umeさんがまだ80代で、軽井沢でひとり暮らしをしていたころのこと。
ひさしぶりに母の家に行った。
夕食がすんでくつろいでいると、待ちかねたように、母はしゃべりだした。
「今、ユキノシタの花が咲いているのよ」
「下から2枚長い白い花びらが出ていてね、それが、風にひらひら、揺れるでしょう。こんな風に」と・・・、母は身振り手振りで話す。
「上の方の花は、ちょこんと小さいけど、白地に紫っぽい模様がついて、これも何ともいえずおしゃれなんだよ。持ってきてみようか」
庭からユキノシタの花を1枝とってきた。
「ほら、この長い花びらが風に吹かれて、ひらひらひらひら揺れる様子がね、私は、可愛くって可愛くてしょうがないの」
ユキノシタを示し、立ったまま、満面の笑み。
(お母さん、それを、ずっと誰かに伝えたくてたまらなかったんだね。)
誰かに伝えたい素敵なことを、いつも、飲み込んでいたのね。
ユキノシタなんて、知ってはいても、そんな風に考えたことはなかった。
その日は、せめて聞いてあげられてよかった。
ーーブログで、ユキノシタの記事を見て思い出したことーー。
最新の画像[もっと見る]
-
大風がくれたもの 2週間前
-
一枚の絵ハガキから~ 2週間前
-
一枚の絵ハガキから~ 2週間前
-
次への準備 4週間前
-
空高く、晴れやかに~~!! 1ヶ月前
-
空高く、晴れやかに~~!! 1ヶ月前
-
年の初めの~~もろもろの~~ 2ヶ月前
-
年の初めの~~もろもろの~~ 2ヶ月前
-
新しい年!善きこと多き年でありますよう💛 2ヶ月前
-
songbirds concertへーーなかの芸能小劇場 3ヶ月前
ユキノシタの様子もよくわかりました。
小さな感動を、ほらほら
伝えられないのはもどかしいですよね。
お母様も聞いてくれる人がいて、うれしかったのでしょうね。
母も「それだけ?」っと言うような電話をよくかけてきます。
「そう、それだけ!じゃあね」といってさっさと電話を切ってしまいます。
母の所には料理の生徒さんが来てくれるし、たまには友だちと出かけるし、
ご近所ともよく話をするし。でも「それだけ」のことを
言うために電話をしてくるんです。
そばにすぐ会話する人がいないって何よりもの不足感なのかも知れません。
さて、私はどうしましょう、息子に電話するわけにもいかないし…
(オットより残る気でいるらしい
私のユキノシタは軽井沢、雲場池近くで撮影したものです。
ユキノシタ煎じて咳止め作りたる
若かりし日の母を想えり
鳥海昭子
母親のイメージに繋がりやすい花のようです。
それだけ身近な身近な花のようです。
反面、花が小さく、沢山あって、見慣れているため、その美しさは見過ごされていますね。
そういう、ことは、意外に身のまわりに多いのかもしれません。
母に限らず、誰だって、伝えて、分かってくれる人がいたら、それは、幸せなことなんじゃないかしら。
お母様は、お友達も生徒さんも多く、感性の通い合う娘さんがお近くにいらしてお幸せ。
いきいきと、お若く、現役でいらっしゃるお母様の素敵さが目に見えるような気がします。
雲場の池近くのユキノシタと聞けば、また、うれしく・・・。
ユニークな王冠を戴いた花。おかげさまで、細やかに知ることができました。