今年は久しぶりに春山に入ろうと話し合った。場所は雪が多いほうが良かろうと剱に決めた。ルートは八峰。メンバーは正月の八ヶ岳と同じメンバー白きりさん、ありきちさん。
これまた久しぶりの剱である。前回は同じく八峰であった。違うのは取付き。前回は黒部ダムから入り、早月尾根を下りたが今回は室堂から入り同じく室堂に下りる。
九州から室堂に上がるにはとかくに時間がかかる。29日の6時前に大分を出てから雷鳥沢のキャンプ場に着いたのが18時過ぎ。テントを立てると早速、祝杯を挙げる。今回もまた食料担当はありきちさん。相変わらずに気の利いた献立に杯はかさむ。今回も太って帰りそうな予感がする。
30日、剱沢へ向けてキャンプ場を後にする。剱御前小屋までの上りが朝の動き初めには結構きつい。前後にシールを貼って登行するスキーヤーやスノーシューを履いたスノーボーダーが散見される。軽やかそうに上がっている。実際、楽だろう。荷物も軽い。かつてまね事をしたことがあるが今は昔。
雷鳥沢キャンプ場撤収。
登ってくる人たち。この時期にしては少ない。一見なだらかに見えるが結構な登りである。
雷鳥。昔は良く見ものだ。今や絶滅危惧種。姿を確認してほっとする。
真っ白からまだらへと生え変わり時期だ。
およそ2時間で剱御前小屋に着。ここでビールを買って、ゆったりと暖を取りながら飲む。今日は急ぐことはない。後は剱沢まで下がるだけだ。
小屋を後にして30分。剱沢着。先着は1張り。5人が入っている。聞くと源次郎尾根を目指しているとのこと。その彼らの隣にテントを張ることにする。明日は荒れるとの予報とあって、入念に風よけを作ることにする。ブロックを切出し重ねること40分、テントを立てると、まずは一杯飲みながら打合せをする。とりあえずは休憩後にセオリー通りに取付きの偵察に行くことにする。
左端は剱岳。右端の鋸状の稜線が目指す八峰。そして右下の沢がこれより下る剱沢。
平蔵谷。一見、緩やかに見えるが写真ならではの錯覚。
長次郎谷のデブリ。
午後2時、八峰の取付きを目指して剱沢を下る。とにかく長い下りだ。これを登り返すのかと思うといささか気が重い。途中、沢の下部にデブリできている。ここは危険な個所だということを改めて暗示させられる。出発して40分ほどで長次郎谷に到着。トレースは全くない。今季我々が初めてだろう。取付きの沢を確認後、すぐに引き返していると平蔵谷の上空に救助ヘリがやってきてホバーリングを始めた。詳しくは割愛するが後で聞くと、一人が雪崩に巻き込まれて犠牲になったとのこと。沢筋に安全な個所はない。
登行を初めて1時間半、テン場着。後の楽しみは飲むことと食べること。ありきちちゃんの献立がありがたい。寝袋に入った頃から風が強くなり、一晩中、猛烈な吹雪となった。当然、次の日は停滞。昼を過ぎても嵐は収まらない。隣のパーティーは昼頃に撤収していった。前日に入ってきた単独後者は同日に撤収していた。我々は明日、この新雪をついて沢に入るのは危険だろうと、別山尾根から剱を目指すことにした。九州からきてただでは帰れない。
剱御前小屋から先は県条例により、県警の許可がいる。そのため小屋まで戻り、県警にルートの変更許可を申請しようと決めた。昼過ぎまで天候が治まるのを待ってテントを撤収し、登行を開始するもホアイトアウトで10m先が見えない。地図で確認していると幸運にもガスが切れてきた。無駄な動きをすることなく小屋までたどり着けた。
目指す剱。
2日、トレースがないため、やや遅く5時前に小屋を立つ。今日は打って変わって晴天の上、微風。小屋から離れると静寂そのもの。連休前半とあってか、我々3人以外に人を確認できない。
トレースはまったくない。写真は私
手前のピークは一服剱。中央の沢が剱沢。この沢の登り返しが結構きつい。都合2回上り返した。
急傾斜を上ってくる白きりさん。相変わらずのタフさ。
順調に登り、10時過ぎ山頂着。
中央遠くに富士が見える。
山頂まではトレースなく誰にも会うことはなかったが山頂には別ルートから上ってきたパーティーが5人ほどいた。連休前半とはいえ少ない数だ。先を急がなければならない。休憩もそこそこに下る。
もっとも危険な箇所、平蔵谷を急いで下る。
一昨日はなかったデブリ。
疲れた身体には剱沢の長い登りは堪える。平蔵谷末端から登ること1時間半、午後4時剱御前小屋着。後は下るだけだ。
おなじみ、春の風物詩。バスの中から撮影。
称名滝。帰りのバスから撮影。これを登った人がいるとは。
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