中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

民主主義(3) 独裁

2012-01-18 14:25:41 | 身辺雑記

  民主主義の対比語として独裁、専制、権威主義などがある。3代世襲となっている金一族の独裁国家である北朝鮮が「民主主義人民共和国」と称しているのはブラックユーモアのようだが、今の世界には独裁国家や専制国家は少なくない。一党独裁体制の中国は「民主」ということを忌避しているようだ。 

 

 また新大阪市長の橋下徹氏を引き合いに出すが、彼は昨年開いた政治資金パーティーで「今の日本の政治に一番重要なのは独裁。独裁と言われるくらいの力だ」と発言したそうだが、政治家を自称する者の発言としては聞き捨てならないものがある。彼はテレビタレントじみた弁護士上がりで、饒舌というほどに弁が立つし、何か失言してもあれこれ弁解したり居直ったりする。この発言にしても、衝かれたら「独裁そのものが必要と言ったのではない。それくらい強い力だ」くらいのことは言うだろうが、若手政治家としてマスコミにもてはやされ、その手腕に期待する国民も少なくない人物としては誤解を招く物言いで軽率だ。総理として期待される人物として、あるアンケートでは石原東京都知事に次ぐ人気だそうだから(位は小泉元首相)、順風満帆で、ちょっと突っ走り過ぎているのではないかとも思う。ある知人が、周囲に少し自制を促すブレーンがいないとちょっと怖いと言っていた。ある新聞の川柳欄に「すぐバカと言う橋下と慎太郎」という句があった。公の場で、バカとかクソということばを発するのは品性の問題だ。 

  

 第一次大戦後のドイツには民主憲法を持つヴァイマール共和国が誕生したが、その議会制を足がかりにしてナチスを率いるヒットラーが政権を握り、やがて全欧州を蹂躙したナチスドイツという凶悪な独裁国家となった。当時のドイツ国民は独裁者ヒトラーの激越なアジ演説に陶酔し、ヒトラーに国の命運を託して破滅へと突き進んでしまった。独裁制が倒れて民主制になるものだと思うのが今の時代だが、過去にはこういうこともあったのだ。ヴァイマール共和国が崩壊した原因は、いろいろ研究されているようだが、恐慌による社会不安などもあるが、何よりも既存政党と民主主義への失望がその原因とされている。 

 

 橋下氏は既成政党を批判し、自分の主張を通すための地ならしとして、国政選挙にも打って出ようとしているが、それがまた閉塞感に捉われていると言われている庶民に受けて人気があるようだ。民主主義をあたり前のものとして安住するのではなく、こういう制度の中からも、ともすると独裁のような強力な指導者を求める危うい風潮が生まれることを警戒しなければならないと思う。