今週は、仙台と秋田から建築家の一行が北海道の住宅と文化に触れる旅に
来られます。
そのコーディネートを承って、準備を進めております。
もう5~6年前に、同様のツアーを企画してから
とくに仙台の建築家の住宅の性能向上のきっかけになったことがあります。
断熱をきちんと修めることで、デザインも自由度が増して
結果、住宅の楽しさがもっと広がっていく。
それが建て主さんに対する一番大きな訴求ポイントになっていくのは間違いがない。
建て主さんに、この手の心配をかけさせるのはプロとして問題。
断熱のことは、本来は建て主が考えなければならないことではない。
それは承るプロの側の製品品質への誠意の問題だと思います。
しかし、現状ではやはりある種の誘導や仕掛けが必要であり、
業界全体のレベルの向上が必要であることは間違いがない。
私どものようなユーザー向けの住宅雑誌でも、ユーザーの基礎知識として
そういった「判断基準」を持たなければならない、
というメッセージをお伝えしている由縁ですね。
本来であれば、そういったレベルのことは一定にクリアしている作り手だけと
安心して、自分が求めている「ここちよい空間」への発想力を高めて欲しい。
それが、わたしたちのような住宅雑誌社の願いでもあると思います。
さてそんな見学ツアーが来られるのですが、
最近の北海道では、より重厚な外皮への探求が続いております。
日本の住宅は木造が基本であり、
それも在来工法という100mm角の構造材を組み合わせた建て方。
したがって、外壁の厚さは100mmが基本単位になります。
もちろん、ツーバイフォーの材料を使えばその単位も変わるのですが、
まぁ、一般にはこのようになっている。
そうすると、壁の断熱は100mmが単位になってくる。
ちょっと前までは、付加断熱で合計150mmという
グラスウール断熱+発泡系断熱材の組み合わせ断熱が主流になったり、
さらにその上を目指してグラスウール断熱をダブルにする
200mmというのが限度の壁厚みと考えられていたのですが、
それを超えて3倍にするという300mm断熱の試みが行われ始めています。
このような断熱厚みになってくると、まずは断熱材の保持について
どのようにおこなうのか、その工法手順の開発が必要になってきます。
新住協メンバーは、そういった挑戦を各地で始めております。
上の写真は、札幌にある展示場でのアシスト企画さんと、
下の写真は旭川で現場施工中の武部建設さんの事例であります。
とくに、旭川の現場は先日、プロ向けに公開され、
室蘭工大・鎌田教授も駆けつけてこられました。
壁をどのように構築すべきか、いろいろな
建築工法についての議論が交わされていました。
真摯なこういった姿勢が、より多くの作り手に波及していくことが
必ずや、ユーザーの利益になっていくと思います。