ロビンソン本を読む

本とデザイン。読んだ本、読んでいない本、素敵なデザインの本。

『ブックショップ』と『マイ・ブックショップ』

2019-04-01 21:12:10 | 読書
 ペネロペ・フィッツジェラルド『ブックショップ』




 キラキラ光る「The BOOK SHOP」という文字が、表紙の中央に大きく入っている。

 よく見ると、ところどころかすれていて、年季が入った雰囲気。

 日本語タイトル、著者名などはその下に、英語と同じ左右幅で収まっている。

 背景が暗いので、小さいながらも、白抜きの日本語タイトルが一番目立つ。

 後ろに見えるのは、書棚の写真。書店というより、誰かの部屋のようで、古い本が並んでいる。

 本を手に持ち、光の当たり具合を変えると、薄暗い部屋の中に「The BOOK SHOP」が浮かび上がる。

 とてもセンスのいい文字の選びとバランス。



 書店を舞台にした小説で、本への愛情が溢れているのだろうと思いながら読んだ。

 しかし、本への接し方がわりと淡白でとりとめない。

 書店の賑わいより、店に棲みついた幽霊の方に関心があるような、核心をつかない書き方。

 これは、書かれていない部分を、よほど注意深く想像しないと、大事なことが伝わってこないのかもしれない。



 一方、この本を原作にした映画『マイ・ブックショップ』は、主人公の本が好きという気持ちが随所に表れる。

 古い建物は、想像していたより窓が大きく、店内は明るい。そして広く、居心地が良さそうに見える。

 原作と、細かい設定の違いはあるが、原作の行間を埋めてくれるような映画。

 むしろ、情感豊かな映画を見るだけで十分ともいえる。


 本のデザインはアルビレオ。(2019)

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