中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

行列 -その後-

2008-12-28 10:52:49 | 身辺雑記
 あるハンバーガーのチェーン店の大阪・御堂筋の店で新製品を発売したら、多数の客が押しかけたことを書いたが、その後日談があった。

 発売日には開店前から前日からの約20人の徹夜組も含めて約千人が行列を作り、当日は約1万5千人が来店して売り上げは約1千万円、1日の売り上げ記録を更新したということだったが、実は開店前の行列の中の約220人が、徹夜組も含めてアルバイトだったと言うのだ。このハンバーガー会社は、マーケティング会社に「商品の品質やサービス内容を調査したい」と依頼し、そこから大手人材派遣会社と、別の派遣業者が約1千人とアルバイト契約を結んだという。マーケティング会社に支払われた調査費にはバイト代やハンバーガーの購入代金が含まれていたようだ。大手人材派遣会社の募集広告には、「勤務地」は心斎橋近く、「まさかの簡単お仕事」などと言って、時給は千円。

 このハンバーガー会社は「商品の味や店のサービスを調べるのが目的で、行列を作るためや売り上げのためではない。1千人はマーケティング会社が有効なモニター数を得るのに必要と判断した数字で、こちらが頼んだ数字ではない」と言っているそうで、もっともらしいが何となく眉に唾をつけたくなる気もする。この会社は、先月も東京の店でイベント会社を通じて集めたアルバイトを並ばせ、盛況を演出していたようで、「あくまで店を盛り上げるイベント手法の一種で、サクラとの認識はない」と言ったようだが、つべこべ言うものだと思った。

 それにしても大阪の店の新製品発売の日には、テレビ局や新聞社が取材に押しかけ、ヘリコプターで上空から撮影したと言うが、これはいささか異常ではないか。私が読んでいる新聞もそれほど大きな記事ではなかったが、写真も添え、会社名も新製品名も実名で、製品の大きさや値段まで書いてあった。これではまるで広告だ、ハンバーガー会社のお先棒を担いでいると思った。ハンバー会社としてはほくそ笑んだのではなかろうか。以前にも米国産の牛肉の輸入が停止された時、ある大手の牛丼チェーン店が牛丼の発売を休止した日に、テレビ局が「最後の客」を仰々しく取材し、新聞でも報じられたし、再開のときも大きく取り上げられていた。国民の皆が皆ハンバーガーや牛丼をしょっちゅう食べているわけではなく、日常生活に大きな影響があるものでもないから、メディアの企業の宣伝まがいのこの種の騒々しい報道には辟易する。

 多数の派遣労働者たちが契約を打ち切られ、中には寮も追い出されて師走の寒空の中で途方に暮れているというのに、たかがちょっと大きいと言うハンバーガーに押し寄せるとは、何ともピント外れの「平和な」光景ではある。