おバカタレント、おバカキャラというものに人気が出ているようだ。もとはある民放テレビのクイズ番組で、3人の若い女性のグループが、珍回答や不規則な発言を繰り返したことから話題を呼び、人気が急上昇したそうだ。「バカカワイイ」ということらしい。今では各局も追随し、バラエティー番組に欠かせない存在になって、タレントのジャンルとして定着していると言う。
私は一度だけそのような番組を見たことがある。何人も若いタレントが出演していたし、このような番組には疎いので、誰が言うところの「おバカ」なのか分からなかったが、たぶんこれだろうと思うのが何人かいた。観覧席のようにしつらえられたステージに並び、出された質問に答えられると下の席に降りてくるものだったが、たしかに珍回答や、こんなことも知らないのかと思うようなこともあり、かなり笑ってしまった。本当に分からないのか、そのような振りをしているのかと思うくらいの「非常識」、「無知」ぶりであっても、真剣に考え込んだ挙句に珍妙な答えをしたり、勇ましく手を挙げて答えたらとんでもない回答だったりして、妙に憎めないところがあって、なるほどこういうところが人気があるのかと思った。
人をバカ扱いにして公衆の面前で笑いものにするなど言うことは、これまでにも漫才などにはあったが、自分からバカぶりをさらけ出して、それを芸として売り物にするとはしたたかとも言えるし、このような「タレント」をもてはやす世相というものは何だろうかと考えてもしまう。それにこのような番組を楽しむ視聴者の心理は何だろう、おバカな言動を見て優越感でも感じるのかとも思ったが、案外視聴者の中にも「おバカ」はいるのではないか。
このようなおバカタレントいうものは罪のないもので、人を楽しませているからとやかく言うこともないが、これは正真正銘のバカだと思った事件があった。
25歳の無職の男が、自分が開設しているブログに文部科学省の幹部10人を「1週間以内に自宅で刺殺する」とブログに書き込んだとして逮捕された。この男は東大卒らしいが、このようなことをした動機を「理想を持って勉強してきたが、教科書の内容と違う現実があると知り、文科省に詐欺をされたと思い脅迫した」と供述したようだ。「詐欺教育に対する天誅だ」とも言ったらしい。大学を卒業しても思うような就職もできなかった不満が鬱積していたのかもしれないし、先ごろ世間を騒がせた厚労省の元事務次官と家族の殺傷事件に影響されたのかもしれないが、それにしても、教科書の内容と違う現実があるから詐欺教育だと言うのはあまりにも短絡的で馬鹿げた幼稚な考えだ。「理想を持って勉強してきた」と言うが、どんな理想を持っていたのか。「天誅」というのも他人を見下した傲慢さだ。おそらく中学、高校時代には学習成績はそれなりによくできたのだろうが、それはただ教科書や参考書の記述内容をひたすらに覚えこむような学校生活だったのではないか。学習以外にも必要な心身の発達段階に応じた教育が乏しかったか、欠落していたのではないか。
詐欺教育だと文科省の幹部を殺すような発想はきわめて特異なものだろうが、ただただ学校や学習塾での成績だけを目安にして有名校への進学を競うような風潮が過熱するほど、歪んだ可愛げのない人格が作られる可能性はあると思う。「おバカ」には可愛いところがあるが、「バカ」はどうにも始末に負えない。
私は一度だけそのような番組を見たことがある。何人も若いタレントが出演していたし、このような番組には疎いので、誰が言うところの「おバカ」なのか分からなかったが、たぶんこれだろうと思うのが何人かいた。観覧席のようにしつらえられたステージに並び、出された質問に答えられると下の席に降りてくるものだったが、たしかに珍回答や、こんなことも知らないのかと思うようなこともあり、かなり笑ってしまった。本当に分からないのか、そのような振りをしているのかと思うくらいの「非常識」、「無知」ぶりであっても、真剣に考え込んだ挙句に珍妙な答えをしたり、勇ましく手を挙げて答えたらとんでもない回答だったりして、妙に憎めないところがあって、なるほどこういうところが人気があるのかと思った。
人をバカ扱いにして公衆の面前で笑いものにするなど言うことは、これまでにも漫才などにはあったが、自分からバカぶりをさらけ出して、それを芸として売り物にするとはしたたかとも言えるし、このような「タレント」をもてはやす世相というものは何だろうかと考えてもしまう。それにこのような番組を楽しむ視聴者の心理は何だろう、おバカな言動を見て優越感でも感じるのかとも思ったが、案外視聴者の中にも「おバカ」はいるのではないか。
このようなおバカタレントいうものは罪のないもので、人を楽しませているからとやかく言うこともないが、これは正真正銘のバカだと思った事件があった。
25歳の無職の男が、自分が開設しているブログに文部科学省の幹部10人を「1週間以内に自宅で刺殺する」とブログに書き込んだとして逮捕された。この男は東大卒らしいが、このようなことをした動機を「理想を持って勉強してきたが、教科書の内容と違う現実があると知り、文科省に詐欺をされたと思い脅迫した」と供述したようだ。「詐欺教育に対する天誅だ」とも言ったらしい。大学を卒業しても思うような就職もできなかった不満が鬱積していたのかもしれないし、先ごろ世間を騒がせた厚労省の元事務次官と家族の殺傷事件に影響されたのかもしれないが、それにしても、教科書の内容と違う現実があるから詐欺教育だと言うのはあまりにも短絡的で馬鹿げた幼稚な考えだ。「理想を持って勉強してきた」と言うが、どんな理想を持っていたのか。「天誅」というのも他人を見下した傲慢さだ。おそらく中学、高校時代には学習成績はそれなりによくできたのだろうが、それはただ教科書や参考書の記述内容をひたすらに覚えこむような学校生活だったのではないか。学習以外にも必要な心身の発達段階に応じた教育が乏しかったか、欠落していたのではないか。
詐欺教育だと文科省の幹部を殺すような発想はきわめて特異なものだろうが、ただただ学校や学習塾での成績だけを目安にして有名校への進学を競うような風潮が過熱するほど、歪んだ可愛げのない人格が作られる可能性はあると思う。「おバカ」には可愛いところがあるが、「バカ」はどうにも始末に負えない。