ロビンソン本を読む

本とデザイン。読んだ本、読んでいない本、素敵なデザインの本。

北氷洋

2018-11-19 22:07:46 | 読書
イアン・マグワイア『北氷洋』





 これは傑作ではないのか?

 最後の数ページに達するころ、ふと思った。

 それまで、そんなことはまったく思いもしなかったのに。


 『北氷洋』というタイトルの、馴染みのなさ。

 表紙の、少し古くさい文字。

 それに合わせて、イラストも古いテイストを含んでいるけれども、実は新しい。

 子どもの頃に読んだ、数々の冒険小説を想起させる表紙。

 とはいっても、子ども向きではない。子どもには刺激が強すぎする。

 簡潔で的確な描写。

 ミステリー、アドベンチャー、少し文学の匂い。

 選ばれた言葉は、あえて古い言い回しを時々混ぜ、1800年代の雰囲気を醸し出している。翻訳のうまさ。

 完全な善人などいない。

 完全な傑作などない。

 少し瑕疵があるくらいが、心に残る傑作なのかもしれない。

 カバー装画は影山徹氏。(2018)




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« マクソーリーの素敵な酒場 | トップ | 君を失って、言葉が生まれた »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事