多面体F

集会報告、読書記録、観劇記録などの「ときどき日記」

「至福」の昼酒、王子の平澤蒲鉾店

2010年07月06日 | 居酒屋・銭湯紹介
王子駅西側の線路沿いに小さい商店街がある。そのなかに間口は狭いが奥行きのある立飲みおでん屋「平澤蒲鉾店」がある。6-7人は入れるカウンターと調理場の奥に3―4人座れる小上がりがある。この店の特長は10時半から夜まで、それも土日も営業していることだ。

13時すぎに外からみると、結構スーツ姿の客が入っていた。あとでわかったのだが、ランチのおでん定食(550円)もある。
コップで飲む酒は、「北区の地酒」とコメントの入った「丸眞正宗」である。いまでは23区内ただ一軒の醸造元、赤羽岩渕の小山酒造の酒である。冷ややっこも北区王子本町・能登屋の商品で地元のものを使っている。
4時過ぎに店に入ると先客はサラリーマン風のアベック2人だけだった。それで店長の話をゆっくり聞けた。この店は店名からもわかるように、もともとかまぼこ店で、亡くなったお父さんが1962(昭和37)年に王子神谷で創業した。そしてこの立ち飲みおでん屋は息子さん(現店長)が1999年に開店した。すでに11年の歴史がある。
名物は当然かまぼこ(250円)やさつま揚など本店でつくる練り物である。かまぼこというと「たら」のすり身だと思っていたが、この日の材料は糸よりで、それだけでなく3-4種類合わせるそうだ。日によってはタイやセイゴなど、その日のいい魚を使うそうだ。製造は店長自身が担当する。だから味に自信をもっており、まずこのまま食べて、もの足りなければ少量の塩で食べてほしいとアドバイスを受けた。

おでんは、こんにゃく、がんも、しらたき、大根、あつあげ、つぶ貝などたていのものが揃っており、専門店なので、うずら巻、しそ揚、シャウエッセンもある。それでいて値段は100―200円、もっとも安いのはコンブで30円、高いのはタコでそれでも250円である。その他、玉子焼き250円、焼豚250円、馬刺し350円、まぐろ刺350円、しめサバ350円といった一品料理もそろっている。
4時よりもっと早い時間に行けば、70代の名物母さんのお話を聞ける。お母さんは樺太の大泊で育ち、小学4年で終戦を迎え、翌日の8月16日に引き揚げた。引揚船から大泊の町が真っ赤に燃えているのをみた記憶があるそうだ。間一髪の脱出である。
「苦しいときはじっとがまん。そのうち必ずいい年が訪れる」というような体験談を、若い男性客に話していた。
店の向こうは京浜東北線の石垣がそびえる。店とのあいだの細い路地を行き交う通行人の姿をながめながら、昼酒をコップで飲むのは日本酒党のわたしたちには「至福の時間」である。

電話:03-5924-3773
住所:東京都北区岸町1-1-10
営業: 10:30-22:30
定休日:なし(夏は日曜休み)
 生ビール400円 ビンビール大550、中450円、日本酒・丸眞正宗300円、サワー300円


☆王子は北区なので駅前で、十条の朝鮮高校の男女生徒5-6人が制服姿で「朝鮮学校無償化除外反対」の署名を呼びかけていた。わたしは北海道や立川の朝鮮学校の署名をしたので、迷わず署名に協力した。
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