三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

レース手芸の奥行き

2009年04月23日 06時19分46秒 | Weblog



先日の仙台市内での住宅撮影の時に
ふと見かけた壁面を飾っていたレースの手芸品。
つい、見とれていましたら、
「これは奥さんの手作りなんですよ」ということ。
って、絶句いたしました。
この作品は全部が白い糸で編み上げて作られているモノ。
たしかに細かいけれど、一部は太い糸とも見られる部分がある。
それと細い糸の部分があって、それだけでも精密。
この太い方は、細い糸をロープ状に巻き上げて作っているのだそうです。
このデザインの場合、細かい円状をひとつひとつ造作し、
それらを全体として、再構成していって作り上げるのだそうです。
大変細かい作業になるので、
大きな作業用のレンズを使ったり、
手元を大きな光量で明るくして、作業性を高める必要もあるのだとか。
いずれにせよ、まことに根気のいる作業のようで、
「えぇ、この作品は1年くらいはかかりました(笑)」
「え・・・・」
っていうような作業時間。
しかし、こういう「人間の手業」だけで作られるモノ、って、
直感的にあきらかに雰囲気が違う、と思わせられるものでもあります。
こういう形状自体は、たとえばビニール製品などで
見ることができますが、その形だけは巧妙にまねは出来ても
この質感とか、たたずまいとか、雰囲気とか、
人間がこころで感受する部分は、どうやっても真似は出来ない。

結局人間は、人間でしか、感動させられない
みたいな、奥行きのあるインテリアの世界があると思います。
ひとを寛がせることの力、のようなもの。
それは最後は、こういう手業の部分に究極的にはたどりつくのではないか。
きわめてシンプルな、素材としての白い木綿糸が
こういう深く広がりのある印象をもたらせてしまうのですね。
やはり本物の持つ力は、凄いものがある。



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コメント
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