先端技術とその周辺

ITなどの先端技術サーベイとそれを支える諸問題について思う事をつづっています。

米国防総省、モジュール型宇宙軍事基地案を募集中。ただし米国企業のみ!

2019年07月11日 09時14分46秒 | 日記

ニューズウィークによると米国防総省、モジュール型宇宙軍事基地案を募集中という!但し米国企業のみ!企業規模を売上だけから見ると、世界最大の宇宙産業企業のボーイングは、トヨタの3分の一。日本の宇宙産業の中核とされる三菱重工もそんなに弱小ではない。更にトヨタは凄いこととなるが、世界に対するインパクトは??

 

 ボーイングの売上  ::1011億アメリカ合衆国ドル(11兆円)

 

三菱重工の売上高  ::3兆9,921億円

 

トヨタ自動車の売上 :: 30.23兆円


1960年代にあった有人の軍事宇宙ステーション構想図 Manned Orbiting Laboratory:MOL Credit: National Museum of The US Air Force

<米国防総省が、将来は宇宙基地となるかもしれない「Orbital Outpost(軌道前哨基地)」と呼ばれる地球低軌道の自律型宇宙ステーションの構築案を米国内企業から募集している......>

米国防総省(DoD)が、「Orbital Outpost(オービタル・アウトポスト:軌道前哨基地)」と呼ばれる地球低軌道の自律型宇宙ステーションの構築案を米国内企業から募集している。将来は有人滞在も視野に入っており、文字通り宇宙基地となるかもしれない。提案は2019年7月9日まで受け付けられ、2020年度の予算で開発が始まるという。

 

募集要項によれば、宇宙ステーションは次のスペックが要求されている。
・1立方メートル以上の内部空間
・80キログラム以上のペイロード
・1キロワット時以上の電力供給
・100kbps以上の通信性能
・0~1気圧までの気密性能

モジュール型で拡張性を持った提案が望ましいとされ、「宇宙製造」「微小重力実験」「ロジスティクス」「ストレージ」「製造」「教育」「試験」「評価」「ペイロードホスティング」などの目的で使用されるという。

将来的には、結合機能やロボットアームやエンジンを取り付けられるインターフェース、有人/無人を含む同型の他のモジュールとの結合などの機能が求められる。さらに、軌道間の移動、低軌道以遠で放射線からの防護目的での使用といった可能性もある。

募集しているのは国防イノベーションユニット(DIU)という国防総省の部署で、最先端の技術や科学者を始めとする専門家へアクセスする窓口だ。米国で国防上の要請による宇宙開発は企業を支える重要な資金となっている。ボーイングやロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマンといった旧来の航空宇宙企業はもちろん、イーロン・マスクのスペースXやジェフ・ベゾスのブルー・オリジンといった企業も、空軍の衛星打ち上げロケット計画に採用されることが大きな目標の一つだ。

1960年代の軍事宇宙ステーション

軌道上の軍事宇宙ステーションという構想は新しいものではない。1960年代には、NASAの有人宇宙計画「ジェミニ計画」で開発されたジェミニ宇宙船を基に、有人の軍事宇宙ステーション「Manned Orbiting Laboratory:MOL」を開発する構想があった。1963年当時、空軍の中での名称は「Manned Military Orbiting Laboratory(有人軍事軌道実験室)」だったが、計画発表の際にジョンソン大統領が「軍事」の語を外したという。とはいえ軍の偵察衛星シリーズを踏襲する「KH-10」のコードがつけられており、軌道上から宇宙飛行士が地上を偵察するという構想だった。

 

空軍はもともと、ダイナソー計画という独自の有人宇宙船開発を持っていた。しかし60年代に入って有人月面探査計画が始動し、アポロ計画の前段階であるジェミニ計画の宇宙船を利用すれば、より短期間で開発が可能だと考えられた。MOLは有効径152センチメートルの望遠鏡を備え、2人乗りのジェミニ B宇宙船と接続されている。30日間のミッションが可能で、現在の国際宇宙ステーションと同様に地球を南北に周回し偵察任務を実施する予定だった。

 

1960年ごろから始まったMOLの開発計画は、実現前の1969年に終了した。ベトナム戦争によって予算が逼迫する中、ジェミニ宇宙船を流用するとはいえ、費用のかさむ有人宇宙計画を実行できなくなったためだ。宇宙船を南北の軌道に乗せるには、フロリダ州ではなくカリフォルニア州のヴァンデンバーグ空軍基地に打ち上げ射場の新設が必要で、こうした費用もかかった。

現代の軍事宇宙ステーションを誰が作るのか

MOLを開発したのは、ジェミニ宇宙船を開発したマクダネル(現:ボーイング)だ。ボーイングは国際宇宙ステーション(ISS)の開発主契約者でもあり、現代でも有人宇宙船の開発技術を持っている。では、オービタル・アウトポスト計画に参加するのもこういった企業なのだろうか。

オービタル・アウトポスト計画の募集が始まる直前の2019年6月21日、NASAはISSに民間の宇宙モジュールを追加する計画を発表し、参加企業の募集を開始した。ISSのノード2、またはハーモニーモジュールを開放して接続できるようにするという。6月に発表されたISSに滞在する宇宙旅行の開放と同様に、商用化政策の一環だ。

こうした民間のISSモジュール開発に参加している企業には、将来の宇宙ホテルを構想し、ISSで有人滞在モジュール実験が3年目を迎えたビゲロー・エアロスペースや、2019年後半から民間エアロック「ビショップ」の実証を開始し、商用有人施設の計画を持っているナノラックスなどがある。NASAとDoD、ほぼ同時期に宇宙ステーションの提案を募集していることから、同じ顔ぶれがDoD側宇宙ステーションに参入してくる可能性はかなりあるだろう。

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ナノラックス開発によるビショップエアロックモジュール Credit: The Huston Chronicle

 

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Credit: NanoRacks

 

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ISS取り付けから3年目を迎えたビゲローの宇宙モジュール。将来は宇宙ホテルとしての使用も考えられている。Credit: NASA 


ナノラックスは、NASAのISS商業モジュール提案募集の際、参入への意欲は語りつつも「NASAは地球低軌道がすぐに儲かるビジネスの場になると期待しすぎではないか」と釘を差した。新興の企業からすれば、ISSに参入したからといってすぐ利益を出せるビジネスが育つとは限らない。NASAには、長期的にしっかり育てるつもりで支援してほしいというのが本音だろう。

そこに、将来の利用を見越してDoDが別の資金を供給すれば、双方歓迎ということになるのではないか。60年代、NASAがジェミニ宇宙船を育て、空軍がそれを改良して利用するという計画は実現しなかった。だが、そうした軍民相乗り型の宇宙開発が有人宇宙の分野で再び行われようとしているのかもしれない。

下のURLが、ナノラックスが2019年末に実証を開始するビショップエアロックのコンセプト動画

ここから動画→https://youtu.be/d6lBmmxScsI←ここまで動画

ブロックチェーン技術でロヒンギャ難民を救える!?

2019年07月11日 08時38分59秒 | 日記
ニューズウィークによると、ブロックチェーン技術で無国籍状態のロヒンギャ難民を救え、同じように世界中の難民救済に使えると言う。どういう事かと言うと、難民は、政府が無いから、個人の識別を出来ない。それで、ブロックチェーンで各人にデジタルIDを持ってもらい、各人に行政サービスが出来る。例えば、社会奉仕をした人には報酬をデジタルIDにより渡せるというわけ。特定のWebサイトでデジタルIDを発行しても、信頼性が無いが、ブロックチェーンなら、多数のWeb サイトが同じ情報を持つように同期しているから、データの信用性が高いという特質がある。

と言う事えブロックチェーンが難民救済にも大いにやくにたつというわけで、なるほどと思った。


身分証のないロヒンギャは受け入れ国で闇経済に頼らざるを得ない ADNAN ABIDIーREUTERS

<身分証がないイスラム系少数民族にデジタルIDを与え金融や教育、医療サービスを利用可能に>

マレーシアの首都クアラルンプールにあるビルの2階。壁の3つの時計はそれぞれマレーシア、サウジアラビア、そしてミャンマー(ビルマ)西部ラカイン州の現地時間を示している。

 

ここはミャンマー政府の弾圧を逃れたイスラム系少数民族ロヒンギャが運営するTV局、ロヒンギャ・ビジョン(Rビジョン)の拠点だ。12年の設立以来、彼らの故郷ラカイン州のロヒンギャの危機に焦点を当てており、近年は増え続ける難民の問題に注目。ニュースルームは世界各地のロヒンギャの結束と士気高揚を目指す活動の拠点でもある。

マレーシア在住のロヒンギャのまとめ役であるムハンマド・ヌールは17年、ロヒンギャ・プロジェクトを開始。国籍を持たず公的なID(身分証)のないロヒンギャが受け入れ国の金融制度を利用できない状況を解決するのが狙いだ。「改ざん困難で、非中央集権型の、何者も停止できないブロックチェーンでデジタルIDをつくりたい」

仏教徒が多数派のミャンマーで、イスラム系のロヒンギャは政府に迫害され続け、1982年制定の国籍法によって大半が無国籍状態に陥っている。

ヌールらは(政府など中央当局ではなくコンピューターネットワークに情報を保管する)ブロックチェーン技術を利用。手始めにマレーシア、バングラデシュ、サウジアラビアの闇経済に頼らざるを得ない同胞難民たちにデジタルIDを提供し、金融、教育、医療などのサービスを使えるようにするという。

報酬をトークンで支払い

過去数年、ブロックチェーン技術で人道上の問題を解決しようと、マイクロソフトやアクセンチュアなどのグローバル企業からスタートアップまで、多くの企業がデジタルIDに参入。「収集された難民のデータを独裁国家が悪用する恐れがある」と懸念する専門家もいる。

ロヒンギャ・プロジェクトはロヒンギャ1000人を対象とする第1弾のデジタルIDカード試用計画を19年末まで延期した。「デジタルIDとブロックチェーンは非常に急速に進化している。セキュリティーとプライバシー保護の要件を全て満たす必要がある。確実にデータが安全でなければならない」と、ヌールは語る。

同プロジェクトは今年1月、複数のNGOによるデジタルID推進計画の参加団体に選ばれた。7月にはマレーシアで、社会貢献活動をしたロヒンギャの報酬をトークンで支払う新たな試みを実施。トークンはラップトップPCなどと交換できるが現状では換金はできないため、「ブロックチェーンを利用しているが仮想通貨ではない」と、ヌールは強調する。

 

現在ロヒンギャは世界全体で推定最大350万人。ミャンマー国内よりも国外に逃れた人々がはるかに多い。17年の弾圧で70万人以上がラカイン州から隣国バングラデシュに大量流出した。ルワンダ虐殺以降、世界でも最悪のペースだ。

 

自分はまだ運がいいとヌールは言う。彼の家族は70年代にラカイン州を離れ、彼自身はサウジアラビアで生まれ育った。00年代初めにマレーシアに渡ってコンピュータ―科学を学び、その後ロヒンギャ語のデジタル化に参加。18年6月にはロヒンギャ文字が文字コードの国際標準規格ユニコードに追加された。

36歳のヌールはそうやって一歩ずつ大きな夢に近づいている。「ロヒンギャはひどい扱いを受けて常に劣等感を抱いている。自分たちの誇りを取り戻したい。国として再生させたいんだ」


アフリカからメキシコ湾までつづく巨大な藻のベルトが出現

2019年07月11日 08時27分04秒 | 日記

アフリカからメキシコ湾までつづく巨大な8850Kmもの、長距離のホンダワラ属の藻のベルトが出現。今後、常態化する現象で、海洋に対する自然の形態の大きな影響を与えるであろうと言う。ニューズウィークのレポート:

ブラジルでの森林減少や肥料消費量の増加によって、春から夏にかけて、アマゾン川から海に栄養が過剰に流入し、冬は、西アフリカ海岸沖で、海水が深層から表層に上昇する「湧昇」の現象によって深海から海面に栄養が移動する。研究チームは、このように海中の栄養が豊富となることで、サルガッサムが大量に繁殖しているのではないかとみている。

カリブ海アンディグア島を覆う藻のベルト Mark Antigua-YouTube

<西アフリカからメキシコ湾にかけて、「大西洋サルガッサム巨大ベルト」と呼ばれる巨大な褐藻の塊が広がっていることが明らかとなった......>

西アフリカからメキシコ湾にかけて、巨大な褐藻の塊が広がっていることが明らかとなった。これは「大西洋サルガッサム巨大ベルト(GASB)」と呼ばれ、浮遊性のホンダワラ属の海藻「サルガッサム」が大繁殖したことによるものだ。

 

アメリカ南フロリダ大学の研究チームは、アメリカ航空宇宙局(NASA)の地球観測衛星から中分解能撮像分光放射計(MODIS)が2000年から2018年まで測定したデータを用いてサルガッサムの繁殖状況を分析し、2019年7月5日、学術雑誌「サイエンス」で研究論文を発表した。

8850キロメートルの巨大ベルトが出現

これによると、2011年以降、毎年夏に、海中でサルガッサムが大量に繁殖するようになり、2018年6月には、西アフリカからカリブ海を経てメキシコ湾にいたる8850キロメートルにわたり、重さ2000万トン以上のサルガッサムが群集する「大西洋サルガッサム巨大ベルト」が出現したという。

 

サルガッサムは、光合成によって酸素を放出し、これが群落を形成する藻場では、カメや魚、カニ、イルカなど、様々な海洋生物が生息している。しかし、大量に繁殖すると、海洋生物の移動や呼吸を妨げたり、大きな塊となって海底に沈んでサンゴや海草を窒息させるおそれもある。

島国バルバドスでは、国家非常事態を宣言

腐敗した大量のサルガッサムが海岸に漂着し、硫化水素を発することで、周辺住民や観光客の健康に害を及ぼす可能性もある。カリブ海の島国バルバドスでは、2018年6月10日、海岸に大量のサルガッサムが漂着したことで、政府が国家非常事態を宣言した。

2011年以前、サルガッサムのほとんどはメキシコ湾とサルガッソ海で観測されていたが、2011年、大西洋中央部など、それまで観測されていない海域でも、サルガッサムが大量に繁殖しはじめた。

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メキシコ湾を襲ったサルガッサムを撤去する人々 Israel Leal-REUTERS.2018.

 

ブラジルの肥料消費量の増加や森林減少率の上昇と相関関係が

研究チームではこの原因を解明するべく、ブラジルでの肥料消費量やアマゾンの森林減少率、アマゾン川からの流入量などを分析した結果、2010年以降の肥料消費量の増加や森林減少率の上昇とサルガッサムの大量繁殖に相関が認められた。

森林減少や肥料消費量の増加によって、春から夏にかけて、アマゾン川から海に栄養が過剰に流入し、冬は、西アフリカ海岸沖で、海水が深層から表層に上昇する「湧昇」の現象によって深海から海面に栄養が移動する。研究チームは、このように海中の栄養が豊富となることで、サルガッサムが大量に繁殖しているのではないかとみている。

気候変動と関連。今後は常態化か

研究論文の共同著者でもある南フロリダ大学のチュアンミン・フー教授は「この現象は結局、気候変動と関連している。なぜなら気候変動によって、降水量や海洋循環はもとより、人々の行動までも影響を受けるからだ」としたうえで、「過去20年の観測データによれば、『大西洋サルガッサム巨大ベルト』は今後、常態化するだろう」との見方を示している。

 

謎の高速電波バーストの発生源を特定、 新たな発見で謎深まる?

2019年07月11日 07時42分54秒 | 日記

謎の高速電波バーストの発生源を特定、単発は初。遠い宇宙の電波爆発はなぜ起きる? 新たな発見で謎深まる?National Geographic誌の記事より。天文の世界は未知のことが次々出てきて、自然科学の中では、最も謎が多く発見出来る分野であろう。

オーストラリアの電波望遠鏡アレイ「ASKAP」を構成する36台のアンテナの一部。天文学者たちはこの望遠鏡を利用して、単発の高速電波バーストの発生源を初めて特定した。(PHOTOGRAPH BY CSIRO)
 

 はるかな昔、地球から遠く離れた銀河で、謎の天体が宇宙に向けて爆発的な電波(電波バースト)を放射した。そのパルスを2018年9月、オーストラリア西部にある電波望遠鏡アレイがとらえた。電波バーストの持続時間はほんの数ミリ秒だったが、科学者たちはそれを遡った。そうして発生源をつる座の方向に約36億光年離れた銀河と特定、6月27日付けで学術誌「サイエンス」に発表した。

 天文学者たちは10年ほど前からこうした電波バーストを数多く観測してきたが、単発の電波バーストの発生源を特定することに成功したのは今回が初めて。こうした高速電波バースト(fast radio burst:FRB)の発生源が明らかになれば、その激しい爆発にエネルギーを供給する機構を絞り込むのに役立つはずだ。

「発生源を特定することは重要です。今後さらに発生源が特定されていけば、この現象の多様性が示され、電波バーストの発生機構を解き明かすのに役立つでしょう」と、今回の論文を執筆したオーストラリア連邦科学産業研究機構のキース・バニスター氏は語る。

 けれども現時点では、新たな観測結果は謎を深めることになった。

 高速電波バースト研究の第一人者であるオランダ、アムステルダム大学のエミリー・ペトロフ氏は、「高速電波バーストの正体に近づくことができたかどうかはわかりませんが、全体像には一歩近づいたと思います」と言う。

繰り返しバースト発生させる矮小銀河

 高速電波バーストが最初に話題になったのは約10年前のこと。米ウェストバージニア大学の天文学者ダンカン・ロリマー氏が、観測データの中から1秒にも満たない短時間の電波バーストを発見した。宇宙から来た電波だというロリマー氏の主張に対し、ありふれた電波なのではと疑う研究者もいた。あまりにも遠くから、あまりにも強い電波が来ているように思われたからだ。

 けれどもその後、さらなる電波バーストが観測され、なかには複数の望遠鏡でとらえられるものもあったため、天文学者たちは遠方にある電波バーストの発生源を真剣に探すようになった。

2016年、プエルトリコのアレシボ天文台で観測を行っていた天文学者チームが、FRB 121102という電波バーストが繰り返し電波を放射していると発表した。ほかの電波バーストとは異なり、FRB 121102の電波バーストはまだ終息しておらず、科学者たちは2017年に、それが約30億光年の彼方にある、奇妙なしみのような矮小銀河であることを突き止めた。

 電波バーストの発生源について現在有力な説の1つは、非常に強い磁場をもつ、生まれたばかりの中性子星(寿命の短い大質量星が大爆発を起こして死んだあとに残る天体)によるものとする考えだ。このような天体はマグネターと呼ばれている。しかし、各国の望遠鏡がこれまでにとらえた数百の高速電波バーストの発生源は、基本的にはまだわかっていない。

新たなタイプの発生源

 そこで、バニスター氏らはオーストラリアの電波望遠鏡アレイ「ASKAP(Australian Square Kilometre Array Pathfinder)」を使って電波バーストを探すことにした。

 ASKAPの数キロメートル四方の範囲に分散して設置された36台のアンテナを使えば、宇宙からきた電波バーストが個々のアンテナに到達する時刻のわずかな差を利用して、空のどの領域から来ているかを特定することができる。2018年9月24日、単発の電波バーストの発生源を特定するための特殊なソフトウエアを走らせていたASKAPは、ついに獲物をとらえた。現在FRB 180924と呼ばれている電波バーストである。

 ハワイとチリの光学望遠鏡を使って行われた追跡観測により、FRB 180924は約36億光年の彼方の銀河から来ていたことが突き止められた。この電波バーストは、大きな銀河、おそらく天の川銀河によく似た渦巻銀河のはずれから来ていた。

「FRB 180924の発生源の銀河自体はありふれたものです」とバニスター氏は言う。「宇宙にあるほとんどの星は、このような銀河の中にあるからです。けれどもこの銀河は、FRB 121102の発生源の銀河とは大きく違っています」

参考ギャラリー:天の川銀河のブラックホール、波打つ土星の環。
天の川銀河(銀河系)の超大質量ブラックホール「いて座A*」周辺のちりと磁場。(COMPOSITE IMAGE BY NASA)

 FRB 180924の発生源の銀河は、FRB 121102の発生源である奇妙なしみのような矮小銀河の約1000倍の質量をもち、はるかにゆっくりしたペースで星を生み出している可能性がある。それが本当なら、マグネターのような「死んだばかりの星」がそう簡単に存在しているはずがない。爆発して中性子星になるような大質量星は、星がもっと速く形成される領域にあるのが普通だからだ。

 ペトロフ氏は、「2つの銀河にここまで大きな違いがあるのは不思議ですが、高速電波バーストの発生源についてわからないことがまだまだ多いことを私たちに教えてくれているのだと思います」と言う。「これがFRB 121102の発生源の銀河のような矮小銀河でなかったことは、私にとってはある意味救いでした。それでは話が単純すぎますから!」

 天文学者はこれからどうすればよいのだろうか? より多くの電波バーストが観測され、その発生源が特定されれば、高速電波バーストの込み入った物語の糸口がつかめるだろう。バニスター氏らは、最終的には、電波バーストのエネルギー供給源は複数見つかるかもしれないと考えている。

「高速電波バーストの発生機構は1つではないと考えるようになりました」と、バニスター氏。「科学者にはすべてを統一したいという願望が備わっていますが、自然はときどき私たちを出し抜くのです」