ヒマヒマノキ ~歩いて、見て、楽しんで~

庭園・街の花、まつり・名所。いろいろな出会いを,その時々の想いを交えて、皆様にお届けします。

エッセー ~桜の下でまた会おうよ~

2017-04-22 | 日記
先週も会津に知人を見舞いました。東京に戻ってあっという間に1週間が過ぎました。彼はベッドから体を起こすことすらもはや出来なくなっています。今、彼の願いは、お城(若松城:鶴ヶ城)の満開の桜をみること。しかし、先週は、城内の桜はまだ咲き始めの状態でした。







お城の近くの博物館の桜は「高遠の小彼岸桜」と呼ばれます。長野県の高遠町縁(ゆかり)の桜です。



城に隣接する県立博物館の桜は、見事な状況でした。私たちはその満開の桜を動画にとってベッドサイドで彼に見せてあげました。彼は実に嬉しそうでした。
その日、博物館の桜を見に何台もの車が訪れていました。介護施設の車も随分と来ていました。入所者に車窓から桜を見せているようでした。
私たちは彼に約束しました。来週早々にはお城の桜も満開のはず。だから来週早々にもう一度来るから一緒に見に行こうねとー。

今日城の桜の状況をネットで確かめてみました。その桜だよりによれば、お城はなんと満開とのこと。どうかあと2・3日、見事なままであって下さい。彼との約束を果たさないといけないのです。











平安時代末期から鎌倉時代の初めにかけてその生涯を送った歌人西行法師については皆さんもよくご存じでしょう。その西行法師の歌に、有名な歌があります。それは、

  「願はくは花の下にて春死なむ そのきさらぎの望月のころ」

彼がそう思っているのかどうかわかりません。しかし、彼は、私たちと一緒にお城に桜を見に行くことを楽しみにして、頑張っているのです。
どうか雨や風で花びらが舞い散ることのないように。咲き誇る城の桜を、彼がその目で確かめることができますように。笑顔が浮かびますように。生きてきたことがこんなにも素晴らしいことだったと感じてくれますように。笑いあいながら「桜がすごいね。またくるね。」と言って別れることができますように。



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