND0UTIL014.html?ref=tw_asahi …
アメ横もそうですよね。これは29日の写真だが、テレビで映すから人が押し寄せる。「例年より人が少ない」とか言ってテレビが宣伝している。毎日絵を流して、30日、31日とどんどん増えた。政府が意図的にやらせて人出を煽っているとしか思えない。「経済を回す」ために。
NHKの「ゆく年くる年」、調布の深大寺は初詣客でギッシリだった。あんな絵を見せたら、みんな釣られて外に繰り出して、昼間の東京の神社や寺は満杯になる。NHKと政府は何がしたいんだろう。そんなにまでして人出を増やして、飲食店を賑わせたいのか。正月の経済を回したいのか。
ほとんど感染爆発状態なのに、こんなときに紅白のお祭り騒ぎをやるのはおかしい。何がめでたいんだ。今もどんどん救急車で患者が搬送されているのに。重症病棟で看護師が激務を続けているのに。切り上げてコロナ報道にしろ。誰かNHK会長に電話で文句言う人間いないのか。https://news.yahoo.co.jp/pickup/6380928
猪口正孝と大曲貴夫、何やってるんだ。尾﨑治夫と一緒に小池百合子を突き上げろ。都医師会を動員して、都庁に突撃して、知事室前にピケを張れ。実力行使だ。やむを得ない。緊急事態宣言を出すまで雪隠詰めだ。このままだと、高齢者も看護師も死んでしまう。死屍累々になる。https://www.sponichi.co.jp/society/news/2020/12/31/kiji/20201231s00042000169000c.html …
東京都の新規感染者1300人って、こんなになっても緊急事態宣言出さないのか。静かに年越しして下さいと言って、行政は正月休みするのか。政府も、小池百合子も。どういう神経しているんだ。浅草寺も明治神宮も閉鎖しろ。山手線もメトロも営業を停止しろ。https://abema.tv/video/episode/89-93_s54_p4165?utm_medium=social&utm_source=twitter&utm_campaign=official_tw_free_sokuhou …
「2020年を総括する - コロナ禍の1年、米国の激動と変貌、中国ヘイトの臨界」をアップしました。https://critic20.exblog.jp/31920600/
米看護師、ファイザー製ワクチン接種1週間後にコロナ感染。https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-usa-vaccine-idJPKBN2940V3 … ファイザーのワクチン、効かないんだな。恐れていた事態が起きた。
三万円で買ったパソコンにも少しずつ慣れてきた。
半年ぶりなのと、Windows10なので・・
慣れるまでまだまだかかるかもしれませんが
今はまだ当分の間、映画鑑賞くらいかも
I AM YOUR FATHER アイ・アム・ユア・ファーザー【字幕版】 | 映画 | 無料動画GYAO! (yahoo.co.jp)
SF映画史上の世界的大ヒット作「スター・ウォーズ」シリーズのEpisode 4~6で名悪役ダース・ベイダーを演じた俳優“デヴィッド・プラウズ”。しかし、彼はジョージ・ルーカスとの間にトラブルが重なり、ある事件をきっかけに「スター・ウォーズ」公式ファンイベントへの出入りを禁じられてしまう。その真実を探るべく、“ダース・ベイダー”を深くリスペクトする映像クリエーター達が立ち上がり、世界一有名な悪役を演じた、マスクの下の男の人生の光と影を描き出していく―。そして、最後にもう一度だけ、史上最も有名な悪役になって、あの“名シーン”を演じて欲しいと、デヴィッド・プラウズへの説得を試みる―。
- I AM YOUR FATHER アイ・アム・ユア・ファーザー【字幕版】
- 史上最も有名な悪役“ダース・ベイダー”! その黒いマスクに隠された、知られざる真実の物語-。ダース・ベイダーの初代スーツアクターにフォーカスをあてた衝撃のドキュメンタリー、ついに解禁!!
- SF映画史上の世界的大ヒット作「スター・ウォーズ」シリーズのEpisode 4~6で名悪役ダース・ベイダーを演じた俳優“デヴィッド・プラウズ”。しかし、彼はジョージ・ルーカスとの間にトラブルが重なり、ある事件をきっかけに「スター・ウォーズ」公式ファンイベントへの出入りを禁じられてしまう。その真実を探るべく、“ダース・ベイダー”を深くリスペクトする映像クリエーター達が立ち上がり、世界一有名な悪役を演じた、マスクの下の男の人生の光と影を描き出していく―。そして、最後にもう一度だけ、史上最も有名な悪役になって、あの“名シーン”を演じて欲しいと、デヴィッド・プラウズへの説得を試みる―。
インベージョン | 映画 | 無料動画GYAO! (yahoo.co.jp)
地球外からやってきた謎の生命体。それは眠っている間に人間の習性を変異させ、次々と魂のないレプリカントを生み出していく。ワシントンD.C.の精神科医キャロル・べネル(二コール・キッドマン)と同僚のベン・ドリスコル(ダニエル・クレイグ)は、原因をいち早く究明しウイルス拡大の阻止に乗り出す。生き残る術はただ一つ、決して眠らないこと。誰一人信用できない悪夢のような状況の中、二人はウイルスの侵攻を食い止めることができるのだろうか!? ジャック・フィニイ原作のSF小説『盗まれた街』を製作ジョエル・シルバーが映画化。ある朝突然、インベージョン≪侵略≫が始まる!
タイトル情報
インベージョン
二コール・キッドマン&ダニエル・クレイグ競演、戦慄のSFアクション大作
地球外からやってきた謎の生命体。それは眠っている間に人間の習性を変異させ、次々と魂のないレプリカントを生み出していく。ワシントンD.C.の精神科医キャロル・べネル(二コール・キッドマン)と同僚のベン・ドリスコル(ダニエル・クレイグ)は、原因をいち早く究明しウイルス拡大の阻止に乗り出す。生き残る術はただ一つ、決して眠らないこと。誰一人信用できない悪夢のような状況の中、二人はウイルスの侵攻を食い止めることができるのだろうか!? ジャック・フィニイ原作のSF小説『盗まれた街』を製作ジョエル・シルバーが映画化。ある朝突然、インベージョン≪侵略≫が始まる!