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集会報告、読書記録、観劇記録などの「ときどき日記」

電子書籍に黒山の人だかり 2010東京国際ブックフェア

2010年07月15日 | 日記
7月8日(木)―11日(日)、第17回東京国際ブックフェアが、いつものようにビッグサイトで開催された。今年の話題はなんといっても電子書籍である。大日本、凸版、グーグルのブースは黒山の人だかりだった。
グーグルは昨年話題になった1冊丸ごと全文検索サービスのGoogle ブックスなのでちょっとジャンルが違うが、大日本は傘下の丸善、ジュンクとの連合軍、凸版は紀伊国屋書店を組み、秋から始動するようなので、いよいよ日本でも本格的な電子書籍合戦が始まりそうだ。
大日本のブースには参考出品で、シャープ、ソニー、富士通など国内メーカー各社の端末が参考出品として展示されていた。今後、かつての電卓と同じように薄型戦争が始まり限りなく紙の書籍の読み心地に近づいていくのだろう。神保町の某社社長はじめ、さまざまな出版社の人が印刷会社の係員の説明に熱心に聞き入っていた。ただし著者との版権の問題、再販指定商品ではなく一物百価のオープン価格になる問題など具体的な課題は多そうだった。とりあえずiPhoneやiPadを端末にパイロット版書籍を出し、市場の反響をみることになるのだろう。

今年ははじめて国会図書館が出展していた。考えてみるとブックフェアにいままで出展していなかったほうがおかしいともいえる。目玉は「近代デジタルライブラリー」、版権切れの書籍をウェブで閲覧することができる。すでに15万6000タイトルが提供されているそうだ。たとえば福沢諭吉の「学問ノススメ(1880年)や巌谷小波の「小波洋行土産(1903年)の書影を自宅のパソコン画面で閲覧できるようになった。これはうれしい。

第44回造本装幀コンクールの三賞は、文部科学大臣賞=「瀧口修造1958―旅する眼差し」(慶応義塾大学出版会)、経済産業大臣賞=「溶游する都市――FLOW AND FUSION」、東京都知事賞=「西洋美術書誌考」(東京大学出版会)、偶然だがいずれもヴィジュアルの世界に関する書籍だった。「瀧口修造1958」はケースを開くと写真集と解説書がタテに2冊収納され、さらに絵葉書など付録が付いている。「西洋美術書誌考」の著者・西野嘉章氏は昨年は秋篠宮との共著「BIOSOPHIA of BIRDS 鳥のビオソフィア」で受賞しており2年連続だ。

版元ドットコムのスペースがこれまでで最大となり「書物復権8社の会」と同じくらいの規模になっていた。43社の共同出展なので1社のスペースは書棚1本ほどだが、トランスビュー、新曜社、ポット出版、彩流社、以文社などの本が充実していた。前橋の煥乎堂、名古屋のらくだ書店、神戸の海文堂書店、山陰の今井書店、静岡の戸田書店、千駄木の往来堂などのカバーの展示という楽しい企画もあった。また「わが社の一冊」というカラー二つ折りの力の入ったパンフを作成し配布していた。ブースの脇でさまざまなセミナーが開催されていた。ちょっとの差でポット出版・沢辺均社長の講演を聞き逃がした。惜しいことをした。

みすず書房、未來社、岩波書店など書物復権8社の会、そして河出書房新社は相変わらず手堅く充実した書籍が並んでいた。今年の共同復権は、「反抗と自由」(エ-リッヒ・フロム 紀伊国屋書店)、「わたしの非暴力」(マハトマ・ガンディー みすず書房)、「弁証法の諸問題 」(武谷三男 勁草書房)など41点だった。

しかし今年は傑出して目立つ版元ブースは見当たらなかった。しいて挙げれば京都のミネルヴァ書房の棚が元気あふれていた。
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