昨日の元旦の朝は日本全国は全般的に天気が悪いところが多く、初日の出は見られるのは少なかったようだ。
このあたりは晴れたが、家が建て込み初日の出は見られない。長男が高校生の頃友人のN君や妻や次男も一緒に、徒歩で30分ほどの高台に行って初日の出を見た。あまり寒くない朝でゆっくり昇ってくる太陽が美しかった。持って行った暖か茶が美味しかった。もう40年以上も前のことだ。それ以来何年も初日の出を見ることはなかったが、最後に見たのは99年(平成11)だった。そのとき妻は入院していて、私は大晦日から病室に泊まっていた。朝早く看護師が誘いに来たので、東に面して大きな窓がある広い部屋で日の出を待った。よく晴れた朝で、やがて太陽が昇り始めた。妻も私も黙って見ていたが、ふと妻に目を遣ると、初日の光を受けてじっと見つめながら目に涙をいっぱい浮かべていた。それから2か月後の2月の末に妻は逝ったのだが、今でもその時の妻の顔が忘れられない。なぜ涙ぐんでいたのだろうか。病が重いことは知らせていなかったから、自分の身を思ったわけではなかっただろうと思う。それとも何か虫が知らせるものがあったのか。ただ初日の出の美しさに感動しただけなのかも知れなかった。それ以来初日の出は見ていない。これからも見ることは多分ないだろう。
初詣は一度だけしたことがある。94年(平成6)の元旦の前夜にふと思いついて妻を誘い、私鉄で1駅のところにある荒神に参拝に出かけた。人出が多いため交通規制されていてだいぶ歩かされた。午前3時頃に家に帰り、やれやれと一息ついてから寝たが、少しまどろんだ時に電話で起こされた。奈良に住む妻の妹からで、引き取って入院させていた義母が亡くなったという知らせだった。それからは元旦を祝うどころではなく、早々に葬儀を営む広島に出かけた。何とも慌しい正月で、したこともない初詣などをするからこんなことになると思ったものだ。それ以来初詣をしていない。独りだし、人ごみは嫌いだから、寝正月を決め込むことにしている。