◎ジェイド・タブレット-外典-06-22
◎無意識と死の側-5-超常現象・オカルト-2-超能力系-3-テレパシー、超感覚的知覚-1(プラハのユダヤ人マスター)
◎プラハのユダヤ人マスター
チェコのルドルフ2世は、魔術の都プラハから、ユダヤ人を追放する命令を出した。そこで魔術の有力ユダヤ人マスターであったレーフは、この追放令取り消しを求めて、ルドルフ2世の馬車に直訴を敢行した。
幸いにも王は、この直訴を受け入れ、レーフを城に招待し、レーフは魔術を実演して見せた。
『あるとき、ルドルフはレーフに、旧約聖書に出て来るユダヤの族長アブラハム、イサク、ヤコブとヤコブの息子たちを見せてくれるように頼んだ。レーフはためらったが、結局王の望みをかなえることを約束した。
ただし、族長たちの神聖な姿が現れたときに、決して誰も笑わないようにという条件を付けた。
広間に集まった王と廷臣たちは、薄闇の中に立つレーフの姿を見つめていた。すると霧の中に消えるようにレーフの姿が見えなくなり、暗闇の中からまずアブラハムの大きな姿が現れ、みんなの目の前を動いて消えた。続いてイサク、ヤコブ、ヤコブの息子たちが次々と姿を現した。
王と廷臣たちは、ユダヤ人の祖先を、神妙な面持ちで静かに見ていた。しかしヤコブの息子のうち、赤毛でそばかすだらけのナフタリが現れ、みんなに置いてきぼりにされたくないというように小走りに急ぐのを見ると、王は笑いをこらえることが出来なくなった。
王が笑い出すと、暗闇と幻影がすべて消えた。そして広間には驚愕と恐怖の叫びが上がった。
なんと天井が動き、次第に下がってきたのである。廷臣たちは真っ青になって、ドアの方へ逃げようとしたが、金縛りにあったように体が動かなかった。みんなは、天井を止めてくれと、レーフに叫んだ。レーフが出てきて、手を伸ばし、何かいうと、ようやく天井は止まった。』
(黄金のプラハ/石川達夫/平凡社P293から引用)
笑うと術が破れるのは、 抱朴子の『俗人に誹謗させてはならない』と似ている。アストラル・ビジョンかエーテル・ビジョンかわからないが、意識レベルを低下させて、人々に同一の幻影を見させるということなのだろう。
映画を見終わったときに映画から抜けない心理状態のひどいやつくらいの感じ。レーフはこの幻影を見せることに応ずるときにやや躊躇したというが、正統的な術者であれば、そうだろうと思う。
また現代でレーフと同じことをするのは危険極まりないことだと思う。本物かどうかだけが問われる時代だからである。このあらゆるマインド・コントロールで錯綜した時代に。