ロビンソン本を読む

本とデザイン。読んだ本、読んでいない本、素敵なデザインの本。

もの食う話

2019-01-21 18:41:00 | 読書
文藝春秋編『もの食う話』





 「老人の食意地のきたなさは…」で始まる大岡昇平「食慾について」。

 文春文庫『もの食う話』に収められた一編。

 年をとると食への興味が薄くなってガツガツしない、なんてことはないと感じていたところ。

 むしろ食にしか興味がないのでは、と思しき老人の姿を目にすることもある。

 しかし、文章はそのあと「中年男自体それほど意地がきれいだったわけではない」と続く。

 そんな人も、いる。


 食べることは生をつなぐこと。

 生への執着も、老人だからといって霞んでくるわけではないと思う。

 ぼくもできることなら、死ぬ間際まで、あれが食べたい、これが食べたいと食欲旺盛でいたい。

 それなのに、まだ老人でもないうちから、油物がきついと感じるようになった事実。

 量より質、美味しいものを少量でも、楽しく食べて生きたい。


 表紙に描かれた卵男の、ゆで卵一つを食べる幸せそうな表情。これが食の楽しさ。

 装画は古知屋恵子氏、デザインは関口信介氏。(2015)



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