そして彼女たちはまさに一番高いところから転落するので一番の深みにまで沈み、最も文明から隔たった不浄な掃き溜めのようなところに行き着く。
「ああ早く明日にならないかな」とフォルチュナ氏は思っていた。「朝になったらすぐ仕事に取り掛かるんだ!」
しかし明け方に彼はうとうとし始め、九時頃に家政婦のドードラン夫人が来たときにはすっかり寝入っていたので、彼を揺り起こさなければならなかった。
「従業員の人たちはもう来てますよ」と彼女は大声で彼に言った。「お客様が二人お見えです」
フォルチュナ氏はベッドの足元に飛び降り、十五分も掛からないうちに身支度を済ませ、自分の執務室に入りながら部下に声をかけた。
「お通ししろ!」
こんな日に来客を迎えるのは全く気の進まないことだったが、シャルース事件がまだどうなるか分からないというのに他を全部断るのは愚かな行為であろう。
最初に入ってきたのはまだ若い男で、身なりは裕福そうだが俗悪なものだった。フォルチュナ氏とは初対面の彼はまず自己紹介から始めるのが得策と判断したようだ。
「私はルプラントルと申しまして、石炭の卸売商を営んでおります」と彼は言った。「この度は友人のワイン商をやっているブスカから貴方を紹介されまして」
フォルチュナ氏は頭を下げた。
「どうかお掛けください」と彼は答えた。「貴方のご友人のことはよく存じております……ええと、私の思い違いでなければブスカさんの三度目の倒産の際、ご相談に応じさせていただいたと存じますが……」
「確かに、そのとおりです……で、今回伺いましたのは、私もブスカと同じ状況に陥ったからでして……商売が思わしくなく、今月末が期限の債務が相当な額でして……そんなわけですので……」
「貸借対照表を提出して破産を申し立てねばならないでしょうね」
「ああ、そんな!それを恐れているんです」
この依頼人が何を望んでいるか、フォルチュナ氏にはよく分かっていた。だが彼は主義として、依頼人に全部説明をさせ、決して先回りをしないと決めていた。
「事情をご説明くださいますか」と彼は言った。8.8