「あなたのご主人ですよ」
施設の職員にそう言われたとき、認知症の妻が答える。
「そうかもしれない」
認知症で特養ホームに入っている妻が、病院の夫を見舞う場面だ。
そのくだりを読んだ時の衝撃が忘れられない。
いつかそのことを書こうと思っていたのだが、
昨日の朝日の全面広告で、映画化された事を知った。
書くということへの作家のすさまじき執念。
それを理解し、書道を教えたりしながら、支え続ける元編集者の妻。
その献身ぶりは痛ましいとさえ思え、
認知症は、神の与えた休息のような気がした。
(小説での印象。映画では、どうなっているのかわからないが。)
介護する立場となった夫の、
妻をめぐる日常は、壮絶で、哀しく、いとおしい。
「そうかもしれない」
そのように答えられるのは、
その人の品性の高さゆえだろうと。
いまは、夫婦二人で老いをむかえてゆく人も多い時代だ。
近くても、遠くても、人々の行く手にある老いと、死と、
どう向き合っていったらいいのか。
ぜひ、観に行きたい。
☆9月30日から、銀座、シネスイッチなどで、全国ロードショー。
映画☆「そうかもしれない」は、詩人で作家の耕 治人の私小説、
『天上から降る哀しい音』『どんなご縁で』『そうかもしれない』
の世界をベースに、保坂延彦監督が10年越しの企画で完成。