◎石ころも叫ぶ
イエスがオリブ山の下りの道をろばに乗って進んで行くと、イエスの弟子たちと群衆が言った。
『「天には平和、
いと高きところには栄光あれ。」
ところが、群衆の中にいたあるパリサイ人たちがイエスに言った、「師よ、あなたの弟子たちを黙らせなさい。」
答えて言われた、「あなたがたに言うが、もしこの人たちが黙れば、石が叫ぶであろう」。』
(ルカによる福音書19/38-40)
天には平和、これは天国のポジティブ面をことほぐ。
いと高きところには栄光あれ、これは神そのものを賛美しているのであって、天国と地獄を超えている。
パリサイ人は、神の子あるいは王を自称するイエスのことを不遜であると思って、黙らせよと要求したが、天意、神威は、そのような抑圧で抑えられるものでなく、人間の最奥から噴出する強烈な情動として叫ばれたものだった。
最近は、ややもすれば朝から寝るまでスマホで頭をやられ、常に地獄的な世界観に向きあい、時には天国的なもので癒しを受けるが、最深部には、天国も地獄も凌駕する神の栄光がある。
このように人間の生きる環境が厳しければ厳しいほど、人間はかえって神の正義、神の栄光を希求するものである。イエスとの道行きにそれが噴出したのだ。石ころも叫ぶとして。