ロビンソン本を読む

本とデザイン。読んだ本、読んでいない本、素敵なデザインの本。

引き潮

2019-05-20 18:28:10 | 読書
ロバート・ルイス・スティーヴンスン&ロイド・オズボーン『引き潮』




 スティーヴンスンと聞けば『宝島』かな? と気づくが、フルネームだとわからない。

 その義理の息子ロイド・オズボーンは、もっと知らない。

 そんな2人の合作があっただなんて、知らないことだらけ。


 カバーのイラストは、少年向け冒険小説の雰囲気。

 クラシカルな感じをまといつつ、どことなく新しいセンスも見える。


 気楽に読むつもりで本を開いたが、この小説は思っていた以上に奥深かった。

 南の島で、ホームレスにまで落ちぶれてしまったイギリス人の男3人。

 ふとしたことから船を盗み、その積荷を売りさばいて一儲けしようと企む。

 しかし航海中、食料が尽き、海図にない島にたどり着く。そこは楽園か、それとも……。

 大雑把に冒険小説っぽく書くとこんな感じだ。

 男たちが食い詰めた原因はさまざまだが、1人は優秀な大学を出た、酒も飲まない真面目な男。

 にもかかわらず、仕事ぶりが悪く堕落していく。

 不器用で世渡りが下手なだけなのだ。

 彼の正義感が、ちょっと異常なほかの2人を、正常な視点で見続ける。

 あとあと、そのことが命運を分ける。

 期待していたものとは違う緊張感。

 全然OK、面白い。

 もう一度『宝島』を読んでみようか。


 装丁は山田英春氏、挿画は影山徹氏。(2019)



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