建物にせよ周辺構築物にせよ、
木などの繊維を使って造作していく場合、
それらを組み合わせたりすることが必要になる。
そういうときに、巧まざるようにして、
その組み合わせにはデザインが特定のパターンで採用される。
最近見ていたごくなにげないパターンから2点ほど。
ひとつめは、ごくありふれたタテの押縁の木材の連続パターンであります。
まぁ、なにげなく見ていたのですが、
よく見ているうちに、左側からの陽光によって生まれる
陰影に微妙に違いがあって、リズム感と非連続性とが、
おもしろく展開していることに気付いた。
たぶんそれは、押縁の下地の壁面にわずかな凸凹があって、
それが押縁にバラツキを与えているのだと思われたのです。
この壁面は、一見するとこの押縁の連続する面で見せるデザインなのですが、
その面の中にこのようなバラツキが意匠されている。
まったくの偶然でしょうが、しかし、人知を越えた深みにも通ずる。

一方こちらは、竹囲いの一般的な組み方の様子。
タテに建てた木杭に対して、
半割にした竹が、その「しなやかさ」を活かして、
交互に絡みつかせるように組み合わされて行っています。
ごく普通に行われている「手業」の痕跡を感じさせるものですが
その様子を子細に見ていると、無数の変化要素が感受される。
素材の竹の表面の表情が、ひとつひとつまったく違っていて
見入ってしまうほどに複雑微妙な印象を与える。
そして「しなやかさ」のレベルは1本1本の竹によって違いがあり、
その屈曲感にも偶然に近いような多様性を感じさせる。
そしてそのような竹組みが全体として面として造形デザインされる。
面を構成する一体感はありながら、子細には素晴らしい多様性を表現する。
どちらもこんな印象を感じさせてくれた次第です。
最近、自然のデザインは完全である、と深く思っていますが、
本当に、舌を巻くように驚かされる思いがいたします。