このところ少し長く歩くと、右脚の太腿の付け根が痛み、ふくらはぎや足の裏が痺れを掻いたようになり、歩くのが困難になる。しばらく休むと回復するのだが、どうにも気持ちが悪いので、かかりつけの医師に相談したら、隣の市にある関西労災病院で検査してもらうように勧められ紹介状をもらった。
この関西労災病院は妻が最後を迎えた病院で、それ以来10年間行ったことはなかった。私の家からはバスで40分ほどかかる。途中の景色はあまり変わっていなかったが思い出が深い。当時は神戸にある知的障害者に関係する団体の事務局に勤めていたので、毎日勤めが終わると電車やバスを乗り継いで病院に通った。冬のことだったから途中は暗く、侘しい思いをした。個室の病室で妻と2,3時間過ごしてから家に帰ったが、帰途は妻のいない暗く冷たい家に帰るのかと思うと、なおさら気が滅入ったものだった。
病院前でバスを降りて病院のほうを見るとすっかり新しくなっていて10年前とはまったく違った、堂々たる建物になっているのに驚いた。
ゲートはまるで公園の入り口のようで、そこから入ると病院の建物の前はきれいに整備されている。
病院内に入ると、かつての薄暗いような雰囲気とはまったく違って、明るく広々していた。妻が入院していた頃の面影はまったくなく、それゆえに感傷的になることもなくて、かえってさばさばした気持ちになった。しかし、当然のことながら行き交う人たちは来院者や車椅子の入院患者、看護師、付添い人で、やはり病院という雰囲気だ。
予約した10時前に受付を通った後は検査室巡りで、検尿から始まって採血、胸部X線撮影、四肢の血圧検査、心電図、心臓や両脚の血管のエコー検査と続いたが、検尿や採血、胸部撮影などは脚の痺れとどんな関係があるのだろうと、素人にはよく分からなかった。検査の流れは機能的でスムーズだった。すべてが終わって受付に戻ったのは11時だったが、診察は12時半からというので昼食をとることにした。院内の食堂もかつてのような、いかにも病院の食堂という雰囲気ではなく、明るく広くて、メニューの内容も品数が多かった。
診察を担当した医師はまだ若かったが実に穏やか、懇切丁寧で、検査結果と脚の状況について詳しく説明してくれた。検査の結果は、これまで考えられていた脚の動脈閉塞というよりも、脊髄のほうに原因があるのではないかということで、一度整形外科で診察を受けてはというアドバイスを受けた。いろいろな検査を担当した技師も皆人当たりがよく親切で、かつて妻が入院していた時の医師や看護師が非常に誠実な人たちで好印象を持ち、妻の死後病院長に礼状を出し、院長から行き届いた返書をもらったことを思い出した。
振り返ってみると、成人してから今日まで成人病検診のほかに、大きな病院に行った記憶はない。頑健ではないが健康でこられたのを有難く思う。妻も健康で入院したことはなかったが、この病院に入院したのが最初で最後だった。これから先、どのようのことで入院ということになるか予想もできないが、やはりこの病院のような親切な医師や職員がいるところがいい。
この関西労災病院は妻が最後を迎えた病院で、それ以来10年間行ったことはなかった。私の家からはバスで40分ほどかかる。途中の景色はあまり変わっていなかったが思い出が深い。当時は神戸にある知的障害者に関係する団体の事務局に勤めていたので、毎日勤めが終わると電車やバスを乗り継いで病院に通った。冬のことだったから途中は暗く、侘しい思いをした。個室の病室で妻と2,3時間過ごしてから家に帰ったが、帰途は妻のいない暗く冷たい家に帰るのかと思うと、なおさら気が滅入ったものだった。
病院前でバスを降りて病院のほうを見るとすっかり新しくなっていて10年前とはまったく違った、堂々たる建物になっているのに驚いた。
ゲートはまるで公園の入り口のようで、そこから入ると病院の建物の前はきれいに整備されている。
病院内に入ると、かつての薄暗いような雰囲気とはまったく違って、明るく広々していた。妻が入院していた頃の面影はまったくなく、それゆえに感傷的になることもなくて、かえってさばさばした気持ちになった。しかし、当然のことながら行き交う人たちは来院者や車椅子の入院患者、看護師、付添い人で、やはり病院という雰囲気だ。
予約した10時前に受付を通った後は検査室巡りで、検尿から始まって採血、胸部X線撮影、四肢の血圧検査、心電図、心臓や両脚の血管のエコー検査と続いたが、検尿や採血、胸部撮影などは脚の痺れとどんな関係があるのだろうと、素人にはよく分からなかった。検査の流れは機能的でスムーズだった。すべてが終わって受付に戻ったのは11時だったが、診察は12時半からというので昼食をとることにした。院内の食堂もかつてのような、いかにも病院の食堂という雰囲気ではなく、明るく広くて、メニューの内容も品数が多かった。
診察を担当した医師はまだ若かったが実に穏やか、懇切丁寧で、検査結果と脚の状況について詳しく説明してくれた。検査の結果は、これまで考えられていた脚の動脈閉塞というよりも、脊髄のほうに原因があるのではないかということで、一度整形外科で診察を受けてはというアドバイスを受けた。いろいろな検査を担当した技師も皆人当たりがよく親切で、かつて妻が入院していた時の医師や看護師が非常に誠実な人たちで好印象を持ち、妻の死後病院長に礼状を出し、院長から行き届いた返書をもらったことを思い出した。
振り返ってみると、成人してから今日まで成人病検診のほかに、大きな病院に行った記憶はない。頑健ではないが健康でこられたのを有難く思う。妻も健康で入院したことはなかったが、この病院に入院したのが最初で最後だった。これから先、どのようのことで入院ということになるか予想もできないが、やはりこの病院のような親切な医師や職員がいるところがいい。