【7月7日 AFP】英国の駐米大使が、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領とその政権を「無能」で「例を見ないほど機能不全」と評していたことが、7日付の英大衆紙メール・オン・サンデー(Mail on Sunday)が伝えた流出メモの内容から明らかになった。

 同紙は、キム・ダロック(Kim Darroch)駐英大使が本国に送った機密の公電や報告メモを確認。同氏はトランプ政権が「大失敗」し「不面目な形で終わる」可能性を指摘。「この政権の機能不全や予測不能性、分裂状態、外交下手、無能さが、十分に健全化するとは全く考えていない」と述べている文書もあった。

 また、米国で広く報じられ、トランプ氏が「偽ニュース」と一蹴(いっしゅう)したホワイトハウス内部の「激しいいさかいや混乱」については「おおむね事実」と明言している。

 ダロック氏は英国有数のベテラン外交官で、トランプ氏が大統領に就任する前の16年1月から米国に駐在している。同紙は、今回確認した一連のメモは2017年以降のもので、広範囲にわたる英国の行政機構から流出した可能性を指摘している。(c)AFP

 

またBBCが「Facebookに掲載されたトランプ氏選挙広告の「支持者」、実は俳優 カフェはなんと東京の店」とすっぱ抜いている。

Travey from FloridaImage copyrightDONALD TRUMP/FACEBOOK

2020年アメリカ大統領選で再選を目指すドナルド・トランプ氏のフェイスブックの選挙広告に登場する「支持者」が、じつはウェブサイトで販売されている画像素材や動画素材のモデルや俳優とみられることが明らかになった。

6月に投稿された短い動画の1つには、「フロリダ州のトレイシーさん」とされる女性が、ビーチを歩く様子が映っており、「トランプ大統領は素晴らしい仕事をしている。彼よりいいアメリカ合衆国大統領など望めない」という音声がボイスオーバーされている。

しかし、この「フロリダ州のトレイシーさん」なる人物はモデルで、彼女の動画は映像素材を提供する米「ゲッティイメージズ」のウェブサイトで有料で購入できるものだった。ウェブサイトでは、ジョギングをしたり、倉庫で作業をしたり、犬の散歩をしたり、さらには医者の格好をした「トレイシーさん」素材も提供されている。

選挙広告動画の信ぴょう性について、最初に指摘したのは、ジャーナリストのジャッド・レーグム氏だ。

「トランプはそもそも、女性票、とりわけ若い女性からの票をうまく取り込めていない。だからフェイスブックやグーグルに載せる選挙広告に、トランプ大統領の大ファンの若い女性として『トレイシー』を使っているわけだ」

pic of TraceyImage copyrightTUTO PHOTOSImage caption「笑顔でビーチを歩く若い女性」の映像素材として販売されている

動画には下のほうに数秒間、「実際の言葉、俳優が演技」と小さな断り書きが現れる。しかし、一部の人たちからは、大統領は真の支持者を出演させられるうえ、何かあればすぐに「フェイクニュース」だと批判するのに、なぜ選挙広告に素材モデルを使用する必要があるのかという疑問の声が上がっている。

ある人はツイッターで、「再選を狙う選挙戦の宣伝に、なぜ海外の動画素材や素材モデルなどを使うんだ?アメリカで自分のために活動してくれる人を見つけられなかったのか?まさしくMAGA(『アメリカを再び偉大に』の略語)だ!」と投稿した。

別の広告では、コーヒーショップで働く「ワシントン州のトーマスさん」が笑顔で登場。「トランプ大統領とその家族は、全能なる神からの強さと知恵に対する我々の祈りとともにある」との音声がボイスオーバーされている。

Thomas from WashingtonImage copyrightDONALD TRUMP/FACEBOOK

しかし、この「ひげ面の若者」もまた、動画素材のウェブサイトで提供されており、様々なポーズをとった「トーマスさん」が確認できる。

さらにこの「トーマスさん」動画には、彼が働いているとされるコーヒーショップの外観も映っているが、場所はワシントン州ではない。なんと、東京だ。

動画には日本であることを隠そうとした痕跡が残されている。画面左上の看板に、不自然にモザイクがかけられている。

store frontImage copyrightDONALDTRUMP/FACEBOOK

元の動画には、はっきりと漢字の看板が映っている。

store frontImage copyrightRICHLEGGImage caption素材販売サイトでは、「小さな店舗の入り口、場所は日本・東京」となっている

政治広告に画像素材や動画素材が使用されたのは、今回が初めてではない。2016年の大統領選挙戦では、共和党のマーコ・ルビオ上院議員が「アメリカで再び朝を迎えよう」との広告に、カナダ・ヴァンクーヴァーの夜明けの動画を使用した。

ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事の支援団体は昨年9月、イギリスや東南アジアで撮影された販売素材をアメリカの光景だとして使用した。

今年1月には、トランプ氏の国境警備に関する政治広告に、モロッコからスペインへと流入するアフリカからの移民の映像を使っていた。