先端技術とその周辺

ITなどの先端技術サーベイとそれを支える諸問題について思う事をつづっています。

久しぶりの読書、「歴史の失敗学」かなりのものであった。

2019年12月21日 18時45分11秒 | 日記

 

図書館で、加来耕三という歴史作家の 『歴史の失敗学: 25人の英雄に学ぶ教訓』を読んだ。山岡宗八の大絵巻、徳川家康を読んでも、家康は必ずしも、戦いで成果を上げていないし、天下取りにしても、棚から牡丹餅で、いささか姑息な策略で採っている。この大絵巻からも、色々教訓が得られるが、歴史の失敗学では、手際良く教訓がまとめられていて面白かった。

そういう事で、

◎家康は想像できないほどの絶望の中でも寛容さを持つことができた人物。長男の松平信康を死なせた家臣の酒井忠次(さかい・ただつぐ)を、徳川四天王の1人として重用していると指摘。

 

◎武田信玄との「三方ヶ原の戦い」大敗も、家康は史書に記述させ、敗北を子孫に学ばせるためだったと指摘。

◎更には、三方ヶ原の失敗を武田信玄の勝った立場から学び、関ヶ原の成功をもたらしているという。

◎あるいは、秀吉が豊国神社に「豊国大明神(とよくにだいみょうじん)」として神と祀られるようになったのなら、俺もなろうと自分も神になろうとする。家康は「東照大権現(とうしょうだいごんげん)」として神格化され、日光東照宮などに祀られています。

◎家康は幼少期を織田氏や今川氏の下で人質として過ごし、我慢を強いられて育った経験が家康の性格に影響していると指摘。家康は絶望の中で開き直り、悟った。自分より能力が高い部下がいれば、使えばいい。軒(のき)を貸すだけでなく、母屋(おもや)まで貸してもいいといった度量がありました。

◎自分の力量の限界を知る家康は、部下にすがるしかありませんでした。だから優秀な部下に対して、寛容さを発揮しました。長男さえも自刃させる羽目に陥った経験はつらいものです。天下を取ったが、天下人の座は何日続くのかと考える。豊臣家を滅ぼしたら、今度は自分の死んだ後が心配になる。家康は生き残るのに必死でした。それでも頑強だったから、天下を取れた。現代人も、自分の体力を過信すると、ここぞというときに病気をします。そうならないように家康は気を付けていました。 あの時代にしては珍しく、家康には「予防医学」とも言える健康に対する強い関心がありました。毎朝起きたら刀を振る。馬に乗って、弓を引く。鷹狩りにも出かける。普通なら獲物がいないとやめるが、家康は最初のルール通りにやる。体を動かし、汗をかくのがいいことを知っていました。

◎家康は医学に詳しく、調合した秘薬がいくつもあり、大名たちが欲しがっていたほどです。家康が死んだ後も、大名たちはどうやったら秘薬が手に入るのかを気にしていた。

◎秘薬を分け与える際のランクまで家康は決めていました。この薬は2親等、あの薬は3親等までなら与えるといった感じです。家康は自分の寿命を本当に真剣に考えていました。自分が死んだら徳川家はなくなる。だから1日でも長生きしたいと。

◎健康に徹底してこだわっており、家康はリスクがある女性を近づけませんでした。秀吉は手当たり次第でしたが、家康は違います。朝鮮出兵で有名な加藤清正は、梅毒で死んだという説があります。浅野幸長(あさの・よしなが)が梅毒で死んだことは徳川家の「当代記」に記されており、加藤清正についても「好色の故、虚の病」といったふうに指摘されています。

◎むやみやたらと手を出さなかったのは、リスク管理のためだったように思います。家康には多くの側室がいましたが、一度子供を産んでいる女性を好んで選びました。この結果、家康は11男、5女という多くの子宝に恵まれました。

◎家康がそんなところにまで気を配っていたとは驚きです。健康管理にかけては、信長や秀吉と比べて一枚も二枚も上手だったんですね。慎重な性格がうかがえます。

と言うような事で、何度読んでも、面白い本であった。

 

中国企業社債のデフォルト過去最高。世界経済への影響が大きいのでは?

2019年12月21日 14時06分13秒 | 日記
 

[香港/上海 17日 ロイター] - 中国で今年、民間企業の社債デフォルト(債務不履行)率が過去最高を記録した。米中貿易摩擦の影響で、中国の経済成長率が約30年ぶりの低水準に減速したことが背景にある。

中国当局は、中央・地方政府を後ろ盾として企業が暗黙の保証を受けているという市場参加者の思い込みを、躍起になって振り払おうとしている。この結果、一部の国有企業の財務状態が悪化しており、近くオフショア社債市場にも影響が波及する可能性がある。

もっとも、これによって社債利回りがより正確にリスクを反映するようになり、発行体の強弱に応じて利回りが異なる正常な姿に近づく可能性があるため、健全な動向だと見られている。

香港に上場する自動車メーカー、浙江吉利控股集団や、政府系の複合企業である華潤創業(チャイナリソーシズ)など強力な発行体には、ここ数週間も問題なく投資家の資金が流入を続けている、と銀行関係者らは指摘している。

<オンショア市場の状況>

格付け会社のフィッチによると、オンショアで債券を発行した中国の民間企業のうち、今年1─11月にデフォルトが発生した比率は過去最高の4.9%となり、2018年の4.2%から上昇した。フィッチはオンショア社債市場の規模を19兆元(2兆7000億ドル)と推計している。

S&Pグローバルのデータでは、国有企業と民間企業を合わせた1―10月のデフォルト額は1000億元(142億ドル)を超え、昨年1年間の1100億元に迫っている。

ロイターの試算では、今年デフォルトを起こしたのは国有企業6社と民間企業42社だ。

当局が今年5月、内モンゴル自治区の包商銀行を公的管理下に置き、一部投資家がヘアカット(元本削減)を受け入れたのをきっかけに、市場に緊張が広がった。

内モンゴルのフフホト市政府が所有するフフホト経済技術開発区の投資会社は今月、10億元の債券の一部を期限までに返済できなかった。

利回りが急上昇している社債もある。中国の省で2番目に債務の多い貴州省の紅果経済開発区が発行した3年物債券の利回りは、この夏の6%前後から足元で14%に跳ね上がった。

<オフショア市場の状況>

中国国有企業のデフォルトは珍しいが、国際市場で発行した社債のデフォルトとなると、さらに少ない。しかし、こうしたオフショア市場でも一部でリスクが意識されている。リフィニティブのデータによると、中国のオフショア債券市場の規模は現在760億ドル。

S&Pは、今後2年以内に満期を迎えるオフショア債は2000億ドル超と、今年の890億ドルから増えるため、リスクは増大するだろうと警告している。

問題を抱えた企業の1つが天津の資源商社、天津物産集団だ。ムーディーズ・インベスターズ・サービスによると、同社が11月末にオフショア債で返済期限を守れず債務再編を実施したのは、主要国有企業として過去20年間で最初の事例だった。

北京大学系の持ち株会社、北京方正集団は今月2日、オンショア債の返済を滞らせ、資金手当てに奔走中だ。ノムラによると、20日に終わる猶予期間内に返済できなければ、オフショア市場で29億5000万ドルの「クロスデフォルト」(同一の借り手が1つのデフォルトを起こすと他の債務もデフォルトと見なされ、期限前返済を迫られること)が起こる見通しだ。

この一件を受け、一部の大学関連債券の価格は急落した。


アルミ2次電池の状況

2019年12月21日 12時41分48秒 | 日記


Li電池が、厖大な数のスマホで使われているにもかかわらず、原料が稀少で採掘し難いと言う事で価格が高止まりしている。それで、無限の資源と思われて、再利用可能なアルミを使う、充電可能なアルミ2次電池の研究が進められている。素人考えでも、Alイオンは3価(Al3+)で、Liイオンは1価なので、電気発生には最適かと思うが、幾つかの要因がLiイオン電池に比べ悪いとかで有るが、

①端緒重量当たりの電気発生量が、Liに比べ低い。(リチウム-:11400Wh/Kg アルミニウム-:8100Wh/Kg)

②Aアルミの荷電が強く(?)、電極が 腐食しやすい?

③出力電圧が低い(2V)

④充電可能回数が低い

で、あまり研究の取り組みが無かったが、ここにきて、かなりの研究が行われていたり、小容量のボタン電池が市販間近かになっている。

◎大阪大学准教授の津田哲哉氏の研究:産業技術総合研究所と共同で、既存のLiイオン2次電池(LIB)を超える重量エネルギー密度と出力密度を備え、しかも充放電を600サイクルまで繰り返すことができることを確認したとする。また、材料は汎用元素を使うため、格安で製造できる。

◎関西の㈱冨士色素が、電解質にイオン液体類似の深共晶溶媒系の電解液を用いたアルミニウム - 空気電池を開発している。2019年4月に、電解液に最適な添加剤を複合化させることで、全固体型のアルミニウム空気二次電池をボタン電池で作成することに成功したと発表。その理論容量はリチウムイオン電池の150~250Wh/kgと比較すると最大で54倍となる8100Wh/kgと、飛躍的に電池容量を増加させる可能性がある。

◎MITが、自動車用として安価で軽量コンパクトなアルミニウム空気電池の寿命を延ばす、新しい方法を開発した。研究成果は、2018年11月8日付の『Science』誌に掲載されている。アルミニウム空気電池は、正極に空気中の酸素、負極にアルミニウム、電解液には水酸化カリウムなどを用い、両極における酸化還元反応を利用して電流を生成する。アルミニウムは、資源的に豊富で安価であることに加えて、「化学エネルギーを最も高密度に貯蔵できる材料だ」と、研究チームの機械工学科Douglas P. Hart教授は説明する。酸素を外気から取り込むことで電池スペースを小さくすることができ、安価で軽量コンパクト、そして高容量の電池としての可能性を秘めている。

しかしアルミニウム空気電池では、使用開始の後、一度スタンバイの状態に入ると、アルミニウム電極がアルカリ性電解液により腐食され、急速に性能劣化が進行するという大きな問題がある。リチウムイオン電池は、1カ月のスタンバイ後、5%の電気しか失わないのに対し、アルミニウム空気電池は、1カ月でその電気の80%を失ってしまう。その他、副産物の除去など、実用化には多くの課題を解決する必要がある。

研究チームは、この腐食現象を顕著に抑制し、電池の有効期限(貯蔵寿命)を長くする方法を見出した。これは、薄いメンブレンを電極間に設置し、スタンバイ時に、アルミニウム電極と電解液の間に油の防壁を設けるデザインを考案したものだ。電池が使用されている間は、メンブレンの両側は電解液で満たされているが、電池がスタンバイに入ると、アルミニウム電極に近い側に油が導入され、メンブレンの反対側にある電解液からアルミニウム表面を守る。電池が再び使用されるときには、ポンプにより油を迅速に排出し、電解液に置き換える。その結果、エネルギー損失は1カ月で0.02%と、実に1000倍以上も改善されたことになる。

研究チームは、電池を繰返し使用し1~2日スタンバイさせるという条件において、従来の電池では3日間しか持たないのに対して、新電池では24日間持続させることに成功した。実用化に向けスケールアップした電池に、油とポンプシステムを組み込んだとしても、既存のリチウムイオン電池よりも、5倍軽量で2倍コンパクトであると報告している。

研究チームは、新技術の応用例として、リチウムイオン電池が電池切れになったときに、緊急的に航続距離を確保できるレンジエクステンダー用電池などを考えている。さらに、長い有効期限を持ったアルミニウム空気電池は、「現在のニッチな用途を超える応用がある」と期待している。研究チームは、新プロセスについて特許を出願している。

◎スタンフォード大学が研究している、折り曲げられるアルミニウム電池は、素早く充電でき、寿命も長くて、リチウム電池より安全(揮発性の素材ではなく、セルに穴が開いても引火しない)電極にも腐食しないグラファイト(炭素素材)を使って、優れたパフォーマンスが得られたと言う。また、7500回あまりの充電に、出力の損耗なく持ちこたえた。

実験ではイオン性電解液を使い、この点でもこのプロトタイプのセルは安全で、現状ではポリマーでコーティングした柔軟性のある小袋に収められている。電池の電圧は2ボルトで、デモビデオには、プロトタイプの電池2つを使ってスマートフォンを“1分弱で”充電する様子が写されている。

ただ、、電圧もエネルギー密度も、商用化のレベルには達していない。スタンフォードの化学の教授Hongjie Daiが、Stanford Report誌で、 “アルミ電池は典型的なリチウム電池の約半分の電圧だが、正極の素材を改良すれば電圧とエネルギー密度を上げることができ、安価な電極、高い安全性、高速充電、長寿命”とのべている。

 

基礎科学は、落ち着いて見れば、人間の将来に重要なテーマがごろごろ存在している。所が、基礎科学に従事している研究者、公共の研究所や大学や民間でも、すべからく、研究費の削減で、四苦八苦している。基礎科学軽視政策の為である。政治家や企業等の経営トップは考えを改めないと、日本は沈むしかない。