先日、練馬区のローズガーデンを訪問した
時のことです。
例年に比べて花数が少ない感じがしました
ので、居合わせたスタッフの方に訊くと、
こんな返事が返ってきました。
「今年の夏の暑さのせいか、カイガラムシが
発生して、バラがやられてしまいました。
おかげで花数が少ないんです」。
バラ園の手入れをしているスタッフの方に
とって、今回の状況は本当に残念なこと
でしょう。
練馬区のローズガーデンは、小規模ながら
手入れがよく行き届いたバラ園で、
特にバラとコラボさせた様々な草花や
花木の配置が見事で、私のお気に入りの
ところです。
今年も、もうすぐ迎えるハロウインの
飾り付けが施され、子どもたちがうれし
そうにベンチや椅子にすわったりして、
かけまわっていました。
さて、肝心のバラですが、色とりどりに
咲き乱れるという状況ではなかったものの、
やはりバラには花の女王としての風格が
ありますね。
写真のように美しい花を開かせていました。
今回バラとコラボしている草花たちです。
今回多く見られたのがコリウスです。
実にたくさんの模様と色があり、
それだけでも十分楽しめるのが
コリウスですね。
上の2枚目の写真はの右側は、
アカバセンニチコウだと思います。
上の写真の左側の白い小さな花は
ユーフォルビア。隣はペンタス。
右側の花はジニアだと思います。
ペンタスも随分と役割を発揮しています。
青い花はたぶんスーパートレニアでしょう。
スーパートレニアとコリウスのコラボも
いいものです。
ジニアの花の上を、アオスジアゲハが
飛び回っていました。
これはゴシキトウガラシでいいのかどうか。
いろいろな色の実をつけるものなんですね。
ケイトウです。その左脇のものは、
アカバセンニチコウです。
冒頭のスタッフさんに「今回はバラが
少ないですが、コラボしているコリウス
などの草花が素敵ですね。この園の良さだ
と思ってます」というと、
にっこり笑って「楽しんでいってくださいね」
と嬉しそうにしておられました。
きっと来年5月のバラは、スタッフの方の
努力で、見事なものになるに違いありません。
大勢の見物客であふれかえる中、
山車の写真を撮り続けました。
ユネスコの無形文化遺産に登録
されている「川越祭り」(
川越氷川祭の山車行事)です。
川越まつりが行われたのは10月19日・
20日の両日。巡行した山車は19台。
観覧客は昨年は約60万人でしたが、
今年はおそらくそれ以上だったのでは
ないでしょうか。
駅前はもちろん、中心部の通りも、上の写真の
ように、人人人で溢れかえっていました。
最初に出会ったのは重頼の山車です。
重頼とは河越太郎重頼で、平安末期の
武蔵国川越館の武将。
人混みの中を、重頼の山車の後ろから
ついていくと、反対方向から牛若丸の
山車がやってきました。
牛若丸の山車です。牛若丸は、今にも
ひらりひらりと飛び移りそうです。
山車どうしの囃子と舞の競演(曳っかわせ)
です。
龍神の山車です。人形の胸につけられて
いるのは能のお面です。屋台の昇り龍、
下り龍の彫刻は見事。
曳っかわせは、龍神と牛若丸です。
浦嶋の「先触れ」が会所の役員に口上を
述べています。(一番上の写真です)
口上に出会ったのは初めてでした。
浦嶋とはもちろん浦島太郎です。
手にしているのは釣り竿ですね。
ここでは浦嶋と龍神の曳っかわせがー。
信綱の山車です。信綱とは、初代川越藩主の
松平伊豆守信綱。幕府の老中を務めています。
鈿女の山車です。鈿女とは、神話に
出てくる天鈿女命(あめのうずめのみこと)で、
天照大神(あまてらすおおみかみ)が
天岩戸に隠れたとき、踊りを踊った女神
です。併行して進むのは信綱と鈿女です。
秀郷の山車です。秀郷とは藤原秀郷で、
平安中期の武将。平将門の乱を鎮めた勇将。
別名は俵藤太。
秀郷と鈿女、秀郷と信綱の曳っかわせです。
道灌の山車です。道灌とは太田道灌。
室町時代後期の武将で、江戸城を築いた
ことで有名です。
川越城も太田道灌親子が築いています。
併行して進むのは、道灌と浦嶋です。
4台の山車の曳っかわせになりました。
秀郷・鈿女・浦嶋・龍神です。
これには、観覧の客も大喜びで、連雀町の
交差点は、これをカメラに収めようとする
人で溢れかえりました。
豪華な山車の巡行が行われる川越まつり。
日本の様々な伝統の技や文化が凝縮したまつり。
それらを後世に伝えるのもやはり人ですね。
今年も山車を目の当たりにしながら、
そうした思いを強くしました。
キンモクセイが一斉に咲きました。
普段は、どこにキンモクセイの樹があるか、
あまり気にも留めないのですが、ある日一斉に
樹全体がオレンジ色の花に包まれます。
漂ってくるかぐわしい香り。
強い香りですから、少し離れていても、
すぐに開花に気づきます。
キンモクセイの花は黄色というよりオレンジ色。
よく見ると、葉柄の付け根のあたりから花が
出ているのではなく、葉と葉の間の、枝の部分
から直接花が出ています。
一つ一つの花はとても小さく、枝を包み込む
ように密集して咲いています。
葉を覆うような咲き方ではありません。
離れて見ると、葉の隙間をオレンジの花が
埋めている、そんな感じです。
名称からすれば「金の木」ですから豪華の
はずですが、控えめに感じるのはそうした
花のつき方にもあるでしょうか。
ところでキンモクセイが地域で一斉に咲くのは、
日本には雄株ばかりで雌株がないため、
挿し木によって増やされてきたクローン種のため
だからなのだそうです。
ちなみにクローン種と言えば、桜のソメイヨシノ
もそうですね。
キンモクセイ近縁種にギンモクセイがあります。
なかなか見分けにくいのですが、一番の違いは、
花が、白か、薄い黄色のものがギンモクセイ
だそうです。香りもキンモクセイほど強くは
ないそうです。
上の写真の花は、たぶんギンモクセイでは
ないかと思います。
桜(ソメイヨシノ)は一週間ほどで散ります。
秋の到来を告げるというキンモクセイですが、
開花して一週間ほどで散りだしました。
季節を考えると、キンモクセイは本当は
儚い花なんですね。
所沢駅の周辺地区は、東口側・西口側とも、
再開発によってそれぞれ新しいショッピング
ビルができ、街は近代的な商業ゾーンとして
生まれ変わりました。(グランエミオ所沢・
エミテラス所沢)
あっというまに都市化が進んだといった
感じです。
所沢まつりは、明治時代の初めに
山車まつりとして行われたのが
その起源ではないかといわれています。
まさに地域の祭りとして今日にいたって
いるまつりのようです。
今年のまつりはどんな雰囲気か、
期待しながら、駅からプロムナード
デッキを歩いていきました。
まつりの会場が見わたせるところまで
くると、随分な人出です。去年よりも
かなり多い感じがします。
通りの先のほうでは、太鼓・鉦の演奏が
おこなわれているようです。
ワクワクしてきました。
プロムナードデッキを降りて、人混みの中を
進んでいくと、一段とお囃子の音が大きく
なってきました。笛・太鼓・鉦のお囃子に
あわせて、獅子舞が演じられています。
獅子舞に続いて、ひょっとこなどの面を
被った子どもによるユーモラスな踊りが
披露されます。お囃子が心を掻き立てます。
さらに先の会場でも、子ども踊りが行われて
います。子どもたちがまつりに参加する姿には、
なぜか懐かしさが漂います。
山車や神輿の運行は、法被に身を包んだ
大人たちです。熟年者もいれば若者も
います。地域のいろいろな人たちが
まつりの中に溶け込み、まつりを作り
上げている、そんな感じがします。
威勢の良い掛け声は聞こえてきますが。
激しく競り合ったり、ぶつかり合うという
のではなく、曳き手も、舞い手も、囃子方も
担ぎ手も、笑顔があふれています。
誰もが楽しんでいます。
所沢のまつりは、地域のまつりなのですね。
まつりを見に来ている家族の中に、
子どもたちの姿がとても多いことに気づき
ました。まつりならではの出店の飲み物や
食べ物を、おいしそうに飲んだり食べたり
しています。
ふと、幼かった頃の我が子の顔が目の前に
浮かんできました。食べることが大好きな
子たちでした。幼稚園や小学校に通って
いた頃です。とにかく動き回ります。
目が離せませんでした。
どれだけ、まつりに連れて行ったろうか。
食べたいというものを買ってあげたろうか、
あれが欲しい、これをしたいというものを
楽しませてやったろうか。
思い出の中の幼い我が子は、私のすぐ傍に
くっついています。
楽しい思い出をあまり作ってやれなくて
ごめん。
もう昔には戻れませんが、もしも一緒に
行ってくれるなら、家族で旅行をしよう。
まつりがそうした思いを呼び覚まして
くれていました。
このところ雨や曇りの日が多く、
肌寒さすら感じる日も出てきていますが、
この夏は猛暑日続き。
こうした状況を踏まえてのことと思い
ますが、今年の紅葉は、東日本は、
「平年より遅いでしょう」という予想が
出されています。『(一財)日本気象協会
第2回紅葉見頃予想(24・10・02)』
雨があがったのを見計らって、散歩して
みました。こんな光景が見られました。
ハナミズキです。真っ先に色づき始める
近くの通りの街路樹です。
ほぼ、どの樹にも赤い実がついています。
葉のほうも色づき始めたもの、まだ緑色が
多いものなど樹によってまちまち。
これから少しづつ赤みを帯びた樹が増えて
いくことでしょう。
通り沿いの花壇に咲いていた花です。
多くは、初夏から秋にかけて咲く花
です。
琉球朝顔です。
別名は、ノアサガオとかオーシャンブルー
とか呼ばれています。背丈が高く大きな花
です。一日花のようですが、一般の朝顔
と違って、夕方ごろまで咲いています。
トウワタ(アスクレピアス)です。
キョウチクトウ科の花だそうで、
上の写真のものは、赤と黄色のツートン
カラーが鮮やかです。
花は一見大きく見えますが、小さな花が
数個集まって咲いていますので、大きく
見えています。
ルコウソウです。ヒルガオ科の植物です。
葉が線形になっています。
仲間のマルバルコウと違い、こちらは
園芸種です。
緑の葉の中で、星形の花が鮮やかでした。
つる性で他の植物に絡みついていました。
シユウカイドウ(秋海棠)です。
秋の花のように思っていましたが、
夏ごろから咲いているんですね。
ベゴニアの仲間で、多年草です。
ハナカイドウ(花海棠)は、
カイドウという名前が入っていま
すが、バラ科のリンゴの仲間で、
立木です。
ミズヒキです。
細長い花茎に小さな花が穂状について
います。秋の野草のように思っていま
したが、これも夏ごろから咲いているん
ですね。花びらのように見える部分は、
実は萼なのだそうです。
アメジストセージ(サルビア・
レウカンサ)です。
サルビアの仲間で、ハーブの一種だそう
です。夏ごろから、茎の上部に紫の花を
密につけます。花は30cmくらいはあった
かもしれません。花期が長いですね。
ハギです。
写真のハギはよく見かけますが、
ヤマハギでしょうか。よくわかりません。
ヤマハギも夏ごろから咲くようですから、
秋になってから咲くというわけではない
ですね。
コムラサキ(小紫)の実です。
花は夏ごろ(6月から7月頃)に咲きますが、
実はちょうど今頃に美しい紫色になります。
名前通りの粋な実です。
キンモクセイ(金木犀)です。
ようやくツボミらしきものが見えて
きました。9月下旬頃から10月初めに
かけて咲く花ですから、まさに秋の花
です。ただ、今年は暑かったので、
開花が10月中旬くらいになろうとして
いるようです。まもなく各地が
かぐわしい香りに包まれますね。
秋の気配を書きながら、花は夏頃から
咲いているなどと、ちょっと無粋な
ことを書きつらねてしまいました。
旧暦では8月は今の9月ごろです。
その意味では、8月に咲く花は秋の花
ということになります。
だから秋の七草なのでしょう。
大事なことは、薀蓄(うんちく)より
も、今目の前に咲く花を楽しむ気持ち
ですね。
ようやく季節は、秋の気配が色濃く
なってきました。必要なのは、
季節の移ろいを楽しむゆとりですね。
先日、関西在住の友人が上京してきました。
就職して、駆け出し・新人の時以来の友人です。
親しくしていたもう一人の友人を交えて、
3人で食事を一緒にしました。
10数年ぶりのミニ同窓会です。
池袋のデパートのレストランで3時間近く
話し込み、そのあとコーヒーショップで
また2時間。
話はまずは体のこと。なんとお互いが大病を
経験していました。
上司や同僚の消息。だいぶ亡くなっています。
仕事の思い出。事務機器と言えばインク壺にペン、
謄写版、「青焼き」コピー、そろばん。
今にして思えば無駄な時間を費やしたものです。
当時から50年は経っています。お互いの姿形は
変わっているのに、今相対しているのは、あの時
の自分たち。
仲間が元気でいてくれることはありがたいです。
お互いの温もりを感じることができることが、
日々の力になります。
昨年の夏頃は、NHKの朝ドラ「らんまん」の
放送のおかげで、練馬区の「牧野記念庭園」は
入園者がずいぶんありました。
久しぶりに訪れてみると、静かな雰囲気でした。
山野草の庭園ですし、花も少ない時期ですので、
入園者が少ないというせいもあるかもしれません。
今年全国的に開花が遅かったヒガンバナ。
赤い花は終わりつつありましたが、シロバナ
ヒガンバナがまだしっかりと咲いていました。
多くは蕾でしたが、マルバフジバカマが1~2輪、
花をつけだしていました。
見にくいですが、すぐ上の写真の左上のあたりに
1輪開いています。
スタッフの方に蝶のアサギマダラのことを
聞きましたが、“よく聞かれるんですがー”とのこと。
都会のど真ん中ですし、植えられている本数も
少ないですから、訊く方が無理かもしれません。
名札に「ハナゾノツクバネウツギ」と出て
いました。生垣などによく見られるアベリアと
同じものでしょうか。
ヤマシャクヤク(山芍薬)の実がはじけて
います。青黒い種は落ちてしまったのかも
しれません。
ムラサキシキブが緑色の実をつけています。
紫色になるのはもう少し後かもしれません。
静かな雰囲気の中の牧野庭園。
折々にひっそりと花をつける、その風情が
人々の心を和ませてくれています。
牧野記念庭園の行き帰りに見つけた花です。
これは通り沿いのお宅の庭にあった花木ですが、
フヨウの花に似ています。ググるとアオイ科の
植物で「ヤノネボンテンカ」という名前が出て
きました。これがそうかどうか。
こちらは、フウリンブッソウゲという名前が
出てきました。ハイビスカスの仲間のようです。
別のお宅で、鉢植えになっていました。
珍しそうな花でしたがー。
今や、都会の中では山野草の花を見る機会が
少なくなってきています。
色とりどりの花が咲く庭園も、もちろん素晴
らしいものです。でも、自然の温もり・匂いを
感じる庭園もまたいいものです。
友人との久しぶりの交わりがそんな思いを強く
感じさせたのかもしれません。
養老孟司さんの「発見の眼 自分の発見」という
エッセーに、こんな文章がありました。
『科学上の発見というと、立派な業績を指すよう
な印象がある。でも発見というのは、つねに
自分に関する発見である。じつはどんな小さな
ことでもいい。
歩きながら、ふと花が咲いているのに気づく。
それまでの自分は、その花に気づいていなかった。
咲く花に気づいていなかった自分と、気づいて
しまった自分は違う自分である。こうして違う
自分が生まれたときに、気持ちがいいと感じる。
だからそういう体験を繰り返したくなる。それ
が発見の喜びである。』
(「生きるとはどういうことか」筑摩書房2023年)
私のブラブラ歩きはリハを兼ねた散歩。
その際に身近な花を撮っているだけです。
咲いている花に気づくことが新しい自分の発見に
つながるなどと、恥ずかしくて、とうてい言える
ようなものではありません。ほんの少しの歩きです。
でも、もしも、それが何かを感じる自分につながって
いるとしたら、うれしいことです。
都立の薬用植物園に行ってきました。
ここはいわゆる園芸種の草花がレイアウトされた
植物園ではありません。
出会うのは、薬用となる山野草や木で、普段目に
することがないものを見ることができます。
ヒガンバナです。
今年の開花の遅れは全国的なのでしょうか。
確かにツボミがまだみられました。
でも、しっかりと秋を感じる花です。
見たかったシモバシラ(霜柱)です。
別名がユキヨセソウ(雪寄草)、素敵な名前です。
冬には、枯れた根元に氷柱ができます。
残念ながらそれは見たことがありません。
居合わせた人が、「ここは開園時間が9時なので、
霜柱ができても、その頃には溶けてしまいます。
12月の寒波到来などと言われる日が狙い目ですね。」
と教えてくれました。
ピントがちょっとずれたのが残念です。
ヤマホトトギスです。
花びらの紫色の斑点がきれいな花です。上品さが
あります。これもピントが会っていません。
トホホです。
秋の七草のひとつ、黄色の花のオミナエシです。
地下茎を伸ばして増えるらしいですね。
そろそろ見頃は終わりでしょうか。
オミナエシの仲間でオトコエシです。
乳白色の花です。あまり見かける機会がありません。
こちらは地表を這う枝で増えるらしいです。
同じ仲間でも違うんですね。
オミナエシ(女郎花)とオトコエシ(男郎花)が
コラボしていました。面白い光景です。
カリガネソウ(雁金草)です。
青紫のきれいな花です。ハナバチなど虫が花に止まると、
受粉しやすいように「首をもたげる」ような仕掛けに
なっているんだそうです。
オオケダテです。
背丈は2mくらいでした。大きいです。
房状の赤い花がたくさん垂れ下がっています。
少なくとも、長さは10センチくらいはあったと
思います。
キク科の花です。シオンです。
青い空を背景にすっくと伸びていました。
背丈は2m以上ありました。
シラヤマギクです。
同じキク科でも、林地の中にひっそりと
小さな花をつけています。
花は1~2cmくらいだったような気がしました。
ノコンギクです。花はシラヤマギクよりも
一回り大きな花です。これも林地の小道に
ひっそりと咲いていました。
スイフヨウ(酔芙蓉)です。
静かに咲いている花が多い中で、
ひと際大きく、優美な花姿でした。
もうすっかり秋の気配がただよう植物園の光景です。
もう一月もすれば紅葉が始まるでしょう。
今年はとりわけ短い秋になりそうです。