ニューズウィークによると米国防総省、モジュール型宇宙軍事基地案を募集中という!但し米国企業のみ!企業規模を売上だけから見ると、世界最大の宇宙産業企業のボーイングは、トヨタの3分の一。日本の宇宙産業の中核とされる三菱重工もそんなに弱小ではない。更にトヨタは凄いこととなるが、世界に対するインパクトは??
ボーイングの売上 ::1011億アメリカ合衆国ドル(11兆円)
三菱重工の売上高 ::3兆9,921億円
トヨタ自動車の売上 :: 30.23兆円
1960年代にあった有人の軍事宇宙ステーション構想図 Manned Orbiting Laboratory:MOL Credit: National Museum of The US Air Force
<米国防総省が、将来は宇宙基地となるかもしれない「Orbital Outpost(軌道前哨基地)」と呼ばれる地球低軌道の自律型宇宙ステーションの構築案を米国内企業から募集している......>
米国防総省(DoD)が、「Orbital Outpost(オービタル・アウトポスト:軌道前哨基地)」と呼ばれる地球低軌道の自律型宇宙ステーションの構築案を米国内企業から募集している。将来は有人滞在も視野に入っており、文字通り宇宙基地となるかもしれない。提案は2019年7月9日まで受け付けられ、2020年度の予算で開発が始まるという。
募集要項によれば、宇宙ステーションは次のスペックが要求されている。
・1立方メートル以上の内部空間
・80キログラム以上のペイロード
・1キロワット時以上の電力供給
・100kbps以上の通信性能
・0~1気圧までの気密性能
モジュール型で拡張性を持った提案が望ましいとされ、「宇宙製造」「微小重力実験」「ロジスティクス」「ストレージ」「製造」「教育」「試験」「評価」「ペイロードホスティング」などの目的で使用されるという。
将来的には、結合機能やロボットアームやエンジンを取り付けられるインターフェース、有人/無人を含む同型の他のモジュールとの結合などの機能が求められる。さらに、軌道間の移動、低軌道以遠で放射線からの防護目的での使用といった可能性もある。
募集しているのは国防イノベーションユニット(DIU)という国防総省の部署で、最先端の技術や科学者を始めとする専門家へアクセスする窓口だ。米国で国防上の要請による宇宙開発は企業を支える重要な資金となっている。ボーイングやロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマンといった旧来の航空宇宙企業はもちろん、イーロン・マスクのスペースXやジェフ・ベゾスのブルー・オリジンといった企業も、空軍の衛星打ち上げロケット計画に採用されることが大きな目標の一つだ。
1960年代の軍事宇宙ステーション
軌道上の軍事宇宙ステーションという構想は新しいものではない。1960年代には、NASAの有人宇宙計画「ジェミニ計画」で開発されたジェミニ宇宙船を基に、有人の軍事宇宙ステーション「Manned Orbiting Laboratory:MOL」を開発する構想があった。1963年当時、空軍の中での名称は「Manned Military Orbiting Laboratory(有人軍事軌道実験室)」だったが、計画発表の際にジョンソン大統領が「軍事」の語を外したという。とはいえ軍の偵察衛星シリーズを踏襲する「KH-10」のコードがつけられており、軌道上から宇宙飛行士が地上を偵察するという構想だった。
空軍はもともと、ダイナソー計画という独自の有人宇宙船開発を持っていた。しかし60年代に入って有人月面探査計画が始動し、アポロ計画の前段階であるジェミニ計画の宇宙船を利用すれば、より短期間で開発が可能だと考えられた。MOLは有効径152センチメートルの望遠鏡を備え、2人乗りのジェミニ B宇宙船と接続されている。30日間のミッションが可能で、現在の国際宇宙ステーションと同様に地球を南北に周回し偵察任務を実施する予定だった。
1960年ごろから始まったMOLの開発計画は、実現前の1969年に終了した。ベトナム戦争によって予算が逼迫する中、ジェミニ宇宙船を流用するとはいえ、費用のかさむ有人宇宙計画を実行できなくなったためだ。宇宙船を南北の軌道に乗せるには、フロリダ州ではなくカリフォルニア州のヴァンデンバーグ空軍基地に打ち上げ射場の新設が必要で、こうした費用もかかった。
現代の軍事宇宙ステーションを誰が作るのか
MOLを開発したのは、ジェミニ宇宙船を開発したマクダネル(現:ボーイング)だ。ボーイングは国際宇宙ステーション(ISS)の開発主契約者でもあり、現代でも有人宇宙船の開発技術を持っている。では、オービタル・アウトポスト計画に参加するのもこういった企業なのだろうか。
オービタル・アウトポスト計画の募集が始まる直前の2019年6月21日、NASAはISSに民間の宇宙モジュールを追加する計画を発表し、参加企業の募集を開始した。ISSのノード2、またはハーモニーモジュールを開放して接続できるようにするという。6月に発表されたISSに滞在する宇宙旅行の開放と同様に、商用化政策の一環だ。
こうした民間のISSモジュール開発に参加している企業には、将来の宇宙ホテルを構想し、ISSで有人滞在モジュール実験が3年目を迎えたビゲロー・エアロスペースや、2019年後半から民間エアロック「ビショップ」の実証を開始し、商用有人施設の計画を持っているナノラックスなどがある。NASAとDoD、ほぼ同時期に宇宙ステーションの提案を募集していることから、同じ顔ぶれがDoD側宇宙ステーションに参入してくる可能性はかなりあるだろう。
ナノラックスは、NASAのISS商業モジュール提案募集の際、参入への意欲は語りつつも「NASAは地球低軌道がすぐに儲かるビジネスの場になると期待しすぎではないか」と釘を差した。新興の企業からすれば、ISSに参入したからといってすぐ利益を出せるビジネスが育つとは限らない。NASAには、長期的にしっかり育てるつもりで支援してほしいというのが本音だろう。
そこに、将来の利用を見越してDoDが別の資金を供給すれば、双方歓迎ということになるのではないか。60年代、NASAがジェミニ宇宙船を育て、空軍がそれを改良して利用するという計画は実現しなかった。だが、そうした軍民相乗り型の宇宙開発が有人宇宙の分野で再び行われようとしているのかもしれない。
下のURLが、ナノラックスが2019年末に実証を開始するビショップエアロックのコンセプト動画