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集会報告、読書記録、観劇記録などの「ときどき日記」

満席だった教科書検定意見撤回を求める10・15総決起集会

2007年10月17日 | 集会報告
東京沖縄県人会、沖縄戦首都圏の会が星陵会館で開催した教科書検定意見撤回を求める10・15総決起集会に参加した(参加650人)。
この日朝、那覇空港を出発した沖縄県からの要請行動参加者は200人近くに上った。沖縄からの参加者も含め、会場は3階席まで満席、立ち見の人も多い盛況ぶりだった。この問題に国民がいかに強い関心が寄せているかを表す集会であった。

南部商業の95人の高校生が書いた寄書きを手に、壇上に勢ぞろいした沖縄県出身の参加者たち
1 国会議員、決意を語る
この日出席した国会議員(敬称略)は、民主・川内博史、喜納昌吉、公明・遠山清彦、社民・照屋寛徳、辻元清美ほか、共産・市田忠義、赤嶺政賢など9人、無所属・糸数慶子、川田龍平、と20人近い議員、自民以外の超党派の参加を得た。会場での発言からピックアップした。
川内博史 衆議院議員 民主党
もう一度教科用図書検定調査審議会を開かせるには、国会議決が必要だ。参議院ではせっかく野党が過半数を確保しているので、なんとしても採決に持ち込みたい。
山内徳信 参議院議員 社民党
本日、沖縄からの要請団と大野松茂副官房長官が面談したとき「政府は、検定結果に政治介入できないというが、最初に行政介入、思想介入したのは文部科学省のほうではないか」と申し入れた。実際あったことを「ない」とする教科書をつくるのは許さない。
遠山清彦 参議院議員 公明党
9.29県民集会に参加した。公明党は与党なので首相官邸で北側幹事長と渡海文部科学大臣の3人だけで2回会い、沖縄の声を直接届けた。また検定制度は中立・公正という建前を取っているが、審議会は議事録も公表しない、調査官がつくった原案をいったいどのように通したのか、検定制度そのもののあり方を長期的に検討したい。
川田龍平 参議院議員 無所属
わたしは1995年、19歳のとき実名を公表し薬害エイズの原告の一人として国を告訴した。その年、はじめて沖縄の平和祈念資料館を訪ね、むごい死体の写真をみた。東京に戻ると米兵少女暴行事件が報じられていた。沖縄の問題は教科書や辺野古だけではない。沖縄の問題を、過去の問題、被害者だけの問題とせず、今後も自分の問題として考えていきたい。
市田忠義 参議院議員 共産党書記局長
赤嶺政賢議員が11日の衆院予算委員会で、文科省提供の資料をもとに、この問題の発端を明らかにした。文科省調査官の「軍関与は、誤解するおそれのある記述」という調査意見書である。担当局長ら7人の決裁印があった。審議会には沖縄の専門家はおらず、だれからも意見が出なかった。そのうえこの調査官は沖縄戦の専門家の意見も聞いていないので学術的・公正な検討の結果とはいえない。文科省の自作自演の政治介入であったことは明々白日である。道理と大義はこちらにあるので、検定意見を撤回させ歴史の真実を回復させたい。

2 ひめゆり学徒の沖縄戦体験 上江田千代さん(ひめゆり同窓会東京支部副会長)

沖縄戦の悲惨な体験を語る上江田千代さんと檀上の議員たち
わたしは1944年4月に沖縄師範女子部に入学し、45年5月15歳のときに豊見城村の壕で働いた。壕は、ガマのように堅牢ではなく横穴を掘っただけなのできわめて危険な場所だ。入ると負傷者の血と汗と尿の臭いで気分が悪くなったが、すぐに慣れた。負傷者は歩けない人が大半。壕には軍医も衛生兵もおらず、わたしの仕事は1日1食のおむすびを握ることと水を飲ませることだった。負傷者が死ぬとすぐ外の穴に落として埋め、すぐ新たな負傷兵が運ばれてくるという繰り返しだった。戦況が悪化し壕の移転命令が出たが、歩ける人だけ連れて行く方針だったので全員に自決用の手榴弾が配られた。「生きて虜囚の辱めを受けるな」という戦陣訓の実践である。自分は「米軍につかまると裸にされ戦車でひき殺される」というデマを信じていたので手榴弾を受け取った。
ある将校から「親元に帰るように」と諭され、どうせ死ぬなら両親といっしょにと思い実家に戻った。
しかしそれから先が悲惨だった。首里も落ち、南へ逃げた。日中は米軍の艦砲射撃があるので夜しか行動できない。足元はバラバラになった死体、ときおり「水をください」と泣くような声がするが、かまっていられない。松の木のところで野宿したり、岩かげに隠れた。米兵は日本軍が潜んでいないかと民家に火を放っていた。6月20日頼りにしていた父が日本軍に撃ち殺された。母と2人で大勢の人が先に入っているガマの入り口付近に避難した。回りには負傷した人がいて傷口にウジがわいていた。ウジは筋肉を食らうので負傷者は痛がる。そこでウジを指で取り出すウジとの格闘が続いた。そこに米兵が現れ日本語で「抵抗しないで出てこい」と言った。救急箱に大事にしまっていた手榴弾は、知らないうちに父が捨てていた。もちろんだれも出ないので最後に爆弾が投げられ気絶した。気がつくと回りの人はみんな死んでいたが、奇跡的に母とわたしは無傷で無事だった。
外に出て米軍に収用された。その後、那覇の2畳ほどのところに移ったが、水もなく配給も少なかった。それでも弾が降ってくるわけでもなく、青空のもとを堂々と歩けるので、どんなに幸せなことかと実感した。
戦争は人間の理性をなくさせる。方言を使うとスパイとみなされ、自分の赤ん坊を手にかけて殺したり、今から思うとむごたらしいことはたくさんあった。平和憲法を大事にし、今後も歴史の真実を伝えていきたい。

3 沖縄からの発言 沖縄の実行委員会から
大浜敏夫・沖縄県教職員組合中央執行委員長
アジアの国に対する近隣諸国条項と同様に沖縄条項を定め、教科書に反映させたい。
高嶋伸欣・琉球大学教授
11万人が集まった9.29県民集会はすでに歴史的事実となった。95年10月の少女暴行事件の8万人県民集会は大阪書籍の小学6年生用の教科書に写真入りで紹介されている。今度の県民集会についてぜひ中学高校の教科書に、なぜ集会が開かれたかという理由や「歴史を歪めるとしっぺい返しを受ける」という記述とともに掲載してほしいものだ。今後、教科書会社に要望していく。

4 中央団体から
藤本泰成・「フォーラム平和・人権・環境」副事務局長
自由主義史観グループは「政治介入」というが、本質は何か。文科省の調査官が意図的に歴史を捏造したことだ。けして許せない。
米浦 正・全日本教職員組合中央執行委員長
1995年、藤岡信勝らの自由主義史観研究会が発足した。標的は3つ、南京大虐殺の犠牲者数、従軍慰安婦、沖縄戦での住民虐殺であった。軍が住民を守らなかったのでは「皇軍」を正統化、美化するのに困る、9条を改憲し日本を戦争ができる国にするのに都合が悪いからだ。先輩たちは「天皇のために死ぬのは最高の名誉である」という教育をさせられた。そうならないために国民の世論を盛り上げ、地方議会を動かそう。

5 首都圏各地域から 意見書採択の取組み
政府への意見書は、沖縄県の41市町村だけでなく、福岡県議会、高知県議会をはじめ地方議会で続々と採択されている。この日は首都圏の4つの市から意見書採択について報告があった。
三鷹市 議員提案を10月1日採択
大城みゆき市議会議員の報告。公明党議員が議会で「検定審議会の委員は沖縄の現地に入って調査すべきだ」との意見を表明した。
わたしには97歳の祖父がいる。オジイが米兵の片言の「外へ出てこい」という言葉に応じたから、いまわたくしがいる。ウチナンチュはみんな遺族だ。今後も沖縄の心を広げていきたい。
国立市 市民からの陳情で9月21日採択
9月12日に総務文教委員会では否決されたが、21日の本会議で採択された。議案が多く、夜11時まで待ってやっと採択された。この日23時半のNHKのニュースで報じられた。
鎌倉市 議員提案を10月9日採択
9月29日の県民集会をテレビでみて「今度は沖縄以外の人が立ち上がる番だ」と思った。午前の文教委員会では4対3、午後の本会議では21対5で可決され、新聞に4段ヌキで報道された。
小金井市 市民からの要請による議員提案を10月9日採択
国立で意見書が採択されたのを知ったが、もはや陳情にする時間的余裕がなかったので10月2日に要望書を提出した。9.29県民大集会の直後という抜群のタイミングだったので、全会一致で可決された。

☆検定結果の発端が、ある教科書調査官の暴走であることが明らかになりつつある。その背景に、NHK裁判と同じように安倍晋三、中川昭一ら日本会議系の政治家の働きかけがなかったかどうか解明されるとよいのだが・・・
☆この日の会場の星稜会館は日比谷高校の同窓会館である。日比谷高校の校庭には川田正澂
まさずみ 1864年2月4日―1935年12月9日)の石像がある。

川田は府立一中の10代校長だが、旧制府立高校
(東京都立大学を経て首都大学東京)の初代校長でもあった。川田は高知出身で、高知城の天守閣に坂本竜馬と並び肖像画があるというウワサがあった。しかしいまから5年前にわたくしが行ったときにはそういうものは見当たらなかった。
また府立高校の最寄り駅は府立高等
(現在の東横線・都立大学)だった。まるで東京府が設置した高級な駅のようで、おかしかったという話を聞いた。
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