習近平政権が「千年の大計」として建設中の人工都市、雄安、第二のシンセンが誕生か?
雄安は上海・浦東や深センに続く国家レベルの特区で、2017年4月に設立構想が明らかにされた。人口2000万人を超える首都・北京の交通渋滞や不動産価格高騰など「大都市病」の解決が主目的だが、最先端テクノロジーの実験都市という役割も持ち、中国を代表するテック企業が最新のイノベーションを競っている。
EV(電気自動車)の充電スタンドがずらりと並ぶ駐車場には、中国IT大手・百度(バイドゥ)の自動運転車両が停車。雄安の中心地である市民センターを囲んで自動運転専用道路が敷かれ、自動運転技術の実用化に向けて日々実験が行われている。
近くを歩いていると、4輪駆動のロボットとすれ違った。中国EC大手・京東集団(JDドットコム)が実用化を進める自動配送ロボだ。「ユーザーが指定した場所にロボが着いたら、顔認証で荷物を受け取れる」(京東担当者)という。京東は無人コンビニや無人スーパーの実験店舗も出店し、実験を進める。
顔認証でチェックインや部屋の解錠ができる”未来のホテル”もある。今年7月に開業したばかりで、エントランス付近では一部工事が続いていた。通常の部屋で1人1泊約2万円と、やや高額だ。
深センは通信機器の華為技術(ファーウェイ)やドローンのDJIなどの世界企業を生み、“中国のシリコンバレー”と呼ばれる。巨大IT企業・騰訊(テンセント)が本社を、前出の百度もグローバル拠点をそれぞれ構え、現地のスタートアップを次々と買収・出資して彼らの成長を加速させる、というエコシステムを形成している。
だが、ユニコーン企業(企業価値10億ドル以上の未上場企業)を中国で最も多く輩出しているのは北京。特に北京大学や清華大学など中国随一の名門校が位置する中関村には、創業まもないベンチャー企業が中国全土から大挙して押し寄せている。