◎戦争の代わりにオルガズムを
(2021-07-20)
ダンテス・ダイジの老子狂言から、若い頃から気に入っている詩。
『大志をもて!
かつて男にも
大志があった。
地位・名声・権力———
それらは、一種のオルガズムであり得た。
あるいは、知的探求・芸術的創作———
少なくとも幾ばくかの陶酔を与えてくれた。
男の性的悦楽なぞ淡いものだ。
だから男は
いつの日か英雄になることを夢見た。
だが、自意識の頂点では、
英雄の夢は破れる———
それは生物学的必然なのだ。
破れた夢は、一つの暴力と化す。
戦争はすぐまじかにある。
人間を大自然に憩わしめるのは、
オルガズム以外にはない。
悟りとは、究極的なオルガズムなのだ。
今や文明は終わった。
究極的オルガズムに帰る最適の時だ。
女はと言うと、
女は女でなくなった。
現代女性は、男のように自意識的に快楽を求めつつある。
だが、自意識のあるところに全身全霊的オルガズムのあったためしはない。
独立した女は、もう奴隷になることができない。
奴隷になれなければ、本当の性的悦楽などありっこない。
慢性的欲求不満の女達は、自分の産んだ子供を愛することもできない。
おお、宇宙よ!
女には性的オルガズムを、
男には宇宙的オルガズムを与えたまえ!』
先の第二次世界大戦における敗戦は、軍部が悪いとか、フリーメーソンの陰謀だとか、日本の貴族層が策動したとか、国家神道による国民洗脳のせいだとかいろいろのことが言われる。最後は、日本の主要都市は空襲で焼け野原になり、核を落とされて敗戦となった。
この詩を読むと、戦争はまさしく、僕たち私たち自身が原因となって起こしている。その発想法、世界的に均質化されたライフスタイル、それを基盤として、70億人をマインド・コントロールしつつ、すべての個人のありとあらゆる欲望を満足させることを是として、地球ロゴスの巨大想念が形成される。
万人の全欲望をすべて満足させるなどあり得ないから、『戦争はすぐまじかにあり、戦争を回避するには、万人が冥想によりオルガズムに憩う』しかない。
文明は、一定の年数が経つと、石器時代から核戦争ができるほどに技術が発達し、核戦争を起して元の原始時代に戻り、のサイクルを繰り返すようだ。そのことは、プラトンやマハー・バーラタの核戦争の記述などでも察しがつくものだ。
物証がないというが、現代においてすら、エコの名のもとに土に帰る素材、水に溶ける素材がベターとされ、技術が進化するほど元の原始時代に戻った時には物証は残りにくい方向に発展するものではないだろうか。
そうした物質文明的な巨大な流れは、もう誰も止められやしない。ただ自分のことだけを自分が何とかできる。