紀田順一郎『蔵書一代』
昭和の初期に造られたと思われる、木製の書棚を所有している。
古道具屋で購入したもので、棚を固定するための楔がアクセントになっていて、壁際にポツンとあるだけで、部屋の印象が引き締まる。
この本棚が最初に置かれた場所は、きっと和室の畳の上だろう。
腰高の小さなものなので、四畳半かもしれない。隣には文机が似合う。
4段すべてに本を詰めても、100冊程度しか収納できない。
たった100冊。
けれども、厳選されたわずかな本だけを身の回りに置く生活は、とても豊かで確かなもののように思える。
紀田順一郎氏は、年齢からくる状況の変化で、3万冊の本を処分したという。
ぼくにとって、本当に必要な本はどれだろう。
『蔵書一代』のカバーに描かれた本の絵は、端からぱらぱらと崩れ落ちている。
地味な色合いは、古くなった本のようだ。
やがて、本はこうして消えていくのだと、暗示しているのか。
カバーを取って表紙を見ると、格子状の太い線が目眩を起こさせる。
本の行く末を考えクラクラする。
装丁は安藤紫野氏。(2018)
昭和の初期に造られたと思われる、木製の書棚を所有している。
古道具屋で購入したもので、棚を固定するための楔がアクセントになっていて、壁際にポツンとあるだけで、部屋の印象が引き締まる。
この本棚が最初に置かれた場所は、きっと和室の畳の上だろう。
腰高の小さなものなので、四畳半かもしれない。隣には文机が似合う。
4段すべてに本を詰めても、100冊程度しか収納できない。
たった100冊。
けれども、厳選されたわずかな本だけを身の回りに置く生活は、とても豊かで確かなもののように思える。
紀田順一郎氏は、年齢からくる状況の変化で、3万冊の本を処分したという。
ぼくにとって、本当に必要な本はどれだろう。
『蔵書一代』のカバーに描かれた本の絵は、端からぱらぱらと崩れ落ちている。
地味な色合いは、古くなった本のようだ。
やがて、本はこうして消えていくのだと、暗示しているのか。
カバーを取って表紙を見ると、格子状の太い線が目眩を起こさせる。
本の行く末を考えクラクラする。
装丁は安藤紫野氏。(2018)
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