きのうは札幌で地域工務店団体「アース21」の年次総会開催。
その「記念講演」に、新住協代表理事で室蘭工業大学名誉教授の
鎌田紀彦氏が登壇されていました。
これはアース21の会長である(株)キクザワ・菊澤社長の2年越しの
講演依頼に対して応えたもの。
アース21とは、北海道の高断熱高気密住宅革新の中核主体になった新住協が、
鎌田紀彦教授を中心にしてその研究を深めて行くに際して
さまざまな実験的な取り組みでその研究に全面的に協力し、
技術開発の最先端に立っていた工務店の中心的メンバーが設立した団体。
住宅性能技術だけではなく、地域工務店としての経営的な課題についても
相互に協力し合って、忌憚のない意見交換をする
そういう目的で、いわば新住協からスピンアウトして派生した工務店団体です。
その過程では鎌田教授とも話し合って、その趣旨に対して賛同を得、
双方で合意が形成されてスタートしたものでした。
しかしその後、アース21が独自に「住宅性能技術についても研究広報活動している」
といったような誤解が生まれ、残念ながら非協力的な期間が継続してきていました。
そういった誤解を払拭すべく、菊澤会長を初めとした関係の再構築努力が
継続してきて、今回記念講演を鎌田先生が受諾して実現したもの。
スタート時点の「住宅技術革新」の原点を再確認して
今後とも研究開発を進め、さらに普及啓蒙に協力してあたっていくことが、
きのうの鎌田先生の講演でも明確に発言されていました。
写真は、鎌田先生と談笑するアース21創設者の橋本政仁氏。
残念な関係が継続してきたことを忘れるように
ツーショットに収まっていただけました。
鎌田先生にも、本日このようにわたしのブログで紹介する旨の
了解もきちんといただいた上で、本日発表させていただくことにしました。
きのうの講演では、最新の研究段階の紹介があると同時に
高断熱高気密運動のスタートアップの昭和55年頃から平成初期の
初期10年間の状況について鎌田先生の方から、その核心的テーマについて
再確認の話題提供がありました。
北海道での住宅技術開発は、まさにイバラに満ちた道程。
暖かい家を願う多くの地域住宅ユーザーに応えようとする産学官連携があった。
ナミダタケ事件などの多くの困難を乗り越えてきたのは、
この初期10年間に集約的に、先生を中核にした研究と地域工務店の実験的建築が
相互に強い連帯・連携があったからこそ実現できたことだと。
さらにこうした努力開発の成果を「共有技術資産」として
オープンに社会に公開していった姿勢に大きな根拠が存在する。
同時代を協働的に過ごしてきた一員として、
今回の鎌田先生とアース21の「邂逅」には特別の感慨で立ち会っておりました。
謹んでこの事実を報告できることを幸せと考えております。