計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

梅雨の時期は緊張が続く。

2006年06月26日 | 気象情報の現場から
雨厳戒 27日朝前線活発化 熊本で1時間113ミリ (西日本新聞) - goo ニュース

 被害に遭われた皆様には心よりお見舞い申し上げます。丁度、現地の気象関係者にとっても、正に「戦いの時」なのではないでしょうか。常に前線上の雨雲の動向に注意を払いながら的確な予測見解や防災情報をユーザーに伝え続けなければならないのです。特にこの時期は最新の気象情報をこまめに確認して頂きたいと思います。

 1時間雨量が10mmでも、結構まとまった雨に感じます。「雨足が強い」と感じます。これが20~30mmともなると、尋常ではないものを感じます。増してやこれが、113mmと言うのは、もはや想像できません!この、九州地方~中国・四国地方で見られる雨は、停滞する梅雨前線に向かって、南から暖湿気流が持続的に流入して長時間に渡って対流性強雨を引き起こしたものでしょう。

 しかし・・・さらに北側の地方においても突発的な対流性短時間強雨に見舞われることがあります。(私の住んでいる地域から見て)前線が南に下がっているからと言って「大丈夫だろう」とは言い切れないのです。このような雲はとても小さく、しかも突如として沸き起こるため、降水短時間予報でも中々予測されにくいものなのです。そして、30分毎に予測が更新される度に雲の様子の予想がコロコロ変わっていたりするのです。従って、そのまま鵜呑みにはできないという問題があります。従って、気象実況監視を行って随時対応という体制を取る事で、大雨時の迅速対応を図っています。

 前線が南に下がっていても、大気が不安定となりやすく突発的に雷雲や局地的強雨が発生しやすい状態となるので、気が休まる事はありません。寝ても覚めても大雨の可能性を常に意識していなくてはならないのです。私たちにとっての「決戦」の時はこれからなのです。
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