毎週土曜日の夜、NHK Eテレで放送されているSWITCHインタビューは
好きな番組の1つです。放送時間に見ることもありますが
時間のある時にゆっくり見たいので毎週HDD録画をしています。
7月11は漫画家 永井豪さんと映画監督 園子温さんでした。
録画したこの番組のサムネイルを見た瞬間、
話題の映画監督、 園 子温さんとわかったのですが、
満面の笑みをたたえ、ガッツポーズをし
巨大なマジンガーZの前に立ってらっしゃる端正なお顔立ちの
(俳優の風間杜夫さんに似ていらっしゃるように感じました)
ロマンスグレーの紳士。その画のすぐ下に
漫画家 永井豪の文字が出ていたもののピンとこず、直後
「あれは誰だ誰だ誰だ♪」の聞きなれた今も歌える、
懐かしのデビルマンの曲が流れた瞬間、
「えぇーっ 永井さんて、あのデビルマンの漫画家なの??」と
一気にワクワク 胸が高鳴りました。もっと驚いたのは、
ほぼ同時期、テレビで見ていたキューティーハニーも
マジンガーZも永井さんの作品ということでした。
仮面ライダーやウルトラマン同様、この3つも大好きで
子供の頃欠かさず見ていました
テレビにご出演されることも多く、
テレビで見る以外にも漫画でも読んでいたこともあり
ドラえもんを描いた方が藤子不二雄さんという方ということは、
子供ながらによく知っていたのですが、
これらの大好きな漫画を生み出した方のお名前が
永井豪さんという方であるということも そのお顔も
今回の放送を通して初めて知りました。
好きな作品を描いた方がご存命でいらっしゃると知り、
作品を産みだすまでの興味深いエピソート他を
とつとつと語って下さり 深く静かに感動しました。
(子供時代やはり大好きだった大草原の小さな家や
リボンの騎士はdvdが出た直後、揃えちゃいました。)
永井さんを紹介する上で 画面上に
漫画界のレジェンド登場、と出ていましたが大きく頷けます。
六角精児さんのナレーションによれば、
これまで世に送り出してきた作品は300タイトル以上であり、
69才になる今も3本の連載を抱えていらっしゃり、一時期、
少年ジャンプなどの週刊誌5誌に同時連載をされ
なんと1週間で描き下ろす原稿は100ページを越えていた
というエピソードには
ただ ただ すごいなぁ~ と思いました。
漫画家というのはある種の霊能者と言うことも
時々聞きますが、
この番組を通して 作品を産みだすまでの
永井さんの数々のエピソードを伺う中で、
霊的感受性の高い方ということがよくよく分かりました。
永井さんは園さんに、
「作品をイメージする時、フィルムが動いている様に映像でサーッと見えちゃう、
動いているシーンがそのまま見えちゃう。それを今度、紙でうつす時に
そのシーンをコマ割りするにはどうすればいいかなと考える
絵にする時に再編集するコマを移していく頭の中が映画になっている。
リアルな絵でみえる。それを自分の絵にすると、
頭の中はリアルだけれどこんなに可愛くなっちゃう(笑)
絵のインパクトはすごく大事にする。
ストーリーを思いつく時もワンシーンから思いついたりする。
突然あるワンシーンが、イメージがポンと思いついたりする。
これなんとか漫画にならないか、と思ったりする。
そのシーンが来るのは後半のクライマックスだったりするんですけど、
それになる為にはどうしたらいいか、
逆算でストーリー設定を作ったりする。」と仰っていました。
代表作デビルマンの連載から40年あまり経った今年、
デビルマンサーガの新シリーズ連載を始められた永井さんは
デビルマンの執筆はライフワークと仰られていました。
1972年、ギャグ漫画で人気をはくした26才の永井さんは
他の連載を次々と終了しデビルマンに全神経を注いだと言います。
作品をがらりと変え、人間と悪魔による地球争奪戦という
膨大なテーマに挑み、悪魔と合体することで
同等に戦えると知った主人公アキラを産みだします。
アキラは意を決して悪魔の力と人間の心を持つデビルマンとなる・・・
園児だった当時の私には知る由もなかった
デビルマンに込められた作家の深い思い・・・・
永井さんご本人の口からデビルマンはどのような目的で
どのように造り出されていったのか感慨深いお話しを伺い
悪魔対人間の単なる戦いの物語ではなかったと知り
時を経て大人になった今、この番組を見ることが出来たことが
とても嬉しくなりました。
今年、デビルマンサーガの連載を始めることになった経緯も
次のようにお話し下さいました。
「 「ゴジラだって何回もハリウッド版ゴジラとかできるから
ハリウッド版デビルマンのつもりで
全然違うデビルマンかけませんかね?」 と打診があり
今回 新連載を引き受けた。
世界観も今の世界観にして10年後の設定にした。
自分も(永井さんご本人)キャラクターと共に生きている感じなので
どんどんどんどん変化していくので書けば書くほど
どういう作品になるの分からないけれど、
なんか面白くなりそうだなと思っています。
昔のデビルマンも、描いているうちにこれはなんだろう?と
考えだしたんですけど
人間が悪魔になるとはどういうことかって考え始めたら
多分、若い人が突然戦場に連れて行かれて銃持たされて
「殺せ」って言われた時 それが悪魔の力なのかなと思って・・・」
慎重に言葉を選びながら 静かにお話しされている
永井さんの表情が印象的でした。
大魔神サタンの策略によって
疑心暗鬼になった人間達は互いに殺し合いを始めてしまう。
そんな中、恩人一家を救出しようと急ぐデビルマンだが間に合わず
見るも無残な姿にデビルマンは絶望し思う。
「何故、人間同士が殺しあうのか、
身を捨ててまで守ろうとした人間は一体なんだったのか・・・」
刻一刻と自体は悪化、魔の手はデビルマンの最愛の人の所に
及ぼうとしている。
一度は人類を護ることをやめようとしたデビルマンだったが、
最愛の人の命を救う為、決意を新たにする。
しかし、駆け付けた先で見たものは・・・・
最愛の女性一人の命を救えなかったデビルマン、
悪魔との戦いを通して人間の本性を問う
黙示録的世界観が展開する。
永井さんは続けて言う。
「軍事力=悪魔の力みたいにイメージが基本にしたら
どんどんどんどん話がエスカレートしていって
最終戦争のような話に発展したものですから、
気がついたらこれはもしかしたら反戦の漫画でもあるな、と。
戦争になったらどこまでも、一旦滑り出したら今の戦争は
恐ろしい所までいってしまうんではないか、
地球壊滅までいってしまうんじゃないか、
警鐘の漫画でもあるなと当時思ったんですよね。
それが40年たったら絵空事ではなくなってきたんですよね。
(当時デビルマンを)一番描きたくない理由は、辛かった。
デビルマンてね、自分のインナースペースに入りこまなければ描けない作品。
ドンドンドンドン・・・自分のとんでもない部分を出していかないと
形にならないんですよね。
だから気が付くと、自分が出したくない本性みたいな部分が
えぐりだされてくるような、それが怖いしね、描いていると本当に
精神的にボロボロになるんですね。
も一回 あの辛い思いをすると思うと描きたくないと思って・・・
自分の潜在意識を覗くような気がする。それが怖くて・・・
僕は前世とか 信じているほうなんですけれど、多分
そういう恐ろしい時代の前世を経験してて、
なんか そういうものを自分の魂の中で蓄積されているものがあって
そこに入るからこういう作品が出ちゃうんだろうなと思うんですよね。
自分の人生経験を考えるとこんな激しい人生は送ってないから、
はてな? どうしてこんな作品ができてくるんだろう?
ここまで すさまじい作品になっちゃうんだろうと思った時、
自分が今の人生では経験しない 幾つもの転生してきた中で
経験してきたものが、インナースペースの魂の底に入る為に
出てくるんじゃないかなと思います。
創作の仕事はその辺まで踏み込んでいかないと
自分の本物ってわかってこない、出てこないと思うんですよね。」
永井さんが絞り出すように苦悶の表情を浮かべ(と、私には見えました)
ご自身について語る1つ1つの言霊は誠実そのものでした。
永井さんの奥深い人生経験などとは比べものにならない
生れたての赤子のような私だけれど、
作品を産みだす 創造者という点においてはどれも深く頷け
また自身が作品を産みだす時の独特のテンションや思いとも
僭越ながら似ていると感じさせられました。
手の動くまま描いている私の作品は
古代から様々な意味を持つ 渦巻き模様が多く描かれています。
何故渦なのか? 何故ハートの作品が多いのか
本人も謎ですが、永井さんの言葉をお借りすれば
転生する中で、それらのモチーフは大きく私と関わっていた
魂の記憶であり符号のように思うのです。
ケルテイックに強く惹かれる私。
ケルトは渦巻き模様とも深く関わりがあります。
永井さんのお話しを聴く中で魂が心地よく揺さぶられ
様々なことを紐解きたくなりました。
今年から連載をスタートしたデビルマンサーガは
10年後の近未来を舞台にした全く新しいストーリーということです。
後半30分は園監督のインタビユーでした。
監督曰く、
「漫画のキャラクターは思い通りの動きをしてくれるので
うらやましいなと思うけれど、(役者は)みんな生きている方、
本物の人間なので「愛してるよ」というのを ここからオーラで
出して行かないと・・・だから 疲れちゃいます。
「私の裸 はずかしい・・・・」
「恥ずかしくないんだよ美しいよ」とか
毎日言っているうちにヘトヘトになっとちやう。
愛してあげないとフニャツとすぐ枯れてきちゃう。
人は自分の思った通りには動いてくれないので。
マンガじゃないんで」の言葉に
温かさと深いものと 愛を感じました。
スイッチインタビュー、
とてもステキな番組です。