ロビンソン本を読む

本とデザイン。読んだ本、読んでいない本、素敵なデザインの本。

救い出される

2019-05-27 18:21:40 | 読書
 ジェイムズ・ディッキー『救い出される』




 表紙の写真には、水面とカヌーの櫂。

 武骨なアウトドア小説を思わせる。

 でも読み始めると、中年の男たちの、子どもじみた川下りの計画。

 ちょっした冒険のようだ。

 カヌーを積んだ車で、川の上流を目指すが、川に降りる場所さえなかなか見つからない。

 おまけに車を預ける地元の男が、信用できるのかどうかもわからず、トラブルの予感もする。

 川に乗り出しても、文明の、人の、町の匂いがまとわりついて、とても自然と遊んでいるようではない。

 このちぐはぐな感じが、妙に気になる。

 そして、突然の思わぬ展開。

 緊張感の連続。

 登場人物が入れ替わったように、雰囲気ががらりと変わる。

 なんて小説だろう。


 表紙の写真の背景には、森林のイラスト。

 よく見ると、いくつもの目が描かれている。

 後半、誰かに見られているかもしれないという疑念はずっとあって、その落ち着かない感じを思い出す。

 カバーイラストは柳智之氏。(2017)



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