計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

精度検証報告書が終わって・・・

2006年12月11日 | 気象情報の現場から
 いよいよ年の瀬を実感し始めました。年の瀬と言えば年賀はがきで頭を痛めるのですが、それ以前にこの精度検証報告書(以下「精検」)で脳味噌大流血状態になってしまいます。でも、別にプロレスやってたわけではありません

 技術資料を書く事それ自体は別に苦ではないのですが、この「精検」だけは別。文字通り、予報精度を検証して誤差の原因を分析するのですが、私が担当している部分は自分が行った予報の検証ではないので(←正確には、配信されてくる予測データの方なのです)、誤差の原因を突き止めるといっても、なかなか一筋縄ではいきません(極論を言えば大手町に引きこもるしかない鴨)。

 自分の予報の検証だったり、自前のシミュレーション予測の検証だったら・・・そりゃあシューベルトが歌曲「魔王」を作曲したようにスラスラと報告書も書けるのですが(爆)。この精検はなかなか・・・誤差の発生状況から「このような原因が考えられる」という推測は出来ますが、さらにどこまで踏み込むべきか・・・それが問題。まあ、将来的には疑わしき現象を数値シミュレーションで本格的に検証するしかないだろうと思っています。

 そしてなにより、この報告書はカスタマー提出の書類なので、専門用語や難しい解釈は厳禁です。それならば、今年の精度は○○でした!チャンチャン♪で終わり・・・と言う路線もあるのですが、これだと「分析不十分」と言う事になり・・・なかなかこの辺の匙加減が難しい所。とにかく何か「理由付け」をしなくては、それでいてとにかく簡単・簡潔に、と非常に追い詰められた状態で・・・、それでもしっかり期限には間に合いました。その結果、最終調整で大幅にカーーット!!・・・

あの地獄の苦労は何だったんだーーーぁ!!

・・・と思ったのもつかの間。報告書が終わったら、今度は星の数ほど書きまくってきた技術資料を整理しています(忍法、変わり身の術)。

 数値シミュレーションに関しては、これまで数年間に渡って独自で研究してきた山形県の局地気象シミュレーション研究を軸に1本の大論文(と言うよりも計算力学ハンドブック)にまとめる作業をしています。かなり分厚くなりそうなので、さすがに業者に依頼して製本しようと思っています。研究を通じて得られた様々な知見を体系的に整理するにはとてもよい機会です。それと同時に、色々やってきたもんだなあ・・・と我ながら感心してしまいます。ちなみに、こちらの大論文(ハンドブック)は関係者以外に出す事は想定していないので、「心置きなく」纏める事ができます。
 
 今年の残りの期間は、この1年間の業務の総整理の時期に入ります。今年は色々ありました。24時間の監視体制や局地予報配信、雑誌の取材、熱乱流シミュレーションに精検、CAMJ仙台での発表や定期総会への参加・・・等等。

2006年もあと2/3ヶ月なんだなあ・・・
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする