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集会報告、読書記録、観劇記録などの「ときどき日記」

市民の底力を発揮できず、政党色を実感させた2024蓮舫都知事選

2024年07月31日 | 日記

7月7日投開票の都知事選挙からだいぶ日が経ってしまった。
結果は、 
 小池 ゆりこ 2,918,015 
 石丸 伸二  1,658,363
 蓮舫     1,283,262
以下、田母神としお267,699、安野たかひろ154,638、うつみさとる121,715などだった。
今回の選挙では、24人もの候補者を擁立し掲示板を有償商品にしたNHKから国民を守る党(立花孝志党首)の戦術と石丸候補のユーチューブ動画を活用した戦術が話題になった。N党は24候補合わせて11万2081票とのことだ。わたくしはそちらの方面はほとんどわからないので、応援した蓮舫陣営のことを記す。

この掲示板は、立花党首の顔ポスターが23枚並ぶが、いろんなパターンがあった。候補者が多すぎて、気の毒にも下にはみ出し地面に着地しているポスターが2枚あった
なお投票率は前回より5.62ポイントアップの60.62%、期日前投票者は前回よりさらに増え215万1251人、全投票者の31.2%にも及ぶ。4年前の小池、宇都宮、山本太郎都知事選と得票率の数字だけで比べると、小池票のうち16.5ポイント分、宇都宮+山本のうち7.8ポイント分が石丸に流れた計算になる(単なる単純計算にすぎない)。
蓮舫さんの都知事選そのものは、6月17日の立候補表明と東京新聞朝刊のスクープ、18日の中野ゼロの集会から始まった。

3月29日新宿駅東南口での「都議会やばい」抗議集会
ただ、あまり知られていないが、1月24日中野ゼロでの市民と野党の「どうする東京、変えよう都政2024キックオフ」集会、3月23日中野区産業振興センターでの「えっ!知らなかった! 小池都政のここがモンダイ」勉強会(主催:Change都政市民プロジェクト)、3月29日新宿駅東南口での「都議会やばい」抗議集会(都議会答弁拒否を続ける知事および問題提起した2人の都議への自公都民ファの議事録削除動議可決に対する抗議)、5月10日日比谷コンベンションホールでの神宮外苑伐採反対などをはじめとする「都知事選2024の課題 緑・公園・環境」集会などで始まっていた。わたしが参加したのは上記だが、自分が知らないだけでほかにもあったかもしれない。
現職・小池は、正月明けに018サポートという子育てバラマキや、まさに告示日前後に低所得者に「くらし応援事業」と称し1万円の商品券を配布したり、「買収」紙一重の「現職の強み」を発揮する一方、原則として街宣はやらず政策論争にも乗らず、いわゆるステルス戦術をとった。
なお、わたしは2007年の浅野都知事選以来6回の選挙のうち5回で最底辺のボランティアを続けてきた。
今回、わたしが行った支援行動はチラシの地元ポスティング3種類計3500枚、ボランティアセンターでの電話入れ200本、区内街宣参加7回、候補者本人がスピーチする大きな街宣への参加(銀座と最終日・新宿)計2回、蓮舫事務所へのささやかな寄付だった。逆に、これまでやっていた告示日のポスター貼りとチラシの証紙貼り、友人への推薦ハガキの住所書き、本人街宣時の準備やチラシ配布はできなかった。

まず地域ポスティングは、区に下りてきたチラシ枚数が少なすぎた。告示日前に配布できる写真・名前入りチラシは唯一といってもよい宣伝材料になるのに、戸数の6.4%しかないので全戸配布はあきらめたとのこと。そんななか無理をいって1200枚分けてもらいその他2か所から120枚ほど調達したが600枚ほど足りなかった。かつては選対本部に行けばチラシくらい何部でも分けてもらえたのだが。ところが驚くべきことに告示前日の中野ゼロ「都政を変えようオール東京大集会」に行くと、机の上にチラシが山積み、その数なんと5万枚余っているということで、怒りに身が震えた。地域への配分に明らかな偏りがあったということだ!
もちろんそこでももらい、次の日国会前総がかり行動に行くと、前夜持ち帰った方が配布していたので、40枚ほどいただきその日の夜しか配りようがないので帰りにポスティングした。
告示日以降、名無し・写真なしシルエットのみの確認団体チラシ「あなたと次の東京へ。」および第2弾「神宮外苑再開発のこれからを決める「都民投票」を実現しよう」チラシも少し数は増えたが、やはり世帯数より大幅に少なく、どうも区内宣伝はあまりしなくてよい、というのが立民本部の方針なのかと思うほどだった。
区内街宣は、(2007年の浅野都知事選を除き)参加したことがなかった、今回参加できたのは東京の衆議院小選挙区と同じ30区ごとにつくられた地域選対が存在したからだ。ただ、確認団体チラシにある「7つの約束」をみても、「あなたの安心大作戦」「もっと多様で生きやすく」「本物の行財政改革」など抽象的なものが多く、街宣のキャッチコピーにはしがたかった。そこで1回目は、ひたすら小池都政の悪口をいってみたが、思ったとおり反応は悪く「バッカじゃないの」といわれたこともあった。2度目はとにかく「蓮舫」の連呼、3度目になりやっと「若者支援により東京の未来を明るくする蓮舫」といえるようになった。そのころには確認団体チラシ2号ができたので「神宮外苑再開発は都民投票で決めましょう」ということができ、やっと振り向いてくれる人が出てきた。しかしあまりにも遅かった。

折しも、告示日前後に郵送された1万円の商品券

電話入れも含め一般市民の都知事選への関心は低かった事前「買収」がしっかり効き、いまの都政に満足の人が多く、小池都政への無関心があまりにも大きい。その次は小池・蓮舫への好き嫌いの感覚的反応が強く見られた。「わたし小池さんを好きなんですもの」「わたし蓮舫、キラい」という具合で、好悪で投票を決められるのでは、説得の糸口にならない。
最終日、集会直前の豪雨のなか、手製のプラカをもち新宿駅周辺で多数の若い人々が蓮舫支持を訴えた。しかし候補者決定以降、告示前チラシポスティングも、アピールポイント選定も、一人街宣も電話入れもなにもかも1週間遅かったように思える。1週間前倒しに進めれば、もう少し差が縮まり石丸には勝てたように思える。

7月6日最終日、新宿駅東南口でスピーチする蓮舫候補。胸のRは蓮舫のRを示す
蓮舫候補自身が登場する街宣には二度参加した。これは大盛況だった。とはいうものの、圧倒的に蓮舫支援者が多く、仲間内の大集会だったように思える。またピンクのユニフォームを着たスタッフがたくさんいた。いままでの選挙では、専属スタッフ以外に一般の市民応援者が1時間ほど前に集合して、手際よく設営を手伝ったりチラシ配布をするので、いったどういう人なのかと思ったがどうやら立憲民主の自治体議員中心だったようだ。
そういえば、一般のボランティアが集まる市民ボランティアセンター(事務所)が中野に設置された。選管への正式な選挙事務所登録もしている。ただし資金は全額立民本部出資だったようだ。それがこれまでのボラセンと比べバカに狭い。かつ携帯電話の台数も少なく、順番待ちになることもあったとのこと。こんなことはいままでなかった。それなのに、市民からの寄付は原則として受け付けない、ありえない話だ。候補者が来る街宣ならさすがに寄付受付をするだろうと、聞くと、今回はウェブによるクレジット決済募金が中心だという。そこで、帰宅して早速少額だが振り込んだ。
またボラセンは、証紙貼りや電話の、たんなる作業スペースに過ぎず、センター機能はない様子だった。たとえば電話がいっぱいの場合、地域ではどこで街宣をやっている(やる予定)かということは一切把握していないという。
市民ボラセンの電話入れのシナリオもわたしにはおざなりに思えたし、名簿のほぼ1割が「使われていない番号」だったので、異様に古い、メンテナンスしていない名簿を使っているのではないかと思われた。
市民ボラセンは、あとでわかったが立民丸抱えのたんなる証紙貼りや電話入れの「スペース」にみえた。選挙は政党がやるものであり、形だけボラセンを造ればよいとでも考えられていたのではないか。一方で、地域選対は、特定政党の事務所の一角なので、進んで出入りはしたくない場所だった。
これまでの体験と比較すると、市民にとっては、まったくボランティアし足りない不満の残る選挙だった。
そういえば、最終日の新宿集会に出てきたのは、前座が酒井菜摘(衆 15区江東)、塩村文夏(参 東京)、奥村政佳(参 比例 市井紗耶香の後任繰上げ)、杉尾秀哉(参 長野)、街宣本番が辻元、枝野、野田、蓮舫本人。蓮舫さんは無所属のはずなのに出てきたのは「昔の名前で出ている」立民のオールドボーイ中心、共産ほか、社民、緑、ネットなど他党の名や、「市民との共闘」のはずなのに「市民」には一言も触れられなかった。わたしがかかわった都知事選のなかで、もっとも政党選挙の色彩の強い選挙だった。
当選の可能性のある候補だったのに残念な選挙結果だった。
☆フィナーレの場所は新宿でも東南口だったので、一人打上げは、会場のすぐ裏の長野屋食堂という店に入った。創業1915年、現在109年というのだから驚くほどの伝統ある店だ。
メニューは、肉豆腐定食、銀だら煮付定食(1000)、イカフライ定食(1100)、ホッケ焼き定食(1000)、チキンカツ定食(1300)など定食が中心で、きんぴら(330)、目玉焼(330)、キムチ(330)、かぼちゃ(380)、生野菜(400)などの一品がある。昔はこういう店があったが、今でも存在し、それも新宿駅間近にあるとは驚いた。ホールは原則女性1人でやっていた。
場所がら、海外からの観光客も多いようで、国旗付きの世界地図や「Only CASH No CREDIT」が大きく掲示されていたり「東京タイムトリップ1984-2023」という写真集があった。時空をワープしたような不思議な店だった。

●アンダーラインの語句にはリンクを貼ってあります。

 


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