「首相訪米の手土産だ」住民憤り
鹿児島・西之表
「国家安全保障戦略」など安保3文書の改定を踏まえ、日米両政府は米ワシントンで11日(日本時間12日)に日米外交・軍事担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)、13日(同14日)に日米首脳会談を行います。そうした中、日本政府は、馬毛(まげ)島(鹿児島県西之表市)への米空母艦載機離着陸訓練(FCLP)の移転に伴う自衛隊基地建設を12日にも着工するため、11日に防衛省担当者が八板俊輔西之表市長らと面会。環境影響評価書などについて説明します。この動きに地元では首相訪米の「手土産だ」との声が出ています。
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「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」の山内光典会長は、「市長が明確に賛否を表明しない中での着工は、地元無視だ。首脳会談を控えたこの時期にやるのは米側への手土産で、住民のことを全く考えていない」と憤ります。日本共産党の橋口美幸市議は、基地建設が安心・安全な暮らしや豊かな自然、漁業などの生業(なりわい)を壊すと指摘。「米国の要求のまま強引に進めるのは許されない」と語りました。
中国を念頭に南西諸島の自衛隊増強を進める政府は、馬毛島基地を「南西防衛の訓練・補給拠点」と位置付けています。馬毛島基地には滑走路2本や火薬庫、格納庫など多くの施設を整備。FCLPや自衛隊による訓練(12種類)を実施することを狙っています。工期は4年程度を予定。しかし、FCLPの実施に必要な滑走路などは約1年半で建設する計画で、早ければ2025年度にも運用が開始される恐れがあります。
政府は、23年度予算案に馬毛島への自衛隊基地整備費として、契約ベースで3030億円を計上。22年度当初予算、補正予算を合わせると7654億円に膨れ上がります。
日米2プラス2では、敵基地攻撃能力の保有を明記した安保3文書を踏まえ、新たな共同作戦計画の策定やガイドライン(日米軍事協力の指針)改定などとともに、南西諸島の自衛隊増強や基地の日米共同使用など本格的な戦争態勢づくりが議題になる見通し。これを受け、13日の首脳会談で日米同盟の強化に向けた共同文書が発表されるとみられます。
馬毛島基地の本体工事着工に反対するため、11日に鹿児島県庁前、12日に西之表市内で相次いで市民団体による抗議行動が予定されています。
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