2020東京オリンピックが7月23日から8月8日まで行われ、そして今、パラリンピックが9月5日まで開催されています。
オリンピックもパラリンピックも、そのシンボルである聖火台への点火セレモニーがありますが、オリンピックでは最終ランナーの大坂なおみ選手によって点火され、パラリンピックでは最終ランナーの車いすテニスの上地結衣、ボッチャの内田峻介、パラパワーリフティングの森崎可林の各選手によりステージの聖火台に点火されました。
この聖火台で燃やす燃料は何か? 皆さんはご存じでしょうか?
今日はこの聖火台で燃え続けている聖火の意義とその燃料について調べました。
「聖火の由来と意義」
先ず、オリンピック聖火は、国際オリンピック委員会の権限の元、ギリシャのオリンピアでともされる火で、オリンピックの象徴とされています。
その起源は古代ギリシャ時代に遡り、ギリシャ神話に登場するプロメーテウスがゼウスの元から火を盗んで人類に伝えたことを記念して、古代オリンピックの開催期間中ともされたことに由来します。
聖火リレーは、ギリシャ・オリンピアの太陽光で採火された炎を、ギリシャ国内と開催国内でリレーによって開会式までつなげるものです。
その意義は、オリンピックのシンボルである聖火を掲げることにより、平和・団結・友愛と言ったオリンピックの理想を体現し、開催国全体にオリンピックを広め、来たるオリンピックへの関心と期待を呼び起こす役目を持っています。
しかし、近代オリンピックでは、1924年のパリ大会まで聖火はありませんでしたが、1928年のアムステルダム大会の際に、スタジアムの外に塔を設置し、そこに火を灯し続けるという案が採用されたことが契機となって、現在のような聖火が誕生しました。
「2020東京オリンピック聖火のコンセプト」
2020東京オリンピックの聖火リレーのコンセプトは、英語では「Hope Lights Our Way 」そして日本語では「希望の道を、つなごう」です。
支えあい、認めあい、高めあう心でつなぐ聖火の光が、新しい時代の日の出となり、人々に希望の道を照らしだします。
「1964年の聖火の燃料」
ところでその聖火の燃料ですが、57年前の東京大会ではプロパンガスが使われました。
1964年(昭和39年)の東京オリンピックでは聖火の最終ランナーの坂井義則選手は聖火台までの182段の階段を一気に駆け上り、聖火台に点火しました。
後日の、坂井氏の談話によれば、「聖火台の裏には四基のガスボンベが設置されていて、係りの人が一斉にバルブを開いたんです。シューッというガスが噴出す音が聞こえた次の瞬間、僕はトーチを傾けました」と語っているように、この時はガスが聖火の燃料でした。
「2020東京オリンピックの聖火の燃料」
そして57年後の今年行われた2020東京オリンピックでは、東京五輪の開会式で初めて披露された聖火台は、太陽をモチーフにした丸い球体でした。
その球体が花のように開くことで生命力や希望を表し、東京五輪が始まったことを神聖なイメージで象徴的にビジュアライズしているということです。
そしてその燃料は、五輪史上初めて水素が活用されました。
・五輪史上初めての水素燃料による聖火です。
「2020年パラリンピック聖火の燃料」
パラリンピックも大会史上初めて燃料に水素を使用しています。
水素は燃焼時に無色透明なことから炭酸ナトリウムによる炎色反応で着色し、自然な炎の色にしているといわれています。
五輪史上初めて水素を燃料としたことについては、次世代エネルギーの活用を重視する日本政府の姿勢を国内外に向けてアピールをすること。
加えて、政府は「2050年脱炭素化」を表明し、具体策「グリーン成長戦略」の中でも二酸化炭素(CO2)を排出しない水素活用を重点項目に掲げている事。
などからです。
これまでの大会ではプロパンガスが使われてきましたが、燃えても二酸化炭素を出さない水素を使うことで、温暖化の原因となる二酸化炭素の排出が少ない「脱炭素社会」の実現をアピールする狙いがあるようです。