★「自分たちは日本から忘れられてしまったのではないか」と感じたというのは、能登半島地震で被災した石川県珠洲市の老人保健施設「美笑苑」のスタッフだ。避難所や病院は機能し始めていたものの、珠洲市は高齢化率52%。同施設には100人の入居者がいたが、隣のグループホームも被災したために、120人の介護が必要な方々がひしめいた。その120人を、本来の80人から40人に減ったスタッフでやりくりしていた。そのスタッフのほとんどが家を失っている状態で避難所から通う。中心メンバーは1週間、泊まり込みで、わずかな睡眠で介護を続けていた。そう話すのは災害派遣医療チーム(DMAT)として現地に入った名古屋大学付属病院救急科長・山本尚範。搬送を7日に提言し、DMAT、石川県、愛知県、自衛隊などの連携で11日に、そのうち30人を愛知県の12の医療機関が受け入れた。
★今回、孤立地域という言葉が被災地のリポートで飛び交ったが、災害が起きた過疎地は高齢者率が高い。石川県内には、このままでは介護が十分に受けられずに災害関連死につながりかねないリスクを抱えた人、血圧や血糖値が上がり、心筋梗塞、脳卒中が増える危険がある。それに対して、道路が寸断された半島の特性が避難所への水や食べ物、物資の搬入が遅れた理由と言われるが、それらは十分、阪神・淡路大震災、東日本大震災の経験があれば想定でき、リスク回避は自治体レベルで可能だったはずだ。人災という言葉は使いたくないが、あまりに2つの震災の教訓が北陸の自治体で検討され、訓練されていなかったことがわかる。自衛隊の逐次投入が批判されるが、それよりも自治体からの出動要請がまず必要だったのではないか。
★また、被災地の北陸電力志賀原発(停止中)は設備の故障で外部電源の一部から電気を受けられなく、空間放射線量を測るモニタリングポストも万全とは言えないのに北陸電力は情報公開に消極的だ。ここでも教訓は生かされたとは言えない。(K)※敬称略
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